イオン、ライフ、サミットなど/2022年は冷凍食品を強化、専門店も登場
2022年12月26日 12:00 / 商品
2022年は、生活者の食卓で冷凍食品の存在感がいちだんと増した1年だった。
<スーパーの冷凍食品の売り場拡大>
※イオン天王町ショッピングセンター(横浜市保土ケ谷区)
日本能率協会総合研究所が10月発表した「メニューからみた食卓調査2022」によると、既婚女性(主婦)20~30代は、外食やコンビニ弁当をよく活用する傾向が高いだけでなく、「調理済み冷凍食品」の活用も半数を超えた。20~69歳の既婚女性全体で見ても、40.8%が「調理済み冷凍食品」をよく使うと回答している。
同社の家計調査によると、冷凍食品への年間支出額は、微増傾向が続いていたが、2020年は8787円で前年比12.4%増と大きく伸びた。
手軽さだけでなく、冷凍技術の進歩などからおいしさにも注目が集まっており、日本冷凍食品協会の冷凍食品の利用状況実態調査(2022年4月)では、冷凍食品を利用する頻度が増えた理由は男女ともに、「調理が簡単で便利だから」に次いで「おいしいと思う商品が増えたから」があがった。
このような生活者のニーズに対応し、流通・外食各社では、冷凍食品専門店の新業態の開発、既存店・新店での冷凍食品コーナーの拡大、冷凍食品の自動販売機の設置などに取り組んだ。
■冷凍食品専門店の新業態が登場
イオンリテールは8月30日、千葉県浦安市の「イオンスタイル新浦安MONA」内に、日本最大級の約1500品目の冷凍食品を取りそろえる新業態「@FROZEN」(以下:@フローズン)をオープン。「朝食」「ランチ」「ディナー」「おつまみ」「スイーツ」といった五つの機会を想定した新業態の冷凍食品専門店を開発した。
プロの料理人が作った料理がリーズナブルな価格で楽しめると人気の「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」のメニュー、カレー・中華・スイーツなどのファミリーレストランや専門店の商品、イオングループのフランス発の冷凍食品専門店「Picard(ピカール)」の商品などがそろう。
<@フローズンの商品を新店舗に導入>
※イオン天王町ショッピングセンター(横浜市保土ケ谷区)
イオングループでは、「@フローズン」で好評の商品を新店舗、既存店の改装などで取り入れている。
また、冷凍食品卸売りとスーパーを運営するアイスコは12月9日、川崎市中原区に冷凍食品専門店「FROZEN JOE’S(フローズン ジョーズ)」の1号店をオープンした。
品数の豊富さ、価格帯の幅の広さが特長の「@フローズン」に対し、「FROZEN JOE’S」は、冷凍食品のセレクトショップを目指して開業した。
冷凍食品卸売りのノウハウを生かし、こだわりの商品をセレクト。ナポリピッツァ世界一を獲得した名古屋のレストラン「チェザリ」の「極みマルゲリータ21cm」(税込み836円)、関西で有名な洋食店「北極星」の「北極星オムライス」(612円)、これまで一部の百貨店やネットでしか購入できなかった有名ホテルのスイーツ「和栗モンブラン4個入り」(816円)などが楽しめる。
卸売業を営む同社では、小売り各社に対し、実際に売れ行きの良い商品を見せるショールームとしても、店舗を活用したい考えだ。
■ライフ、サミットなど冷凍食品コーナーを強化
日本冷凍食品協会の調査によると、冷凍食品の購入場所は女性「スーパーマーケット(店頭)」(91.1%)、男性でも「スーパーマーケット(店頭)」(91.9%)が圧倒的に多い。
スーパーマーケット各社では、伸びる需要に対し、新規出店の際には、冷凍食品コーナーを強化している。
<国産食材のベビーフードなどもそろう>
※ライフ蒔田店(横浜市南区)
10月20日オープンした「ライフ蒔田店」では、定番のギョーザ、お弁当のおかずなどに加え、ANAなどの機内食、ファミリーレストランのメニュー、国産食材のベビーフードなどもそろえた。
<買いやすい価格で米飯、パスタなど展開>
※サミットストア踊場駅前店(横浜市戸塚区)
11月30日出店した「サミットストア踊場駅前店」でも、買いやすい価格で米飯、パスタ、弁当を展開するだけなく、ご当地アイスなどプレミアム商品も取り扱う。
<人気の冷凍スイーツ>
※ヨークフーズwithザ・ガーデン自由が丘 中野店
ヨークが10月21日、東京都中野区に出店した「ヨークフーズwithザ・ガーデン自由が丘 中野店」も、冷凍食品を充実。同店は、若年層取り込みのため、全体的にスイーツの品ぞろえを強化しており、人気の冷凍スイーツも充実させた。
■外食企業は冷凍食品の自販機に挑戦
外食の味を家庭で手軽に、いつでも購入できる手段として、外食業界では、冷凍食品の自動販売機導入に挑戦している企業もある。
リンガーハットは、冷凍食品を24時間購入可能な自動販売機を、重点施策として位置付けている。産業競争力強化法に基づく「事業適応計画」を農水省に提出。7月22日に認定された。
これにより、対象期間中、コロナ禍で生じた繰越欠損金の控除上限を50%から最大100%に拡大する税制優遇措置などが受けられるようになる。2026年度には、冷凍食品自動販売機の売上高が全体の売上高の1%以上となることを目指す。
現在、「冷凍食品直売所」を東京・福岡計3店舗オープンした。既存店にも導入を進めている。
スシローなどを運営するFOOD&LIFE COMPANIESグループは、「京樽・スシロー・重吉 綾瀬駅店」(東京都足立区)にて、京樽の冷凍すしの販売をスタートしている。
2023年も、各社の冷凍食品の強化傾向は続きそうだ。
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