ロイヤルフードサービス/シズラーの成長戦略、川勝社長「商業施設と親和性高い」
2025年05月29日 12:20 / 経営
ロイヤルグループのロイヤルフードサービスは5月28日、東京・新宿に「シズラー新宿三井ビル店」をリニューアルオープンした。
同社は高価格帯のサラダバー&グリルレストラン「シズラー」のほかに、「ロイヤルホスト」「てんや」「シェーキーズ」を展開する。同社の川勝邦弘社長にシズラーの成長戦略などを聞いた。
高品質なサラダバーを強みに他社と差別化
──新店舗ではどのような客層を狙っていきますか
川勝 客層というよりもシーンを想定しており、例えば「ハレ需要」。特別な日にご利用いただいて、その期待感に見合ったサービスを提供するというのがシズラーの大事なミッションになってきます。ほかにはビジネスマンの方に対しても、平日にご利用いただけるサービスになっていくかなと思っています。
多様なシーンや客層に対応するためにブランドを複数抱えており、そのうちシズラーは当社の4ブランドの中で最も高単価で、プレミアム感があるブランドです。
仮に少し日常使いでお食事をしたいという場合であれば、(同じビルの1階に出店している)下のロイヤルホストに行っていただくという使い分けが可能になります。
つまり顧客層よりもお客様の利用シーンを多様にカバーしていきたいと考えています。
──プレミアム感を打ち出している競合他社に比べ、シズラーの強みはどこでしょうか
川勝 個性が重なってる他社のブランドがないと思ってます。
──ユニークな立ち位置というか
川勝 そうですね。ここまで手が込んだ高品質なサラダバーというのは珍しいのではないでしょうか。そこがブランドの個性として際立って、お客様に認知していただいているかなと思っています。
──サラダバーでは提供する直前にドレッシングと和えたり、ステーキなど1つずつ芯温を測ったりと、手間をかけていて、そのあたりが競合とは異なる立ち位置を作るポイントになっているでしょうか。
川勝 そもそもロイヤル自体がレストランとして、手作業などの調理手順は非常に細かく作り上げてきた経緯があります。その中でシズラーもお料理の品質や手作り感は非常に大事にしています。
商業施設の「ハレの日」利用とシズラーはマッチする
──日本が人口減少時代に突入して出店すれば儲かるという形ではなくなりつつある中で、シズラーの中長期的な成長戦略はどのようにお考えでしょうか
川勝 今後は商業施設との親和性が非常に高いと思います。つまり商業施設はイベント性やレジャー要素があり「ハレの日」として来店される方に対して、シズラーはマッチするのではないかと思っています。
商圏も魅力です。ロードサイドの店舗の集客力は数キロ程度の範囲しかないですが、地域の方が集まる商業施術であれば商圏も大きく広がります。
今後は、施設側に求められるよう、世の中からご評価いただけるブランドに育てていく必要があります。
──ただ、シズラーのブランドイメージや価格帯と、商業施設の客層や客単価がマッチするでしょうか
川勝 そこは施設側が表現したい価値観と、我々がブランドとして表現したい価値観が一致し、お互いの合意のもとに進められればいいかなと思います。
──場合によっては、その施設向けに安価なメニューを用意するといったこともあり得ますか
川勝 その場合はむしろ、「代わりにロイヤルホストはいかがでしょうか」と提案するのが我々の戦略です。施設ごとに期待される利用シーンは異なってきます。シズラーの雰囲気や売価がミスマッチであった際に、値段を下げたり商品を変えたりするのは違うと思います。
当面はブランド確立と人材育成、将来的には関東以外への出店も
──6月3日には、11店舗目となる「シズラー新宿東宝ビル店」を新宿に新規オープンします。シズラーは東京と横浜に店舗を出していますが、関西圏などエリアの拡大は検討していますか
川勝 もちろん考えています。まずは3大都市圏かなと思っています。顧客が「ハレ需要」として利用する施設であればシズラーは入っていけます。
とはいえ、今はまず足元を固めてブランドをしっかり世の中に認知してもらう。そしてブランドを背負っていただける人材をしっかり確保・育成していくのが大事です。そのためには、特定のエリアでブランドの磨き上げや人材育成をしていきたいです。
そこにメドが付けばしっかり関東圏から外に広げていきたいです。その際には関西など大規模都市圏からになると思います。
取材・執筆 比木暁
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