東京ミッドタウン八重洲/デジタルツインを用いたデリバリーロボなどの実証実験開始
2025年01月20日 13:30 / IT・システム
三井不動産と東日本電信電話(NTT東日本)は1月17日、「東京ミッドタウン八重洲」(東京都中央区)4・5階で、ローカル5Gを活用した大規模複合施設向けデジタルツインの実証実験を1月から開始したことを発表した。
デジタルツインとは、リアルタイムで収集するデータをもとに、仮想空間に現実世界と双子(ツイン)のようによく似た世界を再現・構築するテクノロジーを指す。
今回の実証では、三次元点群データと画像データを組み合わせたデジタルツインをクラウド上に構築。施設内の「デリバリーロボット」や「ARナビゲーション・プロモーション」などのサービスに活かし、DXを用いた施設運営を一層推進する。
高速大容量伝送が可能なローカル5G環境下では、膨大な画像データを素早く処理することで、デジタルツインを短時間でクラウド上に構築することができる。デジタルツインはスマートフォンなどでの簡易な更新が可能であるほか、VPS(Visual Positioning System = 画像情報を利用した位置特定システム)を利用した位置測位も可能だ。
これによりGPSの電波が届きにくい屋内でも精度の高い位置特定が可能となり、さまざまな場面での活用が期待できる。今回の実証では、デジタルツインのマルチサービス活用における構築方法や更新性、拡張していく場合の課題などの整理・解決を図るという。
まずロボットがデジタルツインなどを活用して自立的に動作する「クラウドロボティクス」の実装に向けて、クラウド上で移動制御を行う「クラウド接続型デリバリーロボット」を導入する。
デリバリーロボットは、クラウド上のデジタルツインを地図として用い、VPSによる位置測位を行うことで、自身の現在地を正確かつリアルタイムに把握する。加えて、デジタルツインが更新された際には即時に全てのデリバリーロボットの経路に反映することが可能。互いの位置を把握した上での移動制御もでき、建物内で100台規模のデリバリーロボットを集中制御・管理できる。
デリバリーロボットを、建物内のセキュリティやエレベーター制御システムと連動させることで、施設内の飲食店からオフィスワーカーに向けてスムーズな配送を実現し、ワーカーの利便性と快適性に寄与するという。
また、クラウド上に構築したデジタルツインを活用し、来館者の施設内における目的地までのスムーズなナビゲーションを実証する予定。加えて、AR(拡張現実)上で館内店舗の商品紹介やクーポンを表示するプロモーションを行うなど、来館者への新たな施設体験を創出する。
AR表示するデバイスとして、スマートフォンやタブレットだけでなくNTTコノキューデバイス製XRグラス「MiRZA(ミルザ)」も活用し、XR(クロスリアリティ)とデジタルツインとの連携も検討・実証していく。
今後の展望としては、人材不足が課題であるビル管理にも活用する。将来的には、街全体にデジタルツインを拡張し、人流分析や災害対策への活用などを視野にいれ、新たな街づくりを目指していく考えだ。
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