吉野家HD、筑波大学ほか/新食材「玄米スプラウト」の実用化に向けた共同研究開始
2025年08月08日 10:45 / 経営
吉野家ホールディングス、筑波大学、菱熱工業の3者はこのほど、2025年7月より新食材「玄米スプラウト」の実用化に向けた共同研究を開始した。
玄米を若い葉が出るまで発芽させたもので、これまでの穀物という枠を超え、玄米を野菜として活用する取り組みとなる。近年の健康意識の高まりに対応して、栄養価が高く健康に良い玄米の喫食機会を広げることを目指す。
玄米は健康食として知られる一方、風味や手間の面から日常的に取り入れにくいと感じる人も少なくない。そこで、玄米を発芽させる「スプラウト」という新しいアプローチで、これまで穀物として捉えられてきた玄米の枠を超え、その栄養価を最大限に引き出し、より手軽に、より美味しく楽しめる方法を追求していく。
「玄米スプラウト」は、玄米がもつ豊富な食物繊維やビタミン、ミネラルに加えて、発芽させることによってビタミンCやβ-カロチン、食物繊維、GABAなどが増加するため、非常に高い栄養価があるという。クセのない味わいで、生食はもちろん、炒め物、和え物など調理の汎用性は高く、幅広い料理に用いて手軽に栄養を摂ることが可能だ。
また、水耕栽培のため環境変化に強く、安定供給を図ることができるサステナブルな食材としての側面も持ち合わせている。
この「玄米スプラウト」は、筑波大学生命環境系の粉川美踏准教授の研究に基づく。2018年より玄米スプラウトの研究開発に取り組み、その栽培・生産方法や技術課題、有効性の研究が行われてきた。数日間で新芽が摂食に適した3~5㎝まで生育する栽培条件・制御方法、野菜として摂取の有効性が見いだされ、2021年には特許出願済み。
今回2025年7月より、「玄米スプラウト」を一般にも普及させることができるよう、吉野家ホールディングスと水耕栽培プラントに多くの知見と実績を持つ菱熱工業が研究に参画。新食材の実用化に向けた共同研究を開始した。
なお、吉野家ホールディングスは、2025年3月から粉川准教授と実験室レベルからスケールアップを見据えた試験を進めている。今後は、さらなる実用化と産業化に向けた準備を進め、量産体制の確立を目指すと共に、吉野家での商品化も検討を進めていく。
流通ニュースでは小売・流通業界に特化した
B2B専門のニュースを平日毎朝メール配信しています。