大手百貨店／4月売上高、インバウンド・ラグジュアリーブランド好調

2024年05月02日 15:10 ／月次

三越伊勢丹ホールディングス、J.フロントリテイリング、エイチ・ツー・オーリテイリング、高島屋は5月1日、4月の売上速報を発表した。

三越伊勢丹前年同月比15.2％増、J.フロントリテイリング（百貨店事業合計）13.1％増、エイチ・ツー・オーリテイリング（阪急阪神百貨店全店計）19.9％増、高島屋各店計（国内百貨店子会社含む）16.3％増だった。

4社ともに、インバウンド需要を受けて、ラグジュアリーブランドが好調だった。三越伊勢丹の免税売上は、国内百貨店計（既存店）で単月最高売上高だった昨年12月を大きく更新。全体購買傾向と同様にラグジュアリーブランドのハンドバッグや財布、宝飾・時計、化粧品など高付加価値商品への関心が引き続き高い。

阪急阪神百貨店の免税売上高は前年に対して3.5倍、中でも阪急本店は約3.6倍と引き続き好調で、お花見シーズン後も高い水準で推移し、同月対比として11カ月連続、単月としても3カ月連続で過去最高を更新した。

社名	売上高前年同月比
三越伊勢丹	11.3％増
J.フロントリテイリング	13.7％増
H2Oリテイリング	19.9％増
高島屋	16.3％増

■三越伊勢丹HD（2023年3月期売上高：4874億円）
伊勢丹新宿本店店頭前年同月比17.6％増、三越日本橋本店店頭10.8％増、三越銀座店29.1％増などで、三越伊勢丹計15.2％増だった。

函館丸井今井1.6％増、仙台三越10.9％減、新潟三越伊勢丹3.0％減、静岡伊勢丹7.4％減、名古屋三越4.2％増、広島三越16.3％減など、国内グループ百貨店計は4.6％増となり、国内百貨店計は11.3％増となっている。

伊勢丹新宿本店・三越日本橋本店・三越銀座店を中心に、引き続き高付加価値商品の売り上げが好調だった。両本店・三越銀座店の3店舗ともに9カ月連続で2018年度を上回る実績で推移している。

先月までと同様に、ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドの衣料品、ハンドバッグ、宝飾、化粧品などが引き続き好調。また、後半の気温上昇に　伴い例年と比較して夏物アイテムへの関心が高く見られた。加えて、各店で実施した様々な独自性の高いイベントも集客につながり、売上をけん引した。

■J.フロントリテイリング（2023年2月期総額売上高：9987億円）
大丸松坂屋百貨店合計の売上高は前年同月比13.5％増、博多大丸、高知大丸を含めた百貨店事業の合計売上高は13.1％増だった。

4月度の売上高は、名古屋店の大型改装による売場面積縮小や、休日が対前年1日減であったことによるマイナス影響があったものの、訪日外国人売上が前年の3倍となるなど好調に推移し、ラグジュアリーブランド、化粧品が大きく売上を伸ばしたことなどから、大丸松坂屋百貨店合計では13.5％増、関係百貨店を含めた百貨店事業合計では13.1％増となった。

店舗別では、15店舗中11店舗が前年実績を上回った。名古屋店は改装により婦人服売場の面積が7割減となったが、ラグジュアリーブランドの好調などにより前年実績を確保した。大丸松坂屋百貨店合計の免税売上高(速報値）は、対前年212.6％増（客数同138.5％増、客単価同31.1％増）となり、月度での最高売上記録を更新した。

■エイチ・ツー・オーリテイリング（H2O）（2023年3月期売上高：6280億円）
百貨店事業の全店計の売上高は、前年同月比19.9％増となった。内訳は阪急本店29.8％増、阪神梅田本店5.7％増、支店計10.3％増。

春の行楽や、新生活も背景に春のファッションや各種ギフトへのニーズなど、お客の購買意欲は高く、全店売上高は前年に対して約2割増と好調。引き続き都心店の売上高の伸長率は高い水準で、中でも阪急本店の売上高前年比は約3割増とけん引した。

■高島屋（2023年2月期営業収益：4434億円）
高島屋各店計は17.3％増、岡山高島屋、岐阜高島屋、高崎高島屋を含めた国内百貨店計は16.3％増だった。

店頭売上高は前年比16.3％増、2019年比17.6％増、2018年比16.5％増といずれも上回った。国内顧客は、気温の上昇に伴いブラウス、カットソーや日傘、帽子などが堅調に推移した。さらに、ゴールデンウイークに向け、スーツケースなどの旅行用品にも動きが見られた。また、インバウンドは、ラグジュアリーブランドを中心とする高額品が売上高を押し上げ、単月としては2カ月連続で　過去最高を更新した。

店舗別売上高は、大阪店、京都店、日本橋店、横浜店、新宿店、大宮店、岐阜店が前年実績を上回った。

商品別売上高（自社分類による14店舗ベース）は、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、特選衣料雑貨、宝飾品、呉服、　スポーツ、リビング、美術、食料品、サービスが前年実績を上回った。