流通ニュースは、流通全般の最新ニュースを発信しています。





食品業の倒産/22年は3年ぶり増の535件、コロナ関連倒産は1.4倍増

2023年01月27日 14:40 / 経営

東京商工リサーチは1月26日、2022年の「食品業」の倒産(負債1000万円以上)調査の結果を発表した。

<22年の食品業の倒産3年ぶり増の535件>
22年の食品業の倒産3年ぶり増の535件
※出典:東京商工リサーチホームページ(以下同)

同調査によると、535件(前年比21.3%増)で、3年ぶりに前年を上回った。ただ、535件は1990年以降の30年間で、2021年(441件)に次ぐ、2番目の低水準だった。

535件のうち、新型コロナ関連倒産は232件(前年158件)で、食品業倒産の4割超(43.3%)を占めている。

倒産した「食品業」では、製造業が147件(前年比38.6%増、構成比27.4%)、卸売業が204件(同7.3%増、同38.1%)、小売業が184件(同26.8%増、同34.3%)となっている。

資本金別では、1千万円未満が310件(構成比57.9%)、負債額別も1億円未満が337件(同62.9%)とそれぞれ約6割を占めた。形態別は、破産が469件(同87.6%)と8割以上を占めた。

業種別(小分類)では、最多が「農畜産物・水産物卸売業」の117件(前年比21.8%増、構成比21.8%)で、3年ぶりに前年を上回っている。

そのほか、「畜産食料品製造業」11件(前年比266.6%増)と「食肉小売業」9件(同350.0%増)が2年ぶり、「各種食料品小売業」37件(同48.0%増)、「鮮魚小売業」15件(同87.5%増)、「菓子・パン小売業」44件(同2.3%増)が3年ぶり、「パン・菓子製造業」21件(同31.2%増)と「野菜・果実小売業」15件(同50.0%増)が4年ぶり、「野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業」11件(同120.0%増)と「酒小売業」13件(同30.0%増)が5年ぶりに、それぞれ前年を上回った。

<新型コロナ関連倒産最多が「農畜産物・水産物卸売業」48件>
新型コロナ関連倒産最多が「農畜産物・水産物卸売業」48件

新型コロナ関連倒産は、最多が「農畜産物・水産物卸売業」の48件(構成比41.0%、前年40件)だった。

「食料・飲料卸売業」42件(同48.2%、同34件)、「菓子・パン小売業」26件(同59.0%、同17件)が続いている。コロナ禍で外食産業やホテルなどの業況回復の遅れに加え、原材料価格が上昇する一方で価格転嫁が難しく、事業運営に影響を及ぼした。

原因別最多「販売不振」の389件

原因別は、最多が「販売不振」の389件(前年比19.3%増、構成比72.7%)で、3年ぶりに前年を上回った。

また、「既往のシワ寄せ」が66件(同10.0%増、同12.3%)で、4年ぶりに前年を上回った。『不況型』倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は455件(前年比17.5%増)で3年ぶりに前年を上回り、構成比は85.0%(前年87.7%)となっている。

形態別では、法的倒産が520件(前年比22.0%増)で、3年ぶりに前年を上回った。構成比は97.1%で、前年の96.5%を上回り、1993年以降の30年間で最高になった。消滅型倒産のうち、破産が469件(前年比27.7%増、構成比87.6%)で、3年ぶりに前年を上回った。特別清算が40件(同11.1%減、同7.4%)で、2年連続で前年を下回った。消滅型は509件(同23.5%増、同95.1%)で、構成比が30年間で最も高かった。

一方、民事再生法は10件(前年比28.5%減、前年14件)、会社更生法は1件(前年ゼロ)にとどまった。このほか、取引停止処分は14件(前年比27.2%増)で、3年ぶりに前年を上回った。

資本金別件数は、「1000万円未満」が310件(前年比17.4%増、前年264件)で、構成比は57.9%(前年59.8%)と、約6割となっている。

内訳は、「100万円以上500万円未満」が165件(前年比18.7%増)、「個人企業他」が63件(同12.5%増)、「500万円以上1000万円未満」が62件(同24.0%増)、「100万円未満」が20件(同5.2%増)だった。

このほか、「1000万円以上5000万円未満」が201件(同26.4%増)で5年ぶり、「5000万円以上1億円未満」が20件(同42.8%増)で2年ぶりに、それぞれ前年を上回った。「1億円以上」は、前年と同件数の4件だった。

負債額別、100億円以上は6年ぶりに発生

負債額別件数は、「1億円未満」が337件(前年比19.9%増、前年281件)で、構成比は62.9%(前年63.7%)となっている。

「1億円以上5億円未満」が143件(前年比19.1%増)で3年ぶり、「5億円以上10億円未満」33件(同37.5%増)と「10億円以上」22件(同37.5%増)が4年ぶりに、それぞれ前年を上回った。また、100億円以上は2件で、2016年以来、6年ぶりに発生した。

主な倒産は、イセ食品(東京、負債278億4700万円、3月)は、新型コロナ感染拡大による外食産業の不振などで業績が悪化。私的整理による再建を模索したが難航し、債権者から会社更生法を申し立てられた。肉の神明(東京、同208億400万円、9月)は、コロナ禍による外食産業の不振の影響などで事業環境が悪化した。飼料の高騰で採算が低下するなか、養豚場での疫病の発生もあって資金繰りは厳しさを増し、民事再生法を申請した。

■問い合わせ先
東京商工リサーチ 情報部
TEL:03-6910-3155

■倒産の関連記事
新型コロナ/経営破たん12月は月間最多の243件、飲食は累計759件

関連記事

経営 最新記事

一覧

最新ニュース

一覧