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PPIH/米国カリフォルニア州のGRCY Holdings,Inc.買収

2021年02月24日 11:50 / 海外

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は2月24日、米国カリフォルニア州においてプレミアムスーパーマーケットチェーン「Gelson’s」を運営する企業グループの持株会社である、GRCY Holdings,Inc.の株式100%を取得すると発表した。

GRCY Holdings,Inc.が展開するGelson’sブランドのチェーンは、南カリフォルニアエリアに27店舗を展開し、売上高8億7200万ドル(2020年12月期)、創業70年の歴史を有する老舗のプレミアムスーパーマーケット。新型コロナウイルス禍の下でも、同社のブランドに対する安心感と、ロイヤルカスタマーの強い支持を受け、市場シェアを大きく伸ばしている。

Gelson’sが事業を展開する地域は、周辺地域を含めて人口増加が続いており、また、高品質な商品を求める消費者層が多いことから、今後も新規出店や既存店舗の集客増による継続的な発展が見込まれる。

今回の完全子会社化で、PPIHの海外売上高は年間2000億円規模に増加し、連結売上高の10%程度を占めるに至り、海外事業は、ディスカウントストア事業、総合スーパー事業に続くグループの新たな収益の柱になることが期待できる。

特に北米事業では、高いブランド認知とロイヤルカスタマー、経験豊富で市場を熟知した経営陣を有するGelson’sの加入は、経営基盤の強化と新業態展開、多店舗化という北米事業の課題の克服に向けて大きな力となることが見込まれる。

また、日本政府が2030年に農畜水産物の輸出額5兆円を目指す中で、PPIHがPPIC(Pan Pacific International Club)の設立を通じて目指す農産品輸出目標である3000億円の実現に向けた将来への布石ともなる。

Gelson’sも、PPIHグループを通じて供給するジャパンブランドの高品質商材を店舗に厳選して品ぞろえすることで、さらなる消費者の支持獲得につなげることに加えて、PPIHグループの既存の北米事業との間で、仕入れや資材調達などにおけるスケールメリットや経営効率の改善などのシナジーも見込めるため、成長はさらに加速するものと考えている。

PPIHは、2020年2月5日に公表した中長期経営計画「Passion2030」において、「顧客理解を深め、顧客最優先主義を徹底することによる企業価値向上」をビジョンに掲げ、国内で2兆円、海外で1兆円の売上高計3兆円、営業利益2000億円を目指して価値創造に取り組んでいる。

その中で、海外事業の売上高は、前期(2020年6月期)に1151億円まで伸長し、今期も第2四半期累計期間において対前期比で大幅な増収増益を実現しており、2021年1月末時点で北米38店舗、アジアで17店舗を展開している。

今回、PPIHは海外事業について、2024年6月期に「126店舗体制、売上高3000億円、営業利益率8%」を目指す3カ年計画を策定した。PPIHでは引き続きジャパンブランド・スペシャリティストアの構築と拡大を目指し、北米地域ではさらなる成長に向けた基盤づくりと新業態創造、アジア地域では主に新規出店による事業拡大に注力する方針だ。

北米事業はこれまで、2006年に初の海外店拠点としてTHE DAI’EI(USA)Inc.(ハワイ州、現Don Quijote(USA)Co.,Ltd.)とOriental Seafoods,Inc.の全株式を取得、2013年にMARUKAI CORPORATION(ハワイ州、カリフォルニア州)の全株式を取得、2017年にQSI,Inc.(ハワイ州)の全株式を取得するなど、M&Aを有効に活用した基盤づくりと事業拡大を実現してきた。

今後もアジア地域を含むPPIHの海外事業では、新規出店とM&Aの両輪で成長を加速し、グループの中長期的な企業価値向上につなげることを見込んでいる。

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