日本フードサービス協会/5月外食売上20.4%増、パブ・居酒屋は苦戦続く

2022年06月27日 10:25 / 月次

日本フードサービス協会が発表した外食産業市場動向調査によると、外食産業の5月度売り上げ状況は、前年同月比20.4%増となった。

昨年は大都市圏での緊急事態宣言により、酒類提供店や商業施設等への休業要請があったが、今年はゴールデンウイークが3年ぶりに行動制限のない大型連休となり、家族客を中心に客足が回復した。しかし飲酒業態などを中心に夜間の客足の戻りは鈍く、さらに業界の人手不足が売り上げ回復の足かせになって、特に「パブ・居酒屋」はいまも苦戦が続いている。

ファストフード業態は、全体売り上げは5.7%増となった。行動制限の緩和により外食の選択の幅が広がり、テークアウト需要の勢いは各社でまちまちとなったが、洋風を中心に広がったデリバリーや注文のデジタル化など、利便性への支持は衰えず、業態の全体売り上げを支えている。ただしコロナ前の2019年比で8.2%増という結果は、洋風の好調に支えられたもので、そのほかの業種では苦戦しているところが少なくないという。

「洋風」は、各社まちまちの前年比となったが、期間限定商品の好調に加え、コロナ前からの多様な施策の展開により、基本商品の売り上げは着実に伸び、売り上げ1.8%増。2019年比でも26.2%増とコロナ前を大幅に上回った。「和風」は昨年の価格改定による単価上昇や新商品の好調などから、売り上げ7.9%増。「麺類」は、今年は酒類提供ができたことや、商業施設での販売回復で、売り上げ22.9%増。「持ち帰り米飯/回転寿司」は、テークアウト需要の一服から「持ち帰り米飯」で反動減が見られたものの、「回転寿司」は連休の家族客を中心に集客好調で、売り上げ2.0%増となった。「その他」は、「カレー」は店内売り上げの回復、「アイスクリーム」は商業施設での回復が顕著で、売り上げ8.9%増となっている。

ファミリーレストラン業態の全体売り上げは、36.7%増。2019年対比では13.9%減だった。家族客が回復し、ディナー時間帯の時短制限はなかったが、夜間の集客はまだ取り戻せていない。

「洋風」は売り上げ29.1%増、「和風」は売り上げ46.7%増となるも、2019年比ではいまだ8割前後にとどまり、回復は道半ばとなっている。一方「中華」は、引き続き持ち帰りが堅調の上、店内飲食の回復も著しく、売り上げ27.0%増。「焼き肉」は、連休の集客が好調で売り上げは59.6%増となった。「中華」と「焼き肉」はともに19年比でも100%を超えている。

「パブ・居酒屋」は、売り上げ368.9%増と一見驚異的な回復に見えるが、昨年は大都市圏の酒類提供店が休業要請を受け、多くの店舗が休業し、また時短営業した店舗ではランチ限定の営業が多く、売り上げが非常に小さかったことによるもの。

昨年、一昨年とコロナで大打撃を受けた飲酒業態は、実際には法人需要と夜間の客足が戻らず、回復に頭打ち感も出ている。2019年比では売り上げ45.3%減と、他業態と比べると回復に大きな差が出ている。

ディナーレストラン業態は、飲酒業態と同じく、売り上げは100.1%増と見かけ上は大幅上昇となった。今年はディナー時間帯に営業でき、連休中の個人客の集客が好調、またコロナ禍で取り組んだテークアウト弁当等も売り上げを支えた。一方で、人手不足や夜間の客足回復に課題が残り、2019年比では10.8%減となっている。

喫茶業態の今年の売り上げは、休業を余儀なくされた昨年に比べ31.4%増。商業施設立地店、駅ビルでの客足が戻り、GWには観光地立地店などが好調だった。しかし、オフィス街立地店は日中の戻りが十分でなく、2019年比では18.3%減となった。

日本フードサービス協会/8月の外食売上9.3%増、訪日客需要が好調

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