オフィス向け、中食コラボ商品も好調
――カフェで始まったコーヒーがオフィスに進出しますね。
谷田 ユニカフェが主にオフィス向けに提供するカプセル式一杯抽出システム「KEURIG(キューリグ)」に、カプセルコーヒーのブランドとして参加しています。キューリグは、まだ日本ではそれほどなじみがありませんが、アメリカでは1億2700万世帯のうち、所有4100万世帯、常時2800万世帯で利用されているほどの人気製品です。
――日本のオフィスのコーヒー需要はまだ余地があると。
谷田 日本では従業員向けの福利厚生の充実を図る企業が増えていますから、オフィスのコーヒー需要はまだまだ可能性があると思っています。
私はもともと、タニタのアメリカ法人での勤務を経験しており、現在も頻繁にアメリカに出張しています。どれほどキューリグがアメリカで普及しているかを見てきました。
日本では他の製品が先行していますが、世界的にみると、1つの製品が市場をすべて独占するというのはなかなかないですしね。
利用者にとっても、たくさんのブランドから好みの味を選べる方が、利便性が高いと思います。ユニカフェとは、以前からコーヒーでコラボしてきたこともあり、キューリグに参加しました。
――コーヒー以外でもオフィスや自宅で楽しめる健康的なコラボ商品が人気ですね。
谷田 森永乳業とコラボしたカロリーを抑えた、罪悪感なく食べられるデザート、マルコメとのコラボで減塩味噌売上ナンバー1となった「丸の内タニタ食堂の減塩みそ」などがあります。ただ健康計測機器をつくるだけの会社だったら、このようなお話はこなかったでしょう。
食品でのコラボが加速したのは、2013年に、レシピ本を元にしたコメディ映画「体脂肪計タニタの社員食堂」が上映された影響だと思います。この時が転機でしたね。
食事がテーマの映画ということで、製作委員会にマルコメ、理研ビタミンなど食品メーカーが参加してくださいました。マルコメからは映画とコラボした味噌汁3種、理研ビタミンからは映画特別パッケージのノンオイルドレッシングが発売されました。これらの企業とは、その後本格的なコラボレーションに発展しました。
コラボした商品の売れ行きが良く、実績を見て、次々と声がかかっています。新しいことに挑戦したことが、次の展開につながりました。市販の食品を通して、さまざまな関係者と協力して人々の健康づくりをサポートできればと考えていますので、今後も積極的にコラボしていきたいです。
――さまざまな商品、サービスで「健康をつくる」ことを推進すると。
谷田 従来の健康計測機器などの製造業、外食業への挑戦、食品とのコラボに加えて、2014年より自治体や企業に向けて医療費を適正化するパッケージとして「タニタ健康プログラム」を展開しています。これまでにのべ150の企業・団体に提供しています。
もともと、社員向けに実施している健康づくりの取り組みでした。開始前の2008年とその2年後の2010年を比較すると、1人当たり医療費が、所属する業界健保(計機健康保険組合)全体が9%増だったのに対し、当社は9%減となりました。日本の医療費は右肩上がりですが、右肩上がりがゆるやかになるだけでも、財政へのインパクトは大きいと思います。
医療費が適正化された分で、ほかの分野に使っていただければ、国民の皆さんの暮らしがよくなり、健康だけでなく、財政にも効果があると考えて、本気で普及に取り組んでいます。今後3年で500の企業・団体への浸透を目指しています。
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