西武渋谷店は8月21日、8年ぶりとなる大規模改装を行い、A館1階入口、3階、5階レディースフロア、B館5階メンズフロアをリニューアルした。
同店は、2020年以降に建て替えを計画しており、今回の改装を建て替え後の成長に向けたトライアルと位置付けた。各フロアのデザインは、世界的なアーティストやデザイナー、建築家を起用し、高感度な全く新しいコンセプトに基づく情報発信拠点、核売場を設置した。
西武渋谷店の2015年2月期の売上高は402億1100万円(前年同期比1.8%増)、2016年第1四半期決算の売上高は100億5100万円(3.1%増)と堅調に推移している。改装後の売上目標は非公表だが、現在の実績を越える売上高を目指す。
2011年から発信するストアメッセージ「Art meets Life」をさらに先鋭化する新しい店づくりに挑戦。A館1階入口には「アートゲート」を設置した。
世界で活躍する音楽・映像アーティストの「カールステン・ニコライ」を起用。入口にある高さ2.8m~3.3mの柱4本の全面に、LEDビジョンを組み込み、音と映像のアートを演出した。
映像アートは、人の動き、エリアの気温、月からのパルスを取り込むことで変化し、365日、毎秒同じ映像は流れない、一期一会の音と映像を提供する。
篁富夫店長は「渋谷には、広告などのクリエイティブ、IT、情報サービスなど、ファッションにこだわりの強いお客が多い。青山・原宿・代官山に隣接し、港区の住宅地も商圏となる。渋谷地区の再開発で商業集積の厚みが増し、街としての発展が期待できる中で、2020年以降のための新しいトライアルと新しい顧客の取り込みを行いたい」と改装の狙いを語る。
A館3階レディスフロアには、ファッションに敏感な30歳代女性に向けた、自主編集売場「キートゥースタイル」を配置。渋谷店発のコンテンポラリーファッションや、才能ある次世代デザイナーを発掘し育成する。
フロアデザインには、2013年10月に連結するB館3階に、先行してオープンした新インポート編集売場「COMPOLUX(コンポラックス)」の売場と什器のデザインを手がけたデザイナー・建築家の佐藤オオキ氏を起用した。
コンポラックスのデザインテーマが公園であったため、公園に隣接する遊園地をテーマに売場をデザインした。B館3階の自主編集売場コンポラックスと連絡通路でつながることで、グローバルなコンテンポラリーゾーンを構成する。
フロア中央にキートゥースタイルを配置し、フロア壁面に各ブランドのショップを配置。総ブランド数は52ブランで、うち19ブランドは新規導入となった。トゥモローランド、デプレ、セオリーは改装を実施した。
「PUBLIC SCHOOL」、「HOOD BY AIR」が百貨店初出店したほか、プロモーションコーナーでは、デザイナーの森永邦彦氏が立ち上げたブランド「アンリアレイジ」と1階のアートゲートを手がけたカールステン・ニコライのコラボ商品を展開した。
プロモーションコーナーは1~2週間の周期で、訴求ブランドを変更。周囲には、人がくつろげるイスも配置することで、来店するたびに新しい商品を提案する。
4階レディースフロアには、プロモーションスペースで、「ジャン・パティスタ・バリ」を展開。新規ブランドとして、「J ブランド」「イリス・ヴァン・ヘルペン」を導入した。
5階レディースフロアは、40代~50代の大人の女性に向けた自主編集売場「モードプラス」を展開。高感度な大人に驚きを提供する売場づくりとして、女性建築家の永山祐子氏を起用した。
モードプラスは非日常的な空間で上質な商品を提案するフロアで、40ブランドを展開。うち新規導入は、「マッキントッシュロンドン」など10ブランド。「アドーア」は、リニューアルをした。
モードプラスでは、レジ前にソファを設置。ゆったりとした空間で接客できる環境を整えた。商品陳列数量は改装前の約70%程度に抑え、接客スペースの拡大を行った。
ディナーやパーティー、レセプションなど華やぎのシーンにふさわしいデザインやパターンにこだわったドレスを提案。そのほか、上質、高品質を追求したラグジュアリーなリラクシングウェア、カジュアルウェアと雑貨をトータルでセレクト・編集した。
プロモーションコーナーでは、NEWドレススタイルとして、「ミカコナカムラ」などを展開した。
A館5階とB館5階は万華鏡をイメージした通路で連結させた。
B館5階のデザインも女性建築家の永山祐子氏を起用した。メンズフロアのターゲットは、自分自身のスタイルを探し、創り、楽しむ大人たちで、40代以降のややお金にゆとりがでてきた層とした。総ブランド数は25ブランドで、うち新規導入5ブランド、20ブランドで改装を行った。
フロアデザインコンセプトは、博物館。レディースに比べて、小物雑貨が多く、アイテム数が多いメンズフロアで、商品がいっぱいあっても楽しめる場所をイメージし、博物館というコンセプトを打ち出した。
西武渋谷店では、ラグジュアリーブランドの専門店も多数出店していることもあり、商品構成比で雑貨の比率を高めた。中高年の注目が高いモータースポーツに着目、新たにヘルメットを導入した。
モーターサイクルや自転車といったアウトドアでも趣味に通じる商品を展示。アパレルでも柱回りに、財布やベルトといった小物を展開し、これまでにない売場演出をした。
自分だけのオリジナルの一品を求める声に対応して、革製品では、オーダーメイドに対応する商品を導入。よりこだわりのある客層へ対応する。
上質カジュアルでは、世界基準のベーシック、大人の男のカジュアルスタイルを提案。ライフスタイル雑貨では、集い・語らいをテーマに、大人の男の趣味の広場を設置した。
ホビースタイルでは、男が情熱をささげるギフト、コレクション、デコールが詰まった趣味の売場を目指し、こだわりの逸品を編集した。
A館6階のプロモーションスペースでは、インポートランジェリーのアンドレサルダを訴求した。
A館7階の催事場では、4階に新たに導入したレディースブランド「イリス・ヴァン・ヘルペン」の展示会を実施。ブランドの世界観を展示会でも訴求する。
今後の改装計画は未定だが、2020年以降の建て替えを見据えて、今後も新たな商品の導入や取り組みを継続していくという。
店舗概要
所在地:東京都渋谷区宇田川町21-1
TEL:03-3462-0111
売場面積:4万32236㎡(5館合計)
売上高:402億1100万円(2015年2月期)
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