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三喜商事/代官山にアパレル業界の未来を創る総合体験型の実験店舗

2023年06月20日 11:30 / 店舗

ヨーロッパを中心に数々のファッション製品を輸入し、「ライフスタイルに新しい夜明けをもたらす」をミッションとする三喜商事は6月22日~25日の期間限定で、東京・代官山の「CANVAS TOKYO ATELIER(キャンバス・トーキョー・アトリエ)」に、実験店舗をオープンする。

三喜商事は約70年にわたって、高級インポートファッションの世界を牽引してきた。一方で、昨今のアパレル業界に対して、極めて強い危機感を抱いている。危機感はアパレル業界にとって未曾有の逆風であったコロナ禍を経て、一層強いものとなったという。

危機感のひとつとして、「ラグジュアリーとファストファッションの二極化、リセールや古着市場の成長などにより、中間に位置するブランドや商品が売れなくなっている」ことがある。ごく一部の世界的な知名度を誇るハイブランドを除き、高品質でデザイン性も優れたクラフトマンシップ溢れる製品が売れにくくなっている。

昨年11月に矢野経済研究所が発表した国内アパレル市場の調査によると、2021年の国内アパレル総小売市場規模は7兆6105億円で前年比1.3%と、2020年をわずかに上回った。EC販売の拡大はあったものの、全体の流通量はコロナ禍以前の約8割にとどまっている。

また単価も下がり続けている。経済産業省の「繊維産業の課題と経済産業省の取組」によると、衣料品の購入・輸入単価は1991年の6割程度にまで落ち込んでいる。「オンライン勤務が当たり前になったことで、服を買う頻度が減った」「物価高によって服にかけられる予算が減った」などが原因と思われる。

アパレル業界には従来のように「服を並べて販売する」だけではなく、アパレルという枠に捉われない、飲食や文化発信などライフスタイル全体での価値提案が必要となっているのではないかといった問題意識を強くもっているという。

危機感の2つ目は「現在の高級アパレル産業のビジネスモデルがもはや持続可能なものではないのではないか」というものだ。国連貿易開発会議で「アパレル業界は世界第2位の環境汚染産業」と指摘された。環境庁の「ファッションと環境」によると、ファッション業界のCO2排出量は合計12億トン。これは国際航空業界と海運業界を足したものよりも多い量となる。

大量生産し、シーズン終了間際に残りをセールで大幅値下げし、それでも残ってしまったものは廃棄する。こうした従来型のアパレル産業のビジネスモデルはSDGsへの関心が高まるなかで、もはや支持されるものではない。これからのアパレル産業には「捨てないビジネスモデル」が求められている。

<出展ブランドの一例・A Bronze Age>
出展ブランドの一例・A Bronze Age

今回、問題の解決策となるような実験店を期間限定でオープンする。「UPDATE YOUR LIFE(アップデート・ユア・ライフ)」をコンセプトにした空間で、単に「服を陳列するだけ」ではなく、ブランドストーリーや生産背景を理解し、実際に感じられる空間を創出する。大量に仕入れて販売するのではなく、一部のブランドを除いてカスタムオーダーや注文を承った商品のみを生産することで課題解決に取り組む。

今回の店舗では、複数のブランドを展開するが、いずれも三喜商事が、次の時代に向けて自信を持って生活者に提案するブランドとなる。例えば、「A Bronze Age(ブロンズエイジ)」は2016年にカナダで設立された、注目のライフスタイルブランド。「季節や流行に関係なく、長く愛用できる作品」をテーマにしている。現代女性の日常に寄り添う高品質なアイテムは地元で、手作業で作られている。

「MICHAELA BUERGER(ミカエラ・ビュルガー)」は2012年にフランスのパリで設立されたオーストリアの伝統的なハンドクラフト技術を用いて作られる、ニットウェアブランド。ボスニアヘルツェゴビナなどに暮らす女性たちの経済的、社会的自立を支援するために東ヨーロッパのニッターと共同制作をしているという。

■店舗概要
会場:CANVAS TOKYO ATELIER(キャンバス・トーキョー・アトリエ)
東京都渋谷区代官山町11−12
日進ヒルズ代官山1階
アクセス:代官山駅から徒歩7分
スケジュール
6月22日~23日※インビテーションの人限定
6月24日~25日※入場料無料、誰でも入店可能
開場時間:12時~18時
※6月22日~23日は17時30分最終受付

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