トライアル西友/新フォーマット1号店「花小金井店」オープン、九州の食品が充実
2025年11月28日 14:48 / 店舗レポート
トライアルホールディングス傘下のSTリテールは11月28日、トライアルと西友の強みを融合した新フォーマットの第1号店「トライアル西友 花小金井店」(東京都小平市)をグランドオープンした。
<テープカットの様子>

※左からSTリテールの出口社長、西友の楢木野社長、花小金井商栄会の飯野会長、竹下製菓の竹下社長、同店の鳥谷部店長
「トライアル西友」は、トライアルのITを活用したスマートで効率的な購買体験の強み、西友の都市型立地等の強みを融合させ、両社の「おいしい食」へのこだわりを反映させた新業態。「GMS再生」モデルづくりを目指した都市型の新フォーマットだという。デジタル技術と品質管理ノウハウ等の導入を通じ、持続可能なローコストオペレーションの確立を目指す。
1号店は、西武新宿線「花小金井駅」から徒歩約3分の場所に位置する「西友花小金井店」(10月26日閉店)を改装したもの。1階では生鮮食品や総菜・加工食品、2階は酒類や日用品・衣料品などを取りそろえた。24時間営業で利便性の高い店舗となる。売場面積は約2644m2で、取り扱いアイテム数を従来の1万5000点から、今回2万5000点まで増強した。
トライアルのIT技術導入により効率化は進んだが、売場の人員自体は増やしているという。STリテールの出口直樹社長は「お客様の支持を確実にいただくために、生鮮の品ぞろえを強化すべく人員を増強した。スキップカート(セルフレジ付カート)を1階・2階の両フロアに導入し、レジ人件費の削減には力を入れている」と説明する。
メガセンタートライアルで導入している生鮮の強化カテゴリを大々的に投入した。鮮魚の生魚を使った寿司の導入や、店内加工に変更した精肉の販売に注力。これまではPC(プロセスセンター)からの商品供給が中心で、商品のグレードも限定的になっていたことから、ランクも含めて品ぞろえを強化した。「特に西友の支持基盤の厚い生鮮で、大きく変わった姿を象徴的に表現したい」という。
このほか、日用品や衣料品も含め、徒歩商圏の顧客の買い場として十分強みを生かせるようアイテム数を拡充。西友のPB「みなさまのお墨付き」など既に支持を集めている商品も最大限活かしたい考えだ。
トライアルによる都内初のスマートストアとして、スキップカートを80台導入。専用のプリペイドカードをカートに登録し、付属するスキャナーで顧客自らが商品バーコードを読み取ることで、通常のレジでの商品登録や会計の手順を省き、専用ゲートを通過するだけでキャッシュレス会計を済ますことができる。
軽量かつ画面が見やすく、商品を入れやすい設計で、商品のスキャン忘れを通知する機能も付属。顧客の属性や購買履歴などのデータを活用し、各個人に最適な商品をAIが選択してタブレット上でお勧めするレコメンド機能も搭載した。
店内の各所にはサイネージを配備。館内の音声と連動して出来立ての総菜を告知したり、季節や催事に合わせた訴求コンテンツを配信したりするなど、売場に合わせた映像や写真のオリジナルコンテンツを配信する。音声付きで店内一斉放送も可能だという。
リテールメディアの活用にも注力する。1階中央では、サイネージを横1列にずらりと並べ、開業時にはサントリーホールディングスのアルコール飲料を販促。ポップも活用して2階の関連商品売場への送客も促す。
売場では、「九州愛」をテーマに買物の楽しさを表現。福岡発のトライアルの東京進出に伴い、NB品は九州メーカーのアイテムを充実させた。明太子や馬刺しなど地元民のソウルフードが充実。冷凍食品では「資さんうどん」の肉うどん・肉ごぼ天うどんやぼた餅も取り扱う。
竹下製菓の「ブラックモンブラン」のポップアップスペースも設置。オープン日から3日間は子ども向けに500本/日限定で無料配布する。
精肉売場では、挽肉、切り落とし、薄切り、ブロック肉等、調理用途に分けて販売。A5等級の黒毛和牛ロースステーキや中落カルビといった高価格帯の商材も豊富に取り扱う。おつまみ類も充実させた。
鮮魚売場ではトライアルで人気の生魚を使った「寿司」も新たに導入。ネタの旬や鮮度にこだわり、可能な限り生の寿司ネタを使うなどの工夫をした本格的な寿司が、手頃な値段で楽しめるという。生サーモンの刺身用柵やクロマグロのブーメラン等も販売する。
青果売場では、旬の果物・野菜をエキサイティングプライスで提供。野菜の品種別おいしさチャート表、食べごろチャート表も掲示して、顧客に伝わりやすいように商品の魅力を訴求していく。
総菜売場では、こはく本舗(11月に「明治屋」からブランド名変更)の職人が監修した、プロの味を手軽に楽しめるトライアル自慢の商品群が並ぶ。職人の味を専用の調理マシンで再現した人気No.1商品「三元豚ロースカツ重」(税込299円)をはじめとするリーズナブルな価格帯の商品をラインアップ。関東人の味覚に合うよう、同カツ重の味付けはリニューアル済みだという。
揚げ物類はバイキング形式で提供。フライドチキンに天ぷら各種、揚げもち串といった多彩なラインアップを用意した。
ベーカリーでは、「とろけるマルゲリータピザ」(1ホール645円)のほか、おやつや軽食に適した「マフィンアソート」(2個429円)や「ミニドーナツセット」(8個429円)などが並ぶ。
2階の売場では、非食品のカテゴリーを強化。特にビューティー部門の品ぞろえを充実させた。加えて、洗剤などの日用品や家電なども販売している。
トライアルで人気の低価格・高品質なオリジナル・アパレル商品も導入。累計販売数600万枚(2025年3月時点)を突破した発熱・保温・保湿などの快適機能を備えたインナー「ONFEEL(オンフィール)」、軽くて暖かい着心地の「シルキーフリース」をはじめとする機能性・ファッション性を両立した商品を用意した。
酒売場も西友時代の1階から2階へ移動し、以前の約3倍の品ぞろえを実現しているほか、ここでも九州愛をテーマに焼酎を多数品ぞろえしている。
また、今後の展開については、2026年に神奈川県で西友・トライアル2号店「武蔵新城店」を開業する予定。店舗の選定条件については「まずはトライアルと西友の両者の強みを生かせる売場面積を持つこと。あとは商圏のポテンシャルによる伸びしろ」(出口社長)から判断しているという。順次、出店計画を進めていく。
■トライアル西友 花小金井店
所在地:東京都小平市花小金井1-2-23
営業時間:24時間(年中無休)
店舗面積:3570m2(約1080坪)
売場面積:2644m2(800坪)
駐車台数:144台
取材・執筆 古川勝平
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