ゲオHD/表参道にヴィンテージ事業初の直営店オープン、30~40代女性狙う
2025年02月13日 16:29 / 店舗レポート
ゲオホールディングスでリユースの高級時計やバッグ・貴金属を専門に取り扱うOKURAは2月14日、セレクトヴィンテージアイテムを取り扱う新事業「VALEUR(ヴァルール)」初の直営店「VALEUR表参道店」(東京都港区)をオープンする。13日、メディア向け内覧会を開催した。
店名・事業名の「ヴァルール」は、フランス語で「価値」を意味する。メインターゲットは30~40代の女性に設定。1号店では「Cartier」「HERMES」「CHANEL」「ROLEX」といったブランドを中心とした時計、バッグ、ジュエリーなどの厳選したウィメンズのヴィンテージ品を専門にラインアップしている。
価格帯は5~6万の手頃な物から40万円前後の商品まで幅広く用意。最高額で1000万円のウォッチも取り扱う。ストックを含む総SKU数は300。内訳は時計200点、バッグが予定より増えて80点、アクセサリー20点となる。特に「Cartier」のヴィンテージウォッチは表参道エリア最大級の商品数約80点をそろえ、「HERMES」のヴィンテージウォッチも約60点集めた。
出店経緯について、ヴァルールの事業責任者を務めるOKURAの伊藤新悟氏は「現在、一次市場ではラグジュアリーブランドの価格上昇が著しく、リユースショップの増加やフリマアプリで中古品売買が一般的になっていることからヴィンテージアイテムの需要が高まっている。ヴィンテージには現行品にはない一点物の価値があり、個性のあるアイテムとしてファッションに取り入れる人も増えた。
この変化を新たな事業拡大の機会と捉え、アパレル企業での経験者を起用するなど社内外のメンバーによるチームを発足し、ヴァルールを立ち上げた。商品をそろえるのは大変だったが、OKURAの屋号を使わずにヴィンテージ系で集めることでゲオHDの事業軸も増える。開店前の半年間に六本木ヒルズなど7カ所でイベントを実施し、リアルマーケティングで反応を得られた」と説明する。
店内は、訪れた人がリラックスして過ごせるよう、隠れ家カフェをイメージした内装にした。高感度セレクトショップの運営、アパレル広報、ラグジュアリーウォッチセールスなどの経験者によるチーム編成を活かした接客サービスに注力する。インバウンドの集客はそこまで狙っていないが、OKURAの既存店には多言語対応できるスタッフが多いため、人員調整もできるという。
表参道で既に出店しているヴィンテージショップとの兼ね合いも考え、ウォッチのラインアップに注力した。入口から入って右奥の壁面には、一面にカルティエのウォッチが並ぶ。中でも20年以上前に廃盤になった「マストタンク」モデルが充実している。
伊藤氏は「イベント期間中も『マストタンクがこんなにあるんだ』とお客様から好評だった。ダイアルがあまり焼けすぎていない物や、状態が良い物を狙ったシリーズで買い付けている。他社がこれをやりたくても、そうそう集まらない。
弊社ではオークションも運営しており、末端から仕入れができる。安定してビジネスできる見込みがあるためヴィンテージを仕掛けた。売価は高すぎずに、根元に特化した調達だからできる価格設定にしている」と話す。
店内奥に位置するサロンスペース内のショーケースには、1991年製の世界400本限定モデル「カルティエ ベニュワール アロンジェ」(税込1000万円)も陳列。このほか、かつてカルティエが展開していた最上級コレクション「CPCP(Collection Privee Cartier Paris)」も取り扱う。価格帯の幅広さ、商品の希少性もヴァルールの強みだ。
また、内覧会では、専門知識を持つ時計職人「ウォッチメーカー」による時計修理の実演も行われた。歩度測定器と器材を用いた細かな調整により、24時間使うと1分の時間差が生じる時計のズレを10秒台まで縮めることができる。なお、実演では1秒差に留めることができた。
現在、リユース市場の拡大によってヴィンテージウォッチの需要が高まっている一方で、時計職人の数は減少。ヴィンテージの時計の修理に対応している店舗も少ないのが現状だという。その中で顧客が安心してヴィンテージウォッチを購入できるよう購入後12カ月の保証期間を設け、自社での修理対応も可能にした。アフターケアにも対応することで、顧客との密接な関係構築を目指す。
ヴァルールでは、時計職人を10人以上も雇用しており、中には取得難易度の高い1級時計修理技能士も含む。伊藤氏は「職人は人数が少なく、雇用するのが中々大変だ。その中でもスペシャリストは少なく、若い女性で専門的に活躍する人も珍しい。企業として、こういった特殊な技術を持った人にフォーカスしたいと考えた。
このエリアはインバウンドターゲットの店が多いが、その中で優位性を出すために歩度調整の工程などに取り組み、米粒以下のサイズのパーツも扱い修理する。これをやるには相当な労力がかかる。だが、あえてこちらの道を選んだ。ここまで商品をケアして販売する店は中々ない」と語る。
労力のかかる業態だが、今後5年かけて国内に9店舗の出店を計画しているという。時計のみならず、バッグ単体の店などカテゴリ別の特化店を出すことも検討していく。
■VALEUR表参道店
オープン日:2025年2月14日
所在地:東京都港区北青山3-12-3 SANOU AOYAMA 1階
TEL:03-6805-0058
営業時間:12時~20時
取扱商品:ヴィンテージウォッチ/ヴィンテージバッグ/ヴィンテージジュエリー(買取サービスは実施しない)
売場面積:39.66m2(約12坪)
■オンラインストア
https://store-valeur.com/
取材・執筆 古川勝平
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