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矢野経済研究所/2010年度の惣菜市場規模は8兆5000億円

2009年09月16日 / トピックス

矢野経済研究所は9月16日、ことし5-8月の期間中に惣菜(中食)参入企業、その他関連企業などを調査した調査結果概要を発表した。それによると、2008年度の惣菜(中食)の総市場規模は前年度比0.3%増の8兆4879億円と横ばいで推移した。

これは長引く不況の影響で消費者が節約志向を強め、外食を控え、惣菜を購入するなどして家庭内で調理する内食需要の顕在化が背景と見られる。また、有職女性や共働き世帯に加えて、単身世帯の増加などのライフスタイルの多様化や、高齢化世帯や高齢者の独居などで家庭内の調理が困難になるなど、惣菜の活用層は確実に増加すると推測されている。

主要販売チャネル別の市場動向では、コンビニエンスストアの惣菜市場規模は1%増の2兆2140億円。たばこの購入客がカードの不要なコンビニエンスストアに足を運ぶときの「ついで買い」が増加の主要因と見られる。

コンビニエンスストア各社はこうした一時的な効果への対策として、従来からの集客の柱であり、利益率が高いファストフード系惣菜(弁当、おにぎり、惣菜、調理パンなど)を強化している。特にカウンターFFと呼ばれる店内調理による出来たての揚げ物などの惣菜類に注力し、顧客の目にも触れやすいことから重点商品とされている。

2008年度の食品スーパーを含む量販店の惣菜市場の規模は0.2%増の1兆3273億円。食品スーパーや量販店では消費者の節約志向や内食回帰を受け、低価格のプライベート商品や店内調理を主体とした惣菜事業に注力している。

食品スーパーは、その立地や便利さなどから、競合するコンビニエンスストアとの差別化のため、出来たて惣菜に注力し、新鮮さや「つくりたて」を訴求するためにピークタイムとなる時間帯を拡大している。中には夜9時以降を設定するなど、消費者の食の時間に合わせたきめ細かい対応を行っている。

一方、百貨店の惣菜市場規模は1.5%減の2530億円だった。昨秋以降、百貨店全体の販売不振が深刻さを増しており、比較的堅調だった「デパ地下」と呼ばれる地下食品フロアも消費者の低価格志向や節約志向で、集客力や売上に影響が出てきている。大手量販店やコンビニエンスストアがプライベート商品や低価格弁当などを中心に徹底的な低価格戦略を講じたことでこうした業態と競合し、消費者が流出している。

百貨店各社ではこうした消費者動向に対し、従来の「デパ地下」ブランドの画一的な販売方法から、値ごろ感のある弁当をタイムセールや催事企画等で訴求したり、また少量サイズや低価格な惣菜の販売など、多様な消費者ニーズへの対応が活発化している。しかし、こうした販売戦略でもともと低価格化を訴求する食品スーパーやコンビニエンスストアとの差別化があいまいになり、百貨店の独自性を薄れさせてしまう可能性もある。

2010年度の総市場規模は8兆5004億円と横ばいか微増を予測。有職女性や共働き世帯の増加に加えて、高齢者を含めた単身世帯の増加など「食」スタイルの変化で、家庭内で食する惣菜(中食)への依存度が高まり、惣菜(中食)自体に対する需要は今後も拡大基調にある。

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