トライアルHD/NTTグループと合弁会社設立、AIでサプライチェーン最適化

2025年07月08日 17:26 / IT・システム

NTTグループのNTT AI-CIX(エーアイシックス)と、トライアルホールディングスグループのRetail AIは7月8日、合弁会社「Retail-CIX(リテールシックス)」を設立した。

<永田CEO>
トライアル

合弁会社は、NTTとトライアルの連携協定により進められているSCM改革の成果を、広く普及するために用意したもの。POSデータを活用した高度な需要予測と、業務プロセス間の「連鎖型AIエージェント」※を用いたサプライチェーン最適化サービスの事業展開を進める。

新会社について、トライアルHDの永田洋幸社長 兼 Retail AI CEOは「流通サプライチェーン全体の最適化を目指す取り組みにおいて、初期サービスが実現できたので、合弁会社の設立に至った。Retail AI社が持つオペレーションドリブンの強みと、NTT AI-CIXの持つ連鎖型AIエージェントの強み。この2つを一緒に活かしたい」と説明した。

※さまざまなAIが自律的にタスクを遂行し、業務・業界横断で互いに連携する技術

<取り組みのイメージ>
トライアル

流通業界では、在庫過剰や返品・廃棄コストの増加といった問題が恒常的に発生している。近年では、製・配・販の各段階で人手不足も深刻化。配送コストや店舗人件費が上昇し、経営効率を圧迫している。これに対し、NTT AI-CIXとRetail AIの両社は、トライアルHDの店舗で実証実験を繰り返し、「店舗作業コスト20%削減」、「店舗在庫20%圧縮」などの成果を出した。

この成果は、小売のみならず川上にも波及する。卸売業・メーカーと連携することで、「生産・出荷計画の合理化」、「製造現場の作業平準化と残業削減」、「返品率・廃棄率の大幅削減」も見込めるという。これまで製・配・販において見えづらかった、需要・発注・在庫・棚割・物流・店舗作業といった一連のプロセスを、AIとデジタルツイン技術を用いて可視化・全体最適化していく。

<新会社の役割>
トライアル

合弁会社では、小売業向けに「自動発注」、「棚割最適化」、「業務負荷軽減」の3つ、卸売業向けに「小売業と連携した需要予測による在庫最適化コントロール」、メーカー向けに「小売業と連携した生産・出荷計画最適化」サービスをそれぞれ提供する。

これらの機能を支える中核技術の一つが、「DTC-SCM」(デジタルツインコンピューティングによるサプライチェーンマネジメント)と呼ばれる「連鎖型AIエージェント」による最適化エンジンであり、流通サプライチェーンにおける「全体最適」を実現するという。

<NTT AI-CIXの社家社長>
NTT

今後は、複数の製・配・販企業との連携を予定している。既存の業界慣習による構造的な課題を、連鎖型AIエージェントによって解決し、サービスの導入拡大を目指す。

事業目標について、NTT AI-CIXの社家一平社長 兼 Retail-CIX社長は「具体的な数字は申し上げにくいが、2027年の黒字化を目標にしている。(トライアル以外の)他社では、どのような効果があるのかという検証も既に初めており、近いうちにお使い頂けるようになる」と述べた。

■Retail-CIX
代表者:代表取締役社長 社家一平
資本金:1億円(株主構成:NTT AI-CIX50%、Retail AI50%)
所在地:東京都港区
事業内容:流通サプライチェーンにおける業務最適化に関するAIエージェントサービスの提供・コンサルティングサービスの提供
設立日:2025年7月8日

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