スシローを展開するFOOD & LIFE COMPANIES(F&LC)傘下で、新業態を担うFOOD& LIFE INNOVATIONS(F&LI)が急成長している。同社の主力業態の大衆寿司居酒屋「杉玉」は、コロナ禍でも出店を継続し、2020年9月期15店、2021年9月期18店を出店した。2022年9月期は第3四半期までに22店を出店し、6月末時点で60店舗にまで拡大している。一方で、F&LIを率いる木下嘉人社長は、アルバイトから社長になった異色の経歴の持ち主でもある。今回、木下社長にアルバイトから社長までのキャリア形成やコロナ禍での杉玉の運営などについて聞いた。
アルバイトで感じたやりがいが、入社のきっかけ
――まず、あきんどスシローに入社したきっかけを教えてください。
木下 まずプロフィール的にお話すると、家から一番近くて便利だったので、大学1年生からアルバイトを始めたのが、現在同じグループのスシローでした。当時スシローは、まだ十数店舗ほどしかなかったですけども、私が働いていた店舗は、週末になると店の前に100mぐらい車が並ぶ超人気店でした。初めてのアルバイトにしては、すごく大変でしたけども、仕事としてのやりがいはすごく感じました。お客様からも「他社に行ったけどやっぱりここのほうがおいしいよね」とか、「やっぱりここのすしじゃないと食べられないよ」みたいなことを頂いて、大学生ながらすごく充実したアルバイト生活を過ごしました。アルバイトをした店舗は、道路の向かいに移転して大きくなりましたが、屋号は残っています。今の「スシロー枚方茄子作店」(大阪府枚方市)です。今も繁盛店ですね、本当に地域の皆さまに多くご利用いただいています。
――入社の決め手は。
木下 いろいろ就職活動を考えて違う会社への就職も考えたんですけども、やっぱりこれだけ多くの人を喜ばせることができる職場っていうのが本当に世の中にあるのかと感じました。また、当時、会社をリードしていたのは本当に自分と同じ年代で、20代前半の人がもうあらゆるところで、エリアマネージャーであったり、出店の責任者であったり、いろんなとこで会社をけん引していました。私もこの会社に入ると本当に早い段階から会社のいろいろなところで貢献できるし、いろんなチャンスをいただけると思って就職活動を途中で切り替えて、1999年4月にあきんどスシローに就職しました。当時の店長は、本当にいろいろ教えてくれました。今でもお付き合いのある方もいます。本当にありがたいですね。そこでの出会いが、私が会社で働く大事な源になっています。
――入社後は、どんなキャリアを歩まれましたか。
木下 店長の後、エリアの責任者となりました。また、今も存続している、新規出店の専属チームを作ったりしました。現場経験を積みながら、2006年4月に、営業部長をやらせていただきました。とはいっても、まだまだ経験が浅い部分もあるので、会社全体のいろんな勉強をしたほうがいい、ということで本社で人事の仕事につき、2007年12月に取締役人事総務部長になりました。当時、部門にはそれぞれの経験者がいたので、私は、現場の経験を生かしながら全体をどうマネジメントするのかという観点で、人事の責任者をやらせていただきました。
あきんどスシローは、投資ファンドのユニゾン・キャピタル・グループ、ペルミラ・アドバイザーズが経営に参画し、それから上場をするというプロセスをたどりましたが、私自身は主に人事総務の担当をする時期が続きました。上場プロセスにも人事総務という形で関与しました。上場に資する会社になるための内部統制とか、ガバナンスとか、そういったことを中心に人事総務を担当しました。あと当時を振り返ると、東日本大震災だとか、熊本の震災とか大きな災害があったので、現場の後方支援もやりました。
2017年3月に、スシローグローバルホールディングスとして上場した後も総務・人事・品質管理を中心に担当していたのですが、2019年10月に経営企画を担当しながら新業態開発を手掛けるスシロークリエイティブダイニング(現・FOOD & LIFE INNOVATIONS)取締役となり、ここで初めて「杉玉」を管掌することになりました。そして2019年12月に、スシロークリエイティブダイニングの社長に就任しました。
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