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大手百貨店/第2波警戒の外出自粛で7月売上高5社そろって減

2020年08月03日 16:30 / 月次

三越伊勢丹ホールディングス、J.フロントリテイリング、エイチ・ツー・オーリテイリング、高島屋、そごう・西武は8月3日、7月の売上速報を発表した。

三越伊勢丹29.1%減、J.フロントリテイリング(大丸松坂屋百貨店)24.9%減、エイチ・ツー・オー(阪急阪神百貨店)14.2%減、高島屋20.5%減、そごう・西武15.5%減だった。

お中元、EC、ラグジュアリーなどの健闘も見られたが、セールの分散開催、新型コロナウイルス感染の再拡大を警戒した外出自粛で、客数が減り、各社低調に推移した。

■三越伊勢丹HD(2020年3月期売上高:1兆1191億円)
伊勢丹新宿本店店頭前年同月比31.4%減、三越日本橋本店店頭17.0%減、三越銀座店50.8%減などで、三越伊勢丹既存店計29.1%減だった。

札幌丸井三越17.4%減、函館丸井今井10.8%減、仙台三越15.7%減、松山三越19.7%減など、国内グループ百貨店は26.3%減となり、国内百貨店合計は26.8%減となった。

国内グループ百貨店(既存店計)の売上は6月売上前年比を上回る一方で、首都圏三越伊勢丹の店舗ではコロナ禍による外出自粛要請により客数が減少し、売上は6月売上前年比を下回った。

カテゴリーとしては、室内でより快適に豊かに暮らしたい消費傾向から、家具インテリアや食品(生鮮・惣菜・菓子)は堅調に推移。大都市圏、東京都心店舗では、宝飾時計やラグジュアリーブランドのハンドバッグなどの高額品への関心が高まってきている傾向も見られた。

首都圏三越伊勢丹では、オンライン(EC)の売上が前年比約1.4倍と引き続き好調。ワインなどの酒類、ハンドバッグ・財布等が人気。6月に刷新した三越伊勢丹オンラインでは、「マイバッグ」や「洋菓子関連」の特集が反響が大きい。

来店客数が伸び悩む中、東京都心の店舗を中心に一部の婦人ファッション(衣料やアクセサリー)のオンライン接客もスタートしている。

免税売上は依然として低調で、もともと免税売上シェアの高い店舗はマイナス幅が大きくなっているという。

■J.フロントリテイリング(2020年2月期売上高:1兆1336億円)
大丸松坂屋百貨店の売上高は前年同月比24.9%減、博多大丸、高知大丸を含めた百貨店事業の売上高は25.9%減となった。 

3密回避の目的でセールを分散開催したことや、新型コロナウイルスの感染再拡大により外出を控える傾向が強まったことで入店客数減少のマイナス影響を受け、衣料品を中心に苦戦した。

一方で、ラグジュアリーや宝飾などの生活に彩りを添える商品カテゴリが健闘した。

大丸松坂屋百貨店合計の免税売上高(速報値)は対前年約97.7%減(客数99.2%減、客単価約2.7倍)となっている。

■H2O(2020年3月期売上高:8972億円)
百貨店事業の全社計の売上高は前年同月比14.2%減となった。内訳は阪急本店26.0%減、阪神梅田本店34.1%減、支店計13.3%増。

7月1日から阪急本店・阪神梅田本店など都心店の閉店時間を19時から20時へ、15日からは開店時間を11時から10時に戻し、21時までの営業日を除きほぼ全店通常の営業時間となった。ただし、集客につながる催事や販促施策については3密回避の観点から依然として自粛を継続している。

クリアランスの6月前倒し開催による分散化、梅雨の長雨や豪雨災害による消費マインドの減退などにより、前半2週間の売上は、31%減と低調(既存店対比)。中盤10日間は12%減と復調傾向に向うも、25日以降は、新型コロナウイルス新規感染者数の急拡大により28%減と減退している。

都心店の売上高26%減に対し郊外店は15%減(既存店対比)。いまだ年配層、ファミリー層を中心に都心の混雑を避ける人が多く、自宅近くの店舗で買物をされる傾向が目立つ。郊外店の食品は3%減と堅調だった。

お中元は売上高2%増と好調継続。店頭10%減、EC29%増と、ECが店頭をカバーした(既存店対比)。

インバウンド売上は、87%減と厳しい状況が続く。

阪急本店は、金・土曜日を除き通常の営業時間に戻るも、入店客数は依然6割弱、インバウンドを除く国内売上高は17%減だった。

OMOの新たな取り組みとして、来店しなくても店頭の商品を購入することができるWEB決済が好調で、海外ブランドのバッグ、時計、紳士靴、化粧品が人気となっている。さらに外商で導入した、Zoomを活用した販売についても、遠方顧客の反応も良く、合わせて7000万円を超える受注と好調な滑り出しを見せた。

給付金、夏のボーナスの後押しで、若い世代を中心にラグジュアリーのファッション、ジュエリーなど高額品が健闘。ブライダルニーズは今月も継続して見られ、コロナウイルス第2波を想定してか、下見だけでなく成約にいたるケースが多いという。

また、3月の改装により売場拡大し、品揃えを充実させた時計売場が売上高40%増と好調な動きだった。

■高島屋(2020年2月期売上高:9190億円)
高島屋単体12店の売上高は前年同月比20.5%減、岡山高島屋、岐阜高島屋、高崎高島屋を含めた15店の売上高は20.2%減となった。

7月度の店頭売上は、免税売上の大幅な減少に加え、引き続き外出を控える傾向や、天候不順、夏セール前倒し開催の影響などにより、前年実績を下回った。

中元は、オンライン売上の好調により、前年並の推移となった。店舗別売上は、港南台店が閉店セールの効果により前年を上回った。

免税売上は92.2%減、免税を除いた売上は15.0%減となっている。

商品別売上(同社分類による16店舗ベース)は、全ての商品群が前年を下回っている。

■そごう・西武(2020年2月期売上高:6001億円)
そごう・西武15店の売上高は前年同月比15.5%減、西武池袋本店は20.7%減となった。

新型コロナウィルス感染拡大が入店・購買客数ともに大きく影響した。

定額給付金支給による需要でプレステージブランドは、前年に比べ伸長している。

また、先月に続きイエナカ需要の拡大により、インテリアは前年並みの売上を確保した。 一方、高級雑貨、衣料品は前年売上の8割弱に留まった。

免税利用売上高は70%減、客数は90%減となっている。

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