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カインズ/東急ハンズ買収、DIY文化の共創パートナーとしてシナジー見込む

2021年12月22日 15:58 / 経営

カインズは12月22日、東急不動産ホールディングスから東急ハンズの全株式(1440万株)を取得すると発表した。

<カインズの高家正行社長>
カインズの高家正行社長

2022年3月31日付で、カインズは東急ハンズを新たなDIY文化の共創に向けたパートナーとしてグループに迎える予定だ。

株式の譲渡価格は非公開となっている。

同日行われた記者会見でカインズの高家正行社長は、「東急ハンズは創業以来45周年、手の復権など生活文化を創造する独自性高い店舗として展開しており、その編集力、目利き力は一朝一夕にできるものではない。当社のSPA機能、デジタル基盤、物流網などとのシナジーにより、戦略的に東急ハンズの魅力をさらに磨き上げていけると考えている。新たな顧客開拓・空間づくり・MD構成などに挑戦する。第3創業にあるカインズにとって、東急ハンズをカインズに置き換えるような単純な規模の追求ではなく、両社で生活者のニーズを先取りしてくみ取り、新しいDIY文化を作っていきたい」と意気込みを語った。

カインズと東急ハンズは、カインズが強みとして持つ SPA(製造小売り)としてのオリジナル商品の開発力、これまで培ってきたデジタル基盤を最大限活用。東急ハンズが「ヒント・マーケット」というコンセプトの下で磨き上げてきた発想力、商品・生活提案力、目利き力などを掛け合わせることで、さまざまな分野でシナジーを発揮することを目指す。

具体的には、カインズ全売上の約4割を占めるオリジナル商品開発力(SPA機能)を活用。カインズの成長ドライバーであるデジタル基盤の共同利用、物流仕入れ機能・サプライチェーン全体の効率化、DIY 文化という共通テーマを、カインズ・東急ハンズの店舗イベントを通じ発信していくことなどに取り組む。

社名・屋号、経営体制に関し「全株式を譲渡されたことにより、東急ハンズは東急グループから抜けるため、『東急』の名称を含む社名は適切な時期に変更する。また、屋号に関しても、東急不動産HDと当面維持することを合意しているが、こちらも新会社設立後、適切な時期に改める予定だ。経営陣は、一部社外取締役などは退任するが、常勤の役員である木村成一社長などは引き続き、東急ハンズの経営にあたる」という(高家社長)。

東急不動産HDは、新型コロナウイルス感染症の拡大により小売業界の環境変化が益々加速する中、ハンズにおいて、業績低迷から脱却し、顧客への価値提供を拡充するためにも、PB商品の開発強化、EC取引の拡大、FC展開などに取り組んできた。

しかし、同社グループの経営資源による再構築では、ハンズの顧客への提供価値・事業価値の最大化を図ることは困難であると判断し、新しいパートナーへの売却を含めた幅広い選択肢を検討していた。

今回、ファイナンシャルアドバイザー(野村証券)を選定して広く入札手続きを実施し、複数候補者からの提案を受けて慎重に検討を重ねた。その結果、ハンズの今後の成長に資するカインズからの提案、その後のカインズとの協議を踏まえ、カインズがハンズのベストオーナーとなり得ると判断し、株式をカインズへ譲渡することを決定したという。

カインズの2020年度の売上高は約4845億円(前年度比約10%増、ベイシアグループ売上高1兆270億円の44.7%)。12月現在227店舗を展開している。

東急ハンズの2021年3月期の連結決算は、売上高631億1300万円、営業損失44億7300万円、経常損失46億1000万円、純損失71億3600万円。店舗数はFC、海外含め計86店舗。

2社の物流拠点を単純合計すると、約20拠点、仕入れ総額は約3500億円となる。

<カインズが東急ハンズ買収>
カインズが東急ハンズ買収

■東急ハンズ
代表者:代表取締役社長 社長執行役員 木村 成一
設立:1976年8月
本社所在地:東京都新宿区新宿 6-27-30 新宿イーストサイドスクエア
資本金:4億円
事業内容:住まいと住生活・手づくり関連商品の総合専門小売業
従業員数:2469人(2021年4月16日現在)
店舗数:東急ハンズ63店舗(FC9店舗、海外15店舗含む)
ハンズ ビー20店舗(FC2店舗含む)
プラグス マーケット3店舗(FC店舗)

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