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イオン/2月期当期損失710億円、次期当期利益200億~300億円見込む

2021年04月09日 19:00 / 決算

イオンが4月9日に発表した2021年2月期決算によると、営業収益8兆6039億1000万円(前期比0.0%減)、営業利益1505億8600万円(30.1%減)、経常利益1388億100万円(32.6%減)、親会社に帰属する当期損失710億2400万円(前期は268億3800万円の利益)となった。

営業収益、営業利益、経常利益は12月に公表した連結業績予想を上回ったが、親会社株主に帰属する当期純損失は710億2400万円(前期より978億6300万円の減益)となった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う店舗の一時休業や営業時間短縮、重要な事業パートナーであるテナント専門店企業に対する賃料減免、経営効率改善のための在庫削減など、一過性或いは今後の収益性改善に資する施策によるものであり、2022年2月期は黒字回復を見込む。

<吉田昭夫社長>
吉田昭夫社長

同日行われたオンライン記者会見で吉田昭夫社長は、「当期損失は一時的な休業の影響や商品評価損(在庫削減)によるもの。2019年度までヘルス&ウェルネス、フィナンシャル、デベロッパー事業がけん引してきたが、2021年度は現在好調なスーパー・GMSの売上も加わり2020年2月期並みに回復予定だ。各事業会社はネットスーパーも好調で、リアル店舗を持つ強みを生かしつつ、デジタル化を一層強化していく」と説明した。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限や自粛が続く中で、地域の暮らしを支えるライフラインとして食品・生活必需品の販売を通年で継続したSM(スーパーマーケット)事業とヘルス&ウエルネス事業は大幅な増益となった。

GMS(総合スーパー)事業は4月に発令された緊急事態宣言に伴う外出自粛やテナントゾーンの営業休止の影響を受けたが、体質改善策として在庫の削減に取り組み、売上総利益率は改善基調。加えて経費削減も推進し、収益性向上に注力した。総合金融事業、ディベロッパー事業、サービス・専門店事業、国際事業は国内外の緊急事態宣言、ロックダウンなどに伴う営業休止や営業時間短縮の影響を受けたが、防疫の徹底、ニューノーマルへの確実な対応、収益改善への取り組みにより回復基調にあるという。

GMS事業は、営業収益3兆695億1000万円(前期比0.0%)、営業損失156億8900万円(前期より229億1300万円の減益)。

イオンリテールはネットスーパーの需要拡大に対応。2月末までに、店舗受け取りを200店舗に拡充した。クリスマス、おせち、節分等、催事でのネット予約販売を強化した。

また、11月に「心もカラダも健康に。豊かな暮らしに密着したお店」をコンセプトとし、新しい生活様式に対応したイオンスタイルふじみ野(埼玉県)をグランドオープンするなど12店舗を新規出店している。

イオン北海道は、3月にマックスバリュ北海道と経営統合し新生イオン北海道としてスタート。食のSPA化を推進するため設置した食品商品開発部による産地開発や商品開発に取り組み、北海道産の原料を使用した地域ならではの商品を約760品目開発している。

ネットスーパーの需要の高まりに対応し、システム機能改善による受注件数拡大に努め、売上高は前期比32.3%増となった。インターネットショップ「eショップ」では、ギフトが堅調であったことに加え、「イオンのおもちゃ」等のWeb 専用サイト6企画を立ち上げ、売上高は前期比65.6%増。これらの取り組みと経営統合により、同社の業績は増収増益となっている。

SM事業は、営業収益3兆2656億6900万円(1.3%増)、営業利益506億8700万円(135.7%増)。

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスグループは、デジタル化の取り組みとしては、顧客が会計の際にレジに並ぶことなく、自身のスマートフォンで簡単で安心、スムーズな買物が可能となる決済機能「スキャン&ゴー」をカスミで先行導入・拡大したのを皮切りに、マルエツとマックスバリュ関東にも導入した。加えて、スマートフォンで注文した商品を店頭の無人ピックアップルームやエリア内の指定配送先で受け取れる「オンラインデリバリー」を開始した。

マックスバリュ東海は、コロナ下における内食需要と節約志向の高まりに対応すべく、生鮮食品や購買頻度の高い商品の展開強化、価格訴求力の向上に加え、個包装による小容量商品の品揃えの徹底している。

ダイエー営業収益3101億円、営業利益33億円、当期純利益40億円。営業利益は2011年度以来、当期純利益は2007年度以来の黒字化となった。

ヘルス&ウエルネス事業は、営業収益9565億9600万円(8.9%増)、営業利益415億3200万円(16.6%増)。

調剤併設店舗の増加(前期末より201店舗純増の1643店舗)により売上が堅調に推移した。同社グループの店舗数は計2217店舗となっている。

総合金融事業は、営業収益4875億7200万円(0.6%増)、営業利益426億4800万円(39.5%減)。

ディベロッパー事業は、営業収益3270億1700万円(12.1%減)、営業利益357億3800万円(43.5%減)。

サービス・専門店事業は、営業収益6423億2300万円(13.7%減%)、営業損失176億9000万円(前期より222億1100万円の減益)。

国際事業は、営業収益4144億1300万円(5.6%減)、営業利益60億6800万円(43.7%減)。

総合金融、ディベロッパー、サービス・専門店、国際は国内外の緊急事態宣言などによる営業休止、時短営業の影響を大きく受けた。

次期は、事業環境が不透明であることから、利益面は幅を持って予想している。営業収益8兆6200億円(0.2%増)、営業利益2000億円~2200億円(32.8%増~46.1%増)、経常利益1900億円~2100億円(36.9%増~51.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益200億円~300億円を見込んでいる。

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