大和ハウス工業/「感染症対策に伴う休業」テナントと協議の場を検討
2020年09月29日 16:00 / 経営
大和ハウス工業は9月29日、コロナ禍を踏まえた今後のショッピングセンター(SC)の運営で、テナントの要望を踏まえて、感染症対策に伴う休業要請などがあった場合、協議の場を設けることを検討していることを明らかにした。
同日、都内で開催した記者会見で、流通店舗事業推進部の増田尚嘉SC事業部長が述べた。
大和ハウス工業では、現在、全国で17カ所のSCを運営している。内訳は、大型SC5施設、NSC8施設、単体4施設。テナント区画数は940区画で、床面積は11万3000m2となる。
4月に政府が新型コロナウイルス感染症対策として発令した緊急事態宣言を受け、テナントの約60%、500区画が休業となり、休業期間中や時短要請期間中に賃料を減額した。
テナントの約25%に相当する230区画から賃料減額の要請があったという。増田事業部長は、「テナント賃料に関しては、言ったもの勝ちになるのではなく、各施設の実情に合わせた対応が必要だと考えていた。そのため、各施設の休業に実態に合わせた対応をした」と語る。
例えば、茨城県つくば市の商業施設「イーアスつくば」では、220区画のうち65区画から賃料減額要請があったが、実際には生活必需品を展開する約20区画は営業を継続し、200区画が休業したため、200区画の賃料減額を実施したという。
■緊急事態宣言解除で物販需要回復、飲食不振は続く
緊急事態宣言解除後も、館ごとに6月末、場合によっては7月以降も飲食・サービスで、厳しいテナントの賃料減額を継続している。
緊急事態宣言解除後の状況は、物販店舗は元に戻りつつあり、生活必需品は前年超えとなっている。
一方で、巣ごり需要やテレワークの定着によるライフスタイルの変化で、外食需要が減少し、飲食店は回復が鈍い。前年対比で6~7割くらいの回復だという。
増田事業部長は、「これまでのSCは、食の割合が2割前後あった。これからは、イートインではなく、テイクアウト重視へ切り替える必要もある。今後、イートインスペースの見直しをする可能性もある。物販への切り替えやシェアオフィスへの転換など、社会を見ながら変化しないとSC自体の持続性がなくなってしまう」と述べた。
■コロナ禍を踏まえた契約も検討
コロナ禍を踏まえた感染症対策として、ソーシャルディスタンスが求められ客席が全席利用できない状況が続く飲食店テナントについては、「今後、賃料体系の見直しを含めた検討を行う。従来は、契約の中には、感染症対策や新型コロナウイルスといった文言はなく、両者の不可抗力による事態といった文言があった。テナントからは、感染症対策に伴う休業時の賃料について明記して欲しいとの声がある。具体的にどうするかは状況によるが、感染症対策による休業などがあった場合、協議の場をしっかり持つという考えをもっている」と語った。
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