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トップインタビュー/ルミネ 表輝幸社長に聞く「EATo LUMINE」の挑戦

2024年04月19日 14:00 / 流通最前線トップインタビュー

2023年の売上高が過去最高の3559億円(前期比8.7%増)と好調なルミネは、食をメインとしたエキナカ商業施設「EATo LUMINE(イイトルミネ)」を4月17日オープンした。首都圏商業施設ランキングで2年連続トップのルミネ新宿を擁する新宿エリアで、さらなる顧客獲得とエリア全体の回遊性向上を図る同社の戦略について、表輝幸社長に聞いた。

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――ファッションに強いルミネが食中心の商業施設を手掛ける狙いは

表 新宿エリアでは、食ニーズが大変旺盛なためです。当社はアパレルを中心に顧客に付加価値の高い体験を提供してきましたが、現在、ライフスタイル全般に領域を広げており、もちろん食は大切な分野です。

<EATo LUMINE>
LUMINE
※左からwoofie店長、ルミネの草薙恵美子常務、表社長、田中茂 新宿駅長

トータルでライフスタイルを提案するなか、イイトルミネでは、食を中心にルミネのコンセプト「わたしらしくをあたらしく」を実現します。売り上げ目標は年間80億円です。

また、イイトルミネの場所は、新宿グランドターミナル構想の一環として、新宿駅構内の未利用地を開発しました。出店する28店舗のうち、新ブランド・新業態12店舗、東京初進出3店舗、ルミネ初出店は22店舗になります。

――想定している客層を教えてください

表 ルミネは20~30代女性のお客様がメインですが、イイトルミネは駅ナカという特性もあり、年齢、性別を問わず多様な方の利用を想定しています。

<幅広い層の利用を見込む>
幅広い層の利用を見込む

駅ナカという利便性に加え、ルミネらしい洗練された、感度の高い商品を提供し、毎日来ても飽きない商業施設を目指します。

<らーめん鴨to葱>
らーめん鴨to葱

また、新宿はインバウンドにも人気のエリアです。ルミネではインバウンドの取り込みはこれからというところですが、伸びる余地があると思い強化しているところです。新宿にいらっしゃるインバウンドの方は、食とショッピングへの関心が高いので、イートインもテイクアウトも楽しめる山本山の新業態「お茶漬けおにぎり 山本山」、「立鮨 すし横」、上野御徒町の人気店「らーめん鴨to葱」を誘致しました。

ランチや夕食需要に対応した食物販、日本の誇る手土産文化を体現した限定スイーツなどここでしかない商品を多数そろえていますし、駅ナカで非日常も楽しめます。新宿、ひいては日本の魅力を発信する拠点として成長していきたいです。

――毎日通っても飽きない店舗が充実していますね

<BAKERs‘ Symphony>
約100店舗のパンがそろう

表 1000種類のパンがそろうBAKERs‘ Symphonyは、毎日置いてあるパンが変わりますし、「Cosme Kitchen」などを手掛けてきたマッシュビューティーラボの「Biop(ビオップ)」は、オーガニック&ナチュラルなコンビニエンスストアで、1日中立ち仕事で疲れた足を労わる商品などを販売、発見の驚きと楽しさを提供します。

<Biopでしか買えない商品も>
Biopでしか買えない商品も

自分にごほうび、手土産にお花をという方に向け、ルミネアソシエーツが運営する花屋の新業態「germe(ジェルム)」も登場します。

<germe>
ジェルム

わざわざ新宿駅に来ても買いたいもの、ここでしか買えない商品が多くそろいます。いつ来ても、新しい、鮮度の高い商品が並び、つい買いたくなるというのは、目的買いのECと違うリアル店舗の魅力です。

