すかいらーく／アルバイト定着率の改善に向け、新マニュアルシステム導入

2018年02月05日 13:15 ／ IT・システム

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すかいらーくは2月5日、マニュアル作成・共有プラットフォーム「Teachme Biz（ティーチミー・ビズ）」をガスト全店に導入したと発表した。

今後、「バーミヤン」「ジョナサン」「夢庵」「ステーキガスト」など、グループの全ブランドに導入し、約3000店で約10万人の従業員のトレーニング体制を確立する。

＜ティーチミー・ビズの概要＞

ティーチミー・ビズは、スタディストが提供するスマートフォンやタブレット、パソコンで簡単に業務マニュアルや手順書を作成できるマニュアル作成・共有プラットフォームで、マニュアルの作成時間を従来比で5分の1に短縮できるという。

クラウドを活用したシステムのため、閲覧、共有、マニュアルの改定が簡単にでき、常に最新の状況が共有できる。

マニュアルの更新を一斉にできるのが、クラウドシステムのメリットで、マニュアルの更新が店舗ごとに異なり、各店舗が結果的に、違うマニュアルで運営される課題を解決できるという。

スタディストとすかいらーくは2017年3月から、約30店舗で実地検証を行い、大規模運用におけるティーチミー・ビズの機能面と運用面での課題を整理し、9月からガスト全店（1367店・12月末現在）に導入していた。

＜すかいらーくでの活用例＞

すかいらーくでは、メニュー改定ごとに変わる調理方法を分かりやすく伝えることが課題となっており、今回、画像を活用した調理マニュアルを作成した。

IDとパスワードを活用することで、従業員が個人で使っている端末からも、マニュアルが読め、通勤途中などでも簡単にマニュアルを確認できる。

また、これまでの紙ベースのマニュアルは、文章を中心としたもののため、外国人の従業員向けには、翻訳できていない課題があった。

今回は、画像を活用したことで、使用する文字数を大幅に削減できたため、マニュアルを、英語、中国語、韓国語、ベトナム語の4か国後に対応させた。

ティーチミー・ビズは、店舗での接客、調理などの実務作業を中心に活用。そのほかの動画による、従業員育成プログラムや社長の社内向けアナウンスなどを配信する動画共有ホルダも併用することで、総合的なトレーニングを実現する。

すかいらーく常務執行役員コーポレートサポート本部マネージングディレクター兼人財本部マネージングディレクターを務める金谷実氏は、「すかいらーくでは、年間で15万人がパート・アルバイトの応募があり、5万人を超える採用しているが、同じくらいの人が辞めている実情がある。人手不足や採用難ではないが、パート・アルバイトの定着率を改善させることがメニューや接客の向上につながる」と述べた。

＜パート・アルバイトの採用状況＞

ティーチミー・ビズを導入することによる重要業績評価指標は特に設けていないが、スマホやタブレットを活用して簡単にマニュアルを作ることがため、マネージャーの勤務時間の短縮にも効果が期待できる。

先行導入したガストでは、画像を活用したマニュアルが好評で、全アルバイトに読ませたいという声も上がっているという。

＜在籍者数と定着率＞

現在、新入社員の3年以内の離職率は30％弱、パート・アルバイトが採用1年以内に退職する割合は約60％となっている。

人財本部では、2、3年以内に、新入社員の3年以内の離職率を20％、パート・アルバイトの1年以内の離職率を50％程度にする目標を掲げている。

金谷常務は、「パート・アルバイトが辞めてしまう一番の理由は、仕事が覚えられない点にある。メニューのオペレーションが比較的容易な『しゃぶ葉』の定着率は高く、メニュー作りが複雑な『藍屋』は定着率が低い傾向が出ている。メニューの調理方法を簡単に伝えることができるティーチミー・ビズを導入することで、パート・アルバイトの定着率を改善したい」と語る。

ティーチミー・ビズを数万人単位の規模で活用するのは、初めての取り組みで、今後、すかいらーくとスタディストが協力して、大規模での利用に即した機能・運用などの改善・開発を行う。

IDとパスワードは、店舗コードや従業員コードなど組み合わせて定期的に変更することで、個人の端末の紛失時でもむやみにマニュアルが見れない工夫をした。

金谷常務は、「紙のマニュアルであっても持ち出されてしまえば、ノウハウが流出するリスクは同じだ。食材や調理方法が多少、流出するリスクはあるが、他社が簡単に食材や調理方法をまねることはできない。リスクをとっても、従業員教育を改善していく」と述べた。

＜金谷常務とスタディストの庄司啓太郎COO＞