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国内アウトドア市場/2019年は3.2%増の5169億円、ソロキャンパー増加

2020年12月08日 16:18 / 商品

矢野経済研究所は12月2日、国内アウトドア関連市場の調査結果を発表した。調査によると、2019年の国内アウトドア市場規模は、販売金額ベースで前年比3.2%増の5169億4000万円と推計した。

スタイル分野別では、ライトアウトドア分野が市場全体の55.3%を、業種別ではアウトドア用品市場が81.3%を占めた。

調査は6月~8月に実施。国内アウトドア用品メーカー、卸売業、小売業、アウトドア関連施設、サービ ス企業・団体、業界団体などを対象に行った。自社の専門研究員による直接面談、電話、電子メールによるヒアリング、文献調査も併用している。

<アウトドア市場スタイル分野別市場規模推移>
アウトドア市場スタイル分野別市場規模推移
出典:矢野経済研究所

矢野経済研究所では、アウトドア市場でキャンプ需要が広がりをみせており、若年層からシニア層まで幅広い層で人気が続いていることに加え、平日などの閑散期に一人でキャンプに出掛ける「ソロキャンパー」の増加で、多様な楽しみ方ができる「古くて新しいレジャー」として再認識されていると分析。

また、アウトドアブランドのウエアやシューズを普段使いするライフスタイル分野では、有力アウトドアブランドが街歩きや旅行、通勤・通学でも一般消費者に受け入れられており、引き続き好調が続いていると指摘している。

一方で2020年3月以降、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中で、比較的安全なレジャーとしてキャンプに注目が集まっていると分析。「野外」「家族」「一人」など、行動する際にリスクが低いとされるキーワードがすべて入っている数少ないレジャーで、コロナ禍でも堅調な伸びを示したと見ている。

■ブームが続くキャンプ市場

一方、アウトドア市場で最も注目の分野を、キャンプ場施設市場と説明。3年ほど前から「キャンプブーム」といわれるほど人気が高まりつつあり、市場が活況を呈していることを理由に挙げた。

現在のキャンプ場施設は、従来の「何もない環境で、自然を楽しむ」といったイメージと異なり、シャワーや水洗トイレを完備。キャンプサイトでは電源が使用が可能でスマートフォンの電波も届く。こうした利便性の高い施設が増えている状況にある。

キャンプ用品も、数分で設営が完了するテントのような手軽なものが登場する一方、屋外でかまど料理や燻製を楽しむための凝った調理器具など、キャンプが不慣れなエントリー層向けから、こだわりのあるシリアス層向けまで、多種多様なアイテムがラインナップされるようになった。こうしたことが市場を活性化したとしている。

また、最近では一人でキャンプを楽しむ「ソロキャンプ」にも注目が集まっており、持ち運びや設営が容易な小型で軽量の焚き火台をメーカー各社が発売するほか、YouTubeなどの動画配信サイトやテレビではソロキャンプの楽しみ方を提案する番組が配信・放送されるようになったことにも言及した。

ソロキャンプは、誰かと予定を合わせる必要もないため、空いている平日にキャンプを楽しむ人が増加しており、その結果、キャンプ場の課題だった平日の稼働率が改善に向かっていると指摘している。

■2020年は新型コロナでマイナス成長もその後、再成長へ

矢野経済研究所では、2020年の国内アウトドア市場規模を販売金額ベースで前年比5.3%減の4895億2000万円と予測。新型コロナの感染拡大の影響で一時的にマイナス成長へ転じるものの、今後数年は堅調な伸びを示すと見ている。

また、成長を続けるアウトドア用品市場には他業種から参入する動きも活発化しており、市場が刺激され、拡大することも期待されるとしている。

例として、建設現場などに向けた作業服専門店であった「ワークマン」が、ライフスタイル向けにデザイン性を高めた高機能ウエアの自社企画商品の展開を強化し、消費者の注目を集めたことを挙げた。

また、フランスのスポーツ用品SPA「デカトロン」が2019年、2020年と立て続けに大型店を新規出店し、高機能や高付加価値を前面に押し出して展開してきた既存アウトドアブランドとは、一線を画す販売戦略で国内市場へ参入を果たしたことにも言及している。

矢野経済研究所では、こうした新規参入企業による市場の押し上げが期待できることに加え、コロナ禍でもキャンプを中心としたアウトドアへの注目が高まっていることで、2020年もキャンプ用品やライフスタイル分野向けのアパレルやシューズなどが引き続きアウトドア市場全体をけん引すると見込んでいる。

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