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ポッポ幕張店/たこ焼き、ソフトクリームに「調理ロボット」導入

2019年10月16日 16:30 / 店舗レポート

セブン&アイ・フードシステムズは10月17日、千葉市の「イトーヨーカドー幕張店」内に、たこ焼き調理ロボットとソフトクリームロボットを初めて導入した「ポッポ幕張店」をオープンする。16日、関係者向けの発表会を開催した。

<たこ焼き調理ロボ>
たこ焼き調理ロボ

コネクテッドロボティクスの提供する、たこ焼き調理ロボットとソフトクリームロボットを初めて導入するもの。人による調理のバラつきを是正し、商品品質の安定と効率化を図ると共に、エンターテイメント性を取り入れ、お客においしい料理とともに楽しさも提供する。

<ソフトクリームロボ>
ソフトクリームロボ

セブン&アイ・フードシステムズの小松雅美社長は、「食のレジャー化が加速し、商業施設のフードコートが大型化するなど競争環境が変化する中で、選ばれるポッポになるために、味の追求とエンタテインメント性の2つが、今後のポッポの命運を担うと思う」。

「今回、ロボットに着目し、人件費の削減だけでなく、楽しさも提供する。たこ焼きは、新人アルバイトが入社して一通り商品化できるまで20時間程度かかる。習熟するのに時間のかかる作業をロボットにすることで効率化を図る」とロボット導入の狙いを説明した。

<小松社長(右)と沢登社長(左)>
小松社長(右)と沢登社長(左)

コネクテッドロボティクスの沢登哲也社長は、「当社は、調理をロボットで革新する。重労働からの開放、日本食を世界へ、作りたてのおいしさの提供をテーマにしている。飲食業では人手不足が進み、人件費が高騰しているが、一方で、高性能なロボットアームは廉価になっている。当社は、ロボットは作らないが、ロボットを制御する技術を提供している。パートナー企業と共に、より高度な調理技術を備えたロボットを開発し、効率化と食の楽しさ、エンタテインメント性の提供を実現したい」と述べた。

<盛りつけは人間が行う>
盛りつけは人間が行う

たこ焼き機は、1面48個の焼き板を2枚備え、1回最大で96個のたこ焼きを15~20分で焼き上げる。人と協働して動く協働型ロボットで、焼き上げはロボット、具材のセット、盛り付けは人間が行う。

小松社長は、「これまで、たこ焼きには1人を張り付ける必要があった。ロボットを導入したことで、1日10時間営業として、1日あたり約7時間の人時を削減できる。たこ焼き器の前に人が張り付く必要がなく、作業環境も改善できる」という。

<具材は人間がセットする>
具材は人間がセットする

調理は、8個、12個、24個、48個、96個に対応。タブレットで必要個数を指定すると、自動で油と生地をピッチャーへ注ぎ、焼き板に油を引く、その生地を入れ、人がセットしたタコやネギなどの具材をスライドさせて生地に投入する。

生地を追加した後、スクレーパーで生地を均一に整え、振動たこ焼き機を振動させて、たこ焼き機を丸く整える焼き上げる。

沢登社長は、「昨年7月に長崎のハウステンボスに1号機を導入しており、ポッポは2号機となる。この1年間でタコの具材の大きさの違い、鉄板の場所による温度の違いにも対応できる改良を加えた。ポッポに導入することで、さらに改良を加えていきたい」という。

<待機中のソフトクリームロボット>
待機中のソフトクリームロボット

ソフトクリームは、一見単純な作業に見えるが熟練を要する商品で人による量目の違いを均一にすることができた。ソフトクリームロボットは、受注から商品提供まで、1個あたり約45秒で提供することができる。

毎回、規定量の提供を行い品質が安定するほか、動きに合わせてしゃべる機能を搭載しており、お客にエンタテインメント要素を提供できる。

ロボットの導入費用は、一括購入の場合は1000万円を超える投資となるが、コネクテッドロボティクスは、調理ロボットと付帯するシステムを月額課金型サービス(Robotics-sa-a-Service)で提供する。サブスクリプション型の提供方法とすることで、初期費用を抑えている。

沢登社長は、「ロボットは進化が早く、アプリケーションもアップデートがある。その都度、料金交渉するのは、提供側も利用側も労力がかかる。月額課金型サービスとすることで、資金調達をしながら、ロボットを利用するパートナー企業とともにロボットを改善・開発するビジネスモデルとなっている。20社程度のパートナー企業を募集し、2021年までの2年間で100台、2024年末には1000台の調理ロボットを稼働させたい」と将来の展望を語った。

セブン&アイ・フードシステムズは今後、今川焼、お好み焼き、ポテトフライといったメニューのロボット化を検討している。また、外食産業での、重労働からの解放という点では、皿洗いに着目しており、デニーズや社食・学校給食などのコントラクト事業で、皿洗いロボットを導入する可能性もあるという。

<ポッポ幕張店の外観>
ポッポ幕張店の外観

ポッポは、1974年設立の旧ヨーク物産がイトーヨーカドー店内で運営していたファストフード店が前身となっている。2007年のセブン&アイ・フードシステムズ設立の際に、デニーズジャパン、ファミールとともに吸収合併された。

セブン&アイ・フードシステムズ設立時、ポッポは直営138店、FC7店だったが、イトーヨーカドーの構造改革などもあり、現在は、直営店51店、FC4店に縮小している。

小松社長は、「大型商業施設でフードコートの重要性は高まっており、当社にもチャンスがあると思っている。選ばれるポッポとなるため、幕張店を出店した。幕張店は、デベロッパーの方を含めて、当社としてどんな業態ができるのか表現するショールームストアとしての意味もある」という。

<サブ店舗名はポッポサーカス>
サブ店舗名はポッポサーカス

ポッポ幕張店は、サブ名称として、「ポッポサーカス」という名を付した。たこ焼きロボットは「ハッピー」、ソフトクリームロボットは「ワンダー」と名付け、サーカスの一団と位置付けた。

<たこ焼き係のハッピー>
たこ焼き係のハッピー

小松社長は、「幕張店は、子ども連れのファミリーからシニアまで、幅広い客層に支持される大きな市場がある店舗だ。一人でも多くの人に、新たらしいサービスを体験してもらうために、幕張店にロボットを導入した。子どもが調理風景を見て、楽しむことで、食に新たな楽しさを提供したい」と語る。

<ソフトクリーム係のワンダー>
ソフトクリーム係のワンダー

ポッポサーカスは、まだ業態として確立していないが、大型デジタルサイネージで、キャラクター動画を流すなど、楽しさを演出している。幕張店の動向を見て、今後の多店舗化を検討したいという。

沢登社長は、「自動化の視点として、ロジックはロボット、アートは人間が担うと考えている。食器洗いにアートはいらないのでロボットができるが、盛り付けにはアートが必要で人間がやるべきだ。無人レストランを目指すのではなく、人のぬくもりやにぎやかさもある店舗を目指している」と語る。

小松社長は、「1から10までロボットが行うことは可能だが、メニューの提供品質は人間がチェックする必要がある。皿に盛りつける、お客様に商品を手渡すといった人と人の接点は大切にしていきたい」と語った。

■ポッポ幕張店
所在地:千葉県千葉市花見川区幕張町4-417-25
イトーヨーカドー幕張店1階フードコート内
TEL:043-296-0678
店舗面積:48.83m2
営業時間:9時~21時(ラストオーダー20時30分)
客席数:308席(フードコート共用)
駐車場:1400台(施設共用)
https://www.7fs-poppo.jp/pp/circus/

■問い合わせ
コネクテッドロボティクス
https://connected-robotics.com/

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