上場企業/暖冬で小売業46社・卸売業26社にマイナス影響
2020年02月28日 14:30 / 経営
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東京商工リサーチは2月26日、全上場企業「暖冬」の影響・対応調査を発表した。調査によると、小売業46社、卸売業26社が暖冬により、業績にマイナスの影響があると開示した。
記録的な暖冬がジワジワと上場企業の業績に影響を与えている。2019年10月の消費増税による消費マインド悪化とのダブルパンチで、暖冬の影響は広範囲に及んでいる。
なかでもアパレル関連は、冬物衣料の販売不振が直撃、業績の下方修正が相次いでいる。今後は暖冬に加え、新型コロナウイルスの感染拡大でイベント中止が広がり、消費の冷え込みに拍車をかけることが危惧され、業績への影響がさらに広がる可能性もでてきた。調査は、国内の各証券取引所に株式上場する企業を対象に、2020年1月1日から2月25日の適時開示資料をもとに情報を収集、調査した。
2月25日現在、「暖冬」関連による影響や対応について情報開示した上場企業は159社だった。うち、「マイナスの影響がある」は144社(構成比90.5%)と9割にのぼった。
マイナスの影響を開示した144社を業種別でみると、トップは製造業で56社と約4割(構成比38.8%)を占めた。次いで、小売業46社、卸売業26社、運輸業8社と続く。製造業の56社の扱い品は、繊維製品16社、化学11社が上位に並んだ。これは衣料やその原料の化学製品を取り扱う企業が大半で、売上高の不振や在庫の評価損の計上などで業績の下方修正につながった。また、ゴム製品(6社)と金属製品(5社)は、降雪量の減少でスタッドレスタイヤ、暖房機器関連の落ち込みが響いた。
159社のうち、30社(構成比18.8%)が業績予想を修正(見込み含む)した。このうち、28社が、売上高や利益の減少など業績へのマイナス影響をあげた。28社の業種別は、最多が製造業の13社、次いで、小売業11社、卸売業4社と続く。また、28社のうち15社で、コートやダウンなど重衣料を中心とした冬物衣料の販売が大きく落ち込み、冬物商戦の苦戦が色濃く表れた。
一方、2社が暖冬で業績に好影響を受けた。岩盤や基礎工事などを手がける特殊土木の大手、日特建設は降雪地での施工が順調で業績を上方修正した。また、電力小売のグリムスは、暖冬による電力市場の安値推移が追い風となったほか、電力の調達価格の下落もあって、3月本決算で上方修正を見込んでいる。
■肉まん・あんまん、ホット飲料不調
食料品は5社がマイナスの影響を開示した。井村屋グループは、業績予想を下方修正した。冬場に需要が伸びる肉まん・あんまん等の点心販売が伸び悩んだ。
温かいドリンク類の需要も低調だった。サッポロホールディングスは、連結子会社のポッカサッポロフード&ビバレッジが販売するスープ商品「じっくりコトコト」シリーズが苦戦。名糖産業は、暖冬で飲料用の粉末ココア販売が苦戦した。
ゴム製品は、タイヤメーカー3社が降雪量の減少でスタッドレスタイヤ需要に影響を受けた。カイロ類も販売が苦戦。エステー、小林製薬、オカモトのメーカー3社だけでなく、カイロ用鉄粉を扱うパウダーテックも原料需要が伸び悩んだ。
気象庁によると、東京の平均気温は2019年12月以降、前年を上回り、2020年に入っても2か月連続で前年を1度以上上回る日が続いている。暖冬に続き、年初から新型コロナウイルスの影響も深刻さを増しており、外出の抑制や各地で予定された催事の中止などにより、国内消費はさらに低迷することも懸念されている。
今後、アパレル関連のほか、外食を含むサービス業など、さまざまな業種でも影響が広がる可能性があり、上場企業の業績下振れが増える可能性も高まっている。
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