カインズ吉川美南店/次世代型店舗12/11オープン、DXを加速・ペット施策も強化
2025年12月09日 17:44 / 店舗レポート
カインズは12月11日、JR武蔵野線・吉川美南駅の東口に「カインズ吉川美南店」(埼玉県吉川市)をグランドオープンする。9日、メディア向けに内覧会を開催した。
これまでIT小売業の実現を目指す第3創業期として取り組んできた施策を盛り込んだ次世代型店舗となる。約1万2300m2の売場で日用品・ペット用品・インテリア・グリーンなど約7万7000点を取り扱う。自律走行搬送ロボットにより品出し作業時間を削減し、広大な売場に電子棚札を導入するなどDX投資に注力。チェーンストアオペレーションのリモデルを掲げ、人事生産性を同規模店舗比で20%向上を目指す。
今回の吉川美南店について、カインズの高家正行社長は「PROJECT KINDNESS(19年に発表した中計)がスタートして以降、約6年にわたるさまざまな取り組みをすべて集約をさせて、新しいカインズという店をスタートしていく。まさに次世代型店舗のスタートラインだ」と位置付けている。
既存の店舗は約1年間で店舗開発し、これまでに262店舗を立ち上げた。263店舗目となる今回は、準備期間に3年間も要したという。
高家社長は「新しい顧客価値、次世代型のチェーンストアオペレーション、この店舗で働くメンバーの新たな成長。これら3つを実現したい。あくまでもこれがスタートライン。ここからさまざまな進化を遂げていきながら、1歩ずつカインズの次世代型店舗を作っていき、かつ、それを既存の(約)260店舗にも広げていきたい」と意気込む。
店舗コンセプトは「発見と体験にあふれた、くらしの庭へ。」。リアル店舗ならではの体験・価値を追求し、買物の予定が無くても、つい立ち寄ってしまいたくなる居心地の良い空間づくりを行う。加えて、従業員の持つ「Kindness(親切心)」と最新のテクノロジーを通じて、買物がしやすく楽しくなるサービスを提供していく。
店内2カ所の入口付近に、商品の提案や売場案内を行うAI接客サイネージ「スマートフロアナビ」を導入した。カインズ店舗での問い合わせで圧倒的に多いのが、目当ての商品がある売場の場所に関すること。スマートフロアナビを導入することで、広い店内で店員が見つからない、商品の場所が分からない顧客の困りごとを解消する。試算見込みで、売場案内に要する時間を年間約8000時間ほど削減できるという。
同店の石井幸太郎店長は「テクノロジーの活用や業務改革は人数削減そのものを目的としているものではない。厳しい人手不足が続く時代の中で、人は人にしかできない仕事に注力するようにすること、カインズならではのカインドネスな価値を提供すること、メンバーの成長の実現につながることを目指す」と述べた。
店内には、ペットサービス・ペット用品も充実。屋外に設置した予約制のスマートドッグランに加え、ペットショップ「Pet’sOne(ペッツワン)」を導入し、しつけ教室やトリミングサロン、ペットホテル、フォトスタジオを完備している。
顧客の休憩にも利用できるスペースとして、マフィンが人気の「カフェブリッコ」を導入。初のテラス席を設けることで愛犬と一緒にカフェタイムを楽しめるようにした。
敷地内には、24時間営業の無人店舗「カインズモバイルストア」も新設。カインズの人気商品や消耗品など1200SKUを備えた。散策やドッグランの利用と合わせてカフェで休憩したり、カインズモバイルストアで飲料や軽食、犬のおやつも購入できるようにするなど、吉川美南店はペットフレンドリーな店でもある。
そしてカインズ吉川美南店に隣接して、ベイシアグループの動物病院2号店「ハグウェル動物総合病院 吉川美南院」を2026年7月に開業する予定。現在、開院に向けて獣医師・看護師・受付事務のオープニングスタッフを募集している。動物病院の開院後は、ペットの健康面も含め、一気通貫で充実したペットライフの実現をサポートしていく。
家庭用品やインテリアなどは、展示見本や試せる売場を豊富に用意。このうち洗剤など香りが購買の決め手になる商品については、デジタル技術を活用して実際の香りが噴射される「香り見本」の箱も導入した。画面上の気になる商品の画像をタップすると、箱に空いた穴から該当商品の香りが噴射されるという仕組み。香りの噴射には3000回分のストックがあるため、好きな香りを気兼ねなく嗅げる。
ファブリック売場では、床に敷くラグパッドの踏み心地や、マットレスの使用感を寝転がって試せるようにするなど、体験型の展示を充実させた。カーテン売場では、光源の前に商品を吊るして遮光具合を確認したり、好きなカーテンの組み合わせを試したりできる「カーテンフィッティングサービス」も導入している。
気軽に相談できるリフォームカウンターやサイクルコーナーなど、各専門コーナーも充実させた。
店内には販売ロボットが2台走行。鼻の部分がマイクになっており、話しかけると接客対応を行う。売場の案内がメインの対応になるが、ロボットの後部に商品を積むことも可能で、陳列業務を担うこともある。
販売ロボとは別に、品出し作業時間を短縮するための自律走行搬送ロボット「AMR」も2台導入した。開店前の深夜帯に倉庫からの品出しを行うことで、従業員の陳列作業をサポート。日中の作業時間を月間で約100時間も削減するという。
欲しい商品の有無をチェックできる「デジタルオーダーコーナー」も設置。店に無い商品の取り寄せもでき、オンラインショップ14万点の中から探せる。売場の案内、WEBから注文、取り寄せ用の伝票プリントなどが可能だ。
■カインズ 吉川美南店
所在地:埼玉県吉川市中曽根917-1
交通:JR武蔵野線「吉川美南駅」東口すぐ
営業時間:10時~20時
売場面積:約1万2300m2
オープン日:2025年12月11日
取材・執筆 古川勝平
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