日本企業のロシア事業状況/事業停止・撤退は計71社に
2022年05月19日 15:40 / 海外
帝国データバンクは5月19日、日本企業の「ロシア進出」状況調査(5月)の結果を発表した。
同調査によると、2022年2月時点でロシアへの進出が判明した国内上場企業168社のうち、5月17日までにロシア事業の停止や制限・撤退を発表・公開した企業は、4割にあたる71社だった。
4月時点では3社が発表した、ロシア現地事業からの完全撤退を明言した企業は5月時点ではゼロだった。
ロシア事業の停止・撤退を巡っては、3月時点で全体に占める割合は22%だったものの、4月時点では36%に急増。3~4月にかけて、ロシアに進出する主要な日本企業でロシア事業の停止や撤退といった「脱ロシア」の動きが相次いでいる。
その後も脱ロシアの動きが加速するとみられたものの、5月時点でロシア事業の停止を表明した企業は前月から11社の増加にとどまり、4月時点の増加数(+23社)の半数以下と大幅に減少した。ロシア現地に工場や販売拠点を有する日本企業でも、工場の操業停止や同国との製品輸出入停止といった、ロシアと距離を置く動きが進んでいるが、ロシア事業からの「全面撤退」を表明する欧米企業との温度差が、ここに来てより鮮明となっているという。
事業の停止や中断となった企業の内訳では、製品の出荷・受注などを含む「取引停止」が33社で最も多かったものの、4月(31社)からは2社の増加にとどまった。次いで現地工場の稼働停止など「生産停止」(14社)が続き、3社増加。完成車メーカーを中心に、部品在庫の減少などからロシア工場の生産停止が相次いだ。店舗や、現地の販売活動などを含めた「営業停止」は10社で、前月から1社増加した。
同社は「将来的な事業再開・撤退についても言明を避けるケースが多く、ロシア事業をめぐっては各社で温度差が見られる。ロシアによる軍事侵攻に深い憂慮や懸念を表明する企業は増えているものの、ロシア事業の停止理由として物流停滞、部品調達難による、現地生産、商品の配送などサプライチェーン面の混乱を挙げる企業が多い」と分析している。
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