日経リサーチの「施設と駅のセンサス」施設編(2023年10月公表)で、首都圏商業施設の集客力ランキングにおいて、2年連続でルミネ新宿がトップとなりました。感度の高いお客様が多いため、新商品を投入するなど、マーケティングデータとして生かせると、テナントに好評です。駅ナカの利便性・実用性だけでなく、このルミネらしさを生かした、毎日に彩を与える商品をイイトルミネでも提案することが、他の商業施設との差別化にもなると考えています。

――物販以外では新感覚のアートスポット「THE BENCH」が登場しています

表 購買行動と連動して没入体験ができる自動販売機で、希望の商品を購入し、商品と一緒に置かれてある二次元コードを指定の二次元コードリーダーに読み込ませると、商品をイメージした映像や香りが楽しめる仕掛けになっています。ECにはないリアル店舗ならではの楽しさを提案します。

<商品をイメージした映像や香りが楽しめる仕掛け>

――プレオーダーも導入しますね

表 イイトルミネに出店しているショップの一部商品をネットで事前決済し、いつもの買い物ついでにルミネ新宿にて受け取れるサービス「イイトルミネプレオーダー」を導入します。イイトルミネでしか購入できない商品や新ブランドの商品を並ばずに、売り切れる心配なく購入いただけます。予想以上にお客様の反響があり、今後よりニーズに応えられるようサービスとして進化させていきたいです。

――新宿駅周辺のルミネとの連携について教えてください

駅の外のルミネと連携して、お客様に新宿を回遊していただきたいと思っています。2月からルミネ・ニュウマン全15館において、他のJR東日本グループ施設同様に、JRE POINT(JR東日本グループのポイントサービス)が「たまる・使える」ようになりました。

駅で見つけて、偶然立ち寄ってくださる方や若い方などイイトルミネをきっかけに、新規のお客様も取り込みたいですね。

また、ルミネ既存店とは違う新規のお客様のお買い物データを、マーケティング戦略に生かすことも検討しています。駅ナカという立地を生かし、情報発信拠点であると同時に、マーケティング拠点として活用し、新しいニーズをつかみ、より満足いただけるサービスを提供していきたいです。新宿は、集客も売り上げもまだまだいけるエリアだと思っています。

――座右の銘を教えてください

表 「仕事はNO!から始まる」です。「お客様に喜んでいただきたい」と思って、仕事をしていると、必ず困難なことや課題にぶつかります。お客様に感動していただき、喜びを大きくしようとすると、困難が訪れるものです。

しかし、困難をチャンスだととらえ、楽しく前向きにチャレンジすることで、お客様に感動や喜びを提供でき、自分の喜びにもつながる好循環をつくっていきたい。「NO」と言われてあきらめるのではなく、「むしろこれはチャンスだ、感動を生み出せる」という姿勢でやっていきたいと思います。

<ルミネ初出店は22店舗>
ルミネ初出店は22店舗

■表輝幸氏略歴
1963年11月21日石川県生まれ。
早稲田大学大学院理工学研究科修了後、1988年4月に東日本旅客鉄道に入社。入社後、ホテル、住宅、新規事業開発等に従事。2000年日本レストラン調理センター社長にグループ最年少で就任。その後、日本ばし大増、紀ノ国屋のM&Aを手掛け、東京駅グランスタ開発等をけん引。東日本旅客鉄道 事業創造本部 開発・地域活性化部門長を経て、2011年ルミネ常務取締役、専務取締役を歴任。2015年6月に東日本旅客鉄道に戻り、2016年6月に執行役員事業創造本部副本部長に就任、生活サービス10年ビジョンを策定。2021年から常務執行役員。2022年常務執行役員マーケティング本部副本部長としてBeyond Stations構想や100年先の心豊かな未来へとつながる「品川開発プロジェクト」などを推進。2023年6月ルミネ代表取締役社長に就任。趣味はスキューバーダイビング。座右の銘は「仕事はNO!から始まる」。

取材・執筆 鹿野島智子

■イイトルミネ特設サイト
https://www.lumine.ne.jp/eato-lumine/

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