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東急不動産/渋谷のオフィスビルでサツマイモ栽培、空調省エネに

2023年06月06日 13:21 / 経営

東急不動産は6月6日、従前より取り組んでいるオフィスビル屋上での菜園活動「Vegetable Smiles」(ベジスマ)に、空調設備の省エネ効果が見込める仕組みである「室外機芋緑化システム」を取り入れ、より多くの施設に展開していくことを発表した。

<「渋谷スクエアA」での植え付け(6月4日)>

ベジスマは、同社保有オフィスビルの屋上やテラスで約10年にわたって実施している菜園活動。これまでにトウモロコシやブドウ、スイカなど50種類以上の野菜や果物を栽培・収穫しており、加工品づくりなどのイベントによるテナント同士のコミュニケーション醸成や、ビル内の飲食店舗のオリジナルメニュー作成、地域住⺠や近隣の保育園に通う子どもたちの環境教育などにつなげている。

一方の「室外機芋緑化システム」は、日建設計と住友商事が共同で開発した技術。空調室外機の周りに芋の葉を繁茂させ、葉による日陰効果と蒸散作用により機器周辺の温度を下げることで空調電力の低減効果を得る仕組みだ(2016年特許取得済)。

<芋緑化の仕組み>

芋緑化は、空調設備のエネルギー削減を目的とした取り組み。空調室外機の周りをサツマイモで緑化することで、葉の日陰効果や蒸散作用で周囲温度が低下し、機器の負荷を軽減させることで消費電力を削減する仕組みとなる。サツマイモは成⻑が早く、2か月程度で完全繁茂となるほか、病害虫にも強く対候性もあり、自動給水の潅水装置で人手がほとんどかからないといった各特長から、オフィスビルでの緑化と相性が良い。

<「ウノサワ東急ビル」屋上>

2021年にウノサワ東急ビル(東京都渋谷区)室外機置場での実証実験で、夏期のエネルギー削減傾向が見られたことから、2022年に渋谷道玄坂東急ビル(同)、新目⿊東急ビル(東京都品川区)へ設置範囲を広げて実証実験を継続している。加えて、省エネ効果の学術的な裏付けを得るため、日建設計と早稲田大学創造理工学部建築学科・高口研究室と共同研究も⾏い、日中で最大約10%の省エネ効果がもたらされることを確認した。

<収穫したサツマイモを使ったクッキー>

芋緑化は、副産物として成熟したサツマイモの収穫もできる。2022年度は合同会社渋谷肥料と協業し、ウノサワ東急ビルなど3施設で、テナントや近隣の小学生を招いた収穫イベントを開催。収穫された約300kgのサツマイモは、イベント参加者への配布や、焼きいも販売、取引先への手土産としてクッキーの製作などに使用した。今年は、6月上旬に植え付けを実施し、10月頃に収穫を予定。従前より⾏っていたベジスマと合わせてイベントを展開することで、テナント同士のコミュニケーションの促進と省エネを両立する。

<2023年度の屋上菜園・芋緑化施設>

同社は今後、これまでのノウハウを活かし、芋緑化を取り入れたベジスマを強化していく。渋谷道玄坂エリア(東京都渋谷区、国道246号沿い)を重点エリアとし、2023年度は芋緑化については新たに2施設(渋谷スクエアA、渋谷プレイス)、屋上菜園については4施設(渋谷ソラスタ、渋谷センタープレイス、渋谷道玄坂東急ビル、渋谷フクラス)に展開することで、ベジスマを⾏うビルは昨年度までの5施設から10施設へと拡大する。これからも広域渋谷圏を中心に果物、野菜を栽培し、テナントとの収穫体験会などのイベントや、収穫した作物を用いた製品化などについて検討を進め、脱炭素推進と交流機会創出を行っていく。

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