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大手百貨店/11月売上高新型コロナ感染再拡大で5社そろって減

2020年12月01日 16:30 / 月次

三越伊勢丹ホールディングス、J.フロントリテイリング、エイチ・ツー・オーリテイリング、高島屋、そごう・西武は12月1日、11月の売上速報を発表した。

三越伊勢丹14.7%減、J.フロントリテイリング(大丸松坂屋百貨店)20.0%減、エイチ・ツー・オー(阪急阪神百貨店)13.7%減、高島屋12.9%減、そごう・西武11.1%減だった。

11月の売上は、新型コロナウイルス感染症の再拡大を受け、外出を控える動きが続き、5社そろって減少した。

一方、ECでの売り上げは拡大。クリスマスケーキやおせちの予約販売も好調だった。

■三越伊勢丹HD(2020年3月期売上高:1兆1191億円)
伊勢丹新宿本店店頭前年同月比12.6%減、三越日本橋本店店頭10.0%減、三越銀座店31.7%減などで、三越伊勢丹既存店計14.7%減だった。

広島三越0.0%、高松三越1.7%増だったが、松山三越43.9%減、札幌丸井三越29.1%減など低調で、国内グループ百貨店既存店計は9.2%減となり、国内百貨店既存店計は12.5%減となっている。

一部店舗では売上が前年を上回るも、首都圏と札幌など特に新型コロナウイルスの感染が再拡大した地域においては入店客数が減少した影響で、国内百貨店(既存店計)の売上は前年マイナスとなった。

伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店では、ロイヤリティの高い顧客を中心にラグジュアリーブランドのハンドバッグ・宝飾・時計などの高額品の売上が引き続き堅調。また、年末の家の中の時間を充実させたいニーズを受けて、クリスマスケーキやおせちの予約販売は好調だった。

オンライン売上は特にお歳暮や冬物ファッションアイテムへの関心が高く、前年比約1.4倍と伸長した。

免税売上は、首都圏店舗の売上前年比が先月より下回った影響で、国内百貨店(既存店計)の売上も伸び悩んだ。

■J.フロントリテイリング(2020年2月期売上高:1兆1336億円)
大丸松坂屋百貨店の売上高は前年同月比20.0%減、博多大丸、高知大丸を含めた百貨店事業の売上高は20.6%減となった。
 
ラグジュアリーブランドや美術宝飾品が引き続き好調に推移したものの、新型コロナウイルス感染症第3波の影響が拡大したことにより月後半に減速した。

なお、家の中で過ごす時間を充実させたいというニーズから、おせちの予約は前年を上回る好調な推移を見せているという。

大丸松坂屋百貨店合計の免税売上高(速報値)は対前年95.9%減(客数99.6%減、客単価813.4%増)となっている。

■H2O(2020年3月期売上高:8972億円)
百貨店事業の全社計の売上高は前年同月比13.7%減となった。内訳は阪急本店13.8%減、阪神梅田本店31.4%減、支店計9.8%減。

中旬以降、新型コロナウイルス第3波の襲来による新規感染者の急増とともに、ミセス・シニア層の来店が大幅に減少している。

特に20日を境に来店・売上の水準が大幅に低下。21日からの3連休も、Go Toトラベルの影響か、梅田の店舗では一部キャリーケースでの来店も見受けられたものの、大きな底上げにはつながらず。19日累計の売上高前年比は10%減だったものの、20日以降は18%減と失速し、結果月合計では14%減だった。

また、インバウンドを除く国内売上高は前年対比8%減と回復の兆しが見られる。

お歳暮ギフトの受注については、店頭期間12日短縮をインターネットでカバー、商戦全体の売上高は前年を上回る基調で推移。特に、時代性を捉え、食の未来を考える作り手との協業により、地域創生、環境保全、文化継承を切り口とした商品や和の力をテーマにした総菜・菓子などが好評だった。

アイテム的には、初旬が気温の低下に伴い、コート・ダウンなどに動きが見られたものの、中旬に入り大阪では、最高気温が20℃を超える日が1週間ほど続き、逆に苦戦を強いられた。

一方、前年は消費増税後の影響が継続していたこともあり、都心店のラグジュアリーカテゴリーが牽引している。

阪神梅田本店では、建て替え工事により9階と地下1階の一部における売場閉鎖が継続、12日からはさらに地下1階の閉鎖エリアが拡大し、主力の食品物販売場面積約1割減の状況となっている。さらにミセス・シニア層の来店減も影響した。

郊外店は婦人ファッションが苦戦傾向ではあるものの、食品の売上が前年比2%減と下支えしている。インバウンドは、売上高前年比90%減と前月までと基調は変わらなかった。

阪急本店は、大阪府において、20日にコロナ対応基準の警戒レベルが上がり、高齢者の外出自粛の影響が大きい。梅田の店舗では、検温と出入口制限を2カ月ぶりに再開。19日累計の売上高前年比は9%減ながら、20日以降は20%減と失速するも、インバウンドを除く国内売上高前年比は4%減と堅調に推移している。

おせち料理・クリスマスケーキの予約受注については、いずれもインターネットが牽引している。店頭込みの商戦全体でそれぞれ前年売上の約1.2倍(おせち)・約1.5倍(クリスマスケーキ)で推移した。特に、おせちではコロナ禍における生活スタイルを意識して強化した個食型、1人前・2人前型商品が人気だという。

ファッション商戦では、高気温の影響に加えて、昨年まで集客に寄与していた大型ファッションイベントの中止で、中旬以降全体の動きが鈍化。そのような中、話題性のあるDtoCブランドの期間限定ショップなど、コンテンツによっては、爆発的な売れ方をするものも散見された。

SNSを活用したWEB決済サービス「Remo Order」は月を追うごとに認知度が高まり、遠方の顧客、外出を避ける顧客から特に好反応。商品では、好調なラグジュアリーカテゴリーにおいての需要が高い。時計売場ではホームページにて2020年の新作特集やWEBセミナーなどの特設ページの仕掛けからの誘導で、売上の嵩上げに寄与した。

OMO施策の1つである、店頭商品をホームページ上で紹介する「WEBカタログ」は、新たに婦人服飾雑貨の4カテゴリーと子供服のインターナショナルファッションでの展開を加え、顧客の新たな接点メニューとして高反応だった。

■高島屋(2020年2月期売上高:9190億円)
高島屋単体11店の売上高は前年同月比12.9%減、岡山高島屋、岐阜高島屋、高崎高島屋を含めた14店の既存店売上高は12.8%減となった。

11月度の店頭売上は、引き続き外出を控える動きやインバウンド売上の大幅な減少が継続している影響により、前年を下回った。

免税売上は前年比90.4%減、免税を除いた店頭売上は7.9%減となった。

商品別売上(同社分類による15店舗ベース)は、特選衣料雑貨・宝飾品が前年実績を上回った。一方で、紳士服・紳士雑貨・婦人服・婦人雑貨・リビング・食料品などは前年に届かなかった。

■そごう・西武(2020年2月期売上高:6001億円)
そごう・西武11店の売上高は前年同月比11.1%減、西武池袋本店は11.3%減となった。

新型コロナウィルス感染が再拡大し、第3波を迎えたことから入店・購買客数ともに大きく影響した。とりわけ外出機会の減少を受けて衣料品計で約20%減となっている。

一方イエナカ需要の拡大から、インテリアは、前年を確保。プレステージブランドも高級ダウンやギフト用のバッグ・革小物が伸び、前年比約10%増と好調に推移した。

免税利用売上高は70%減、客数は95%減となっている。

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