コメ兵/表参道のヴィンテージ専門店、初月売上は計画比30%越え
2025年01月31日 11:59 / 経営
コメ兵ホールディングスの石原卓児社長は1月30日、東京・表参道のヴィンテージ専門店「KOMEHYO VINTAGE TOKYO」(東京都渋谷区)の24年12月売上高について「目標としていた数字より30%以上売れている」と明らかにした。
<表参道のヴィンテージ店・地下1階>
※2024年11月流通ニュース撮影
同社初となるヴィンテージ専門店は11月30日にオープン。20年~30年以上前に製造されたブランド品を取りそろえ、北米を中心としたインバウンドの集客を狙う。オープン当初の月間売上目標は6000万円を見込んでいたところ、実質の開業初月となる12月度は想定以上の売上を記録。好調な滑り出しとなっている。
ヴィンテージ専門店について、石原社長は「我々の期待以上に売れている。目標としていた数字よりも30%以上売れており、そういう意味ではいいスタートを切れた。取扱商品の7割~8割がオークション仕入れで、ヴィンテージを表参道に置くためだけに仕入れている。それでも売上・粗利をしっかり取ることができ、非常にいい出だしだ。既存店舗を痛めることなく、在庫を取り合うこともなく出店できている。
社内の若手から『こういう店を作ってみたい』という発案があり、挑戦しようと判断した。リユース界隈の賑わい・外部の状況も含めて、新しいことに我々も取り組むことで新規顧客を獲得していく。コメ兵を普段利用しない顧客を取りにいくために、渋谷店や今回の表参道もそうだが、顧客を絞り込み過ぎずに、広げていこうとチャレンジした。
チャンスがあれば、今後もこういう出店があるかと思う。従業員からアイデアを頂きながら実現していく。それが良い品ぞろえ、良いお店、良い(商品の)状態につながり、国内外のお客様に評価される部分となる。これを今後も我々の1つの強みとして展開したい」と語った。
ヴィンテージ専門店の出店背景には、北米のセレブの間でヴィンテージブームが起こったのもあり、従来の店舗に多く訪れているアジア人以外のインバウンド層を取り込む狙いもある。
インバウンドの傾向について山内祐也副社長は「国ごとの特徴が出てきた。アジアのお客様が多く訪れる銀座や心斎橋では、ブランドバッグが人気を集めている。今回オープンしたヴィンテージ店もアジアのお客様が多いが、構成比として北米のお客様が(既存店よりも)少し多かった。これからまだまだデータを収集するが、国によってニーズが分かれているのではないかと思う」と話す。
なお、コメ兵HD売上高の95.5%を占めるブランド・ファッション事業では、グループの核ブランド「KOMEHYO」、北陸地方に顧客基盤をもつ「BRAND OFF」、24年10月にグループ入りしたアールケイエンタープライズが展開する、横浜に顧客基盤をもつ「Rodeo Drive(ロデオドライブ)」の3ブランドを中心に、中古ブランド品の販売・買取を行っている。
3ブランドの商材は平たくいえば同一だが、それぞれの得意分野が明確に異なる。売上構成は、「KOMEHYO」ではジュエリーが一番大きく、次に時計、バッグ、衣料品が続く。だが「BRAND OFF」の場合はバッグ、ジュエリー、時計、衣料品の順に売れており、「Rodeo Drive」では時計、ジュエリー、バッグ、その他という並びだ。
上記3ブランドより店舗数は少ないが、商材に特化したブランドも保有している。「WORM(ワーム)」ではプレミアムスニーカーを買取・販売し、「Shellman(シェルマン)」ではアンティーク時計・ジュエリーの委託・販売を行う。「SELBY(セルビー)」では宝石の買取・販売に特化している。
また、リユース事業者が参加する法人オークションの運営も手掛けている。売り手・買い手からそれぞれ手数料収入を得ているため、利益率が高い事業だという。こちらも会員数が順調に増加している。現在は、海外の会員獲得に向けた施策に着手している最中だ。
こうした多様な販売チャネルを強みに、今後も事業の拡大を図る。山内副社長は「マルチブランドを使った戦略の1つとして、KOMEHYOは最大公約数を取れるドメインだと思うが、それだけでは戦えない。ブランドオフやロデオドライブ、スニーカーのワーム、シェルマン、セルビーもある。こういった衛生的なドメインを使って、グループ全体で国ごとに異なる顧客ニーズに応えていく。今後も取りこぼすことなく、愚直に貪欲に(攻めて)いきたい」と意気込んだ。
取材・執筆 古川勝平
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