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太洋社/中堅出版取次業者、破産で負債76億円

2016年03月16日 11:00 / 経営

帝国データバンクによると、太洋社は3月15日、東京地裁へ自己破産を申請し、同日同地裁から破産手続き開始決定を受けた。

負債は2015年12月期末時点で約76億2900万円だが、その後に変動している可能性がある。出版取次業者の倒産では栗田出版販売の負債133億8200万円に次いで、過去2番目の負債額。

1946年3月創業、1953年8月に法人改組された。国内中堅の出版取次業者として、書籍・雑誌・教科書、ステーショナリーなどの取次販売を手がけていた。

特にコミックの扱いには力を入れ、「コミックの太洋社」と言われるなど業界での評価は高く、2005年6月期には年売上高約486億6700万円を計上していた。

しかし、近年は出版不況の影響を受けて当社業績も低迷。中小書店の廃業や新規取引先の開拓不足などから得意先は減少していた。

最近ではウェブ情報の台頭で雑誌販売の落ち込みが顕著となるなか、2015年6月期の年売上高は約171億2100万円に減少。同期までに10期連続減収、6期連続経常赤字を余儀なくされるなど、業況悪化に歯止めがかからない状態が続いていた。

この間、本社不動産の売却や人員削減等の合理化で立て直しを図っていたが、2015年6月には業界4位の栗田出版販売が民事再生法の適用を申請。

以降は自社に対する周囲の警戒感が高まり、大口得意先の帳合変更も相次ぐなか、2016年2月5日に自主廃業に向けた準備に入ったことを表明した。

しかし、その後の資産精査により書店からの売掛金回収が当初想定通りに進まない可能性が高まるなか、主要販売先の芳林堂書店(現・S企画)が2月26日に破産手続き開始決定を受けたことで、約8億円の焦げ付きが確定した。

その後、96.5%の書店(事業廃止を決めた書店は除く)で帳合変更のメドが立ったものの、一連の帳合変更に伴い約2億円の未回収が生じるなか、ここに来て自主廃業を断念し、自己破産申請に至った。

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