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J.フロント/地域に根差した事業承継ファンド設立

2024年01月19日 13:10 / 経営

J.フロント リテイリングは1月18日、イグニション・ポイント ベンチャーパートナーズ(IGP-VP社)と共同で事業承継ファンド(投資事業有限責任組合、以下、共同ファンド)の組成に関する合意書を締結したと発表した。

両社は、3月を目途に共同ファンドを設立し運用を開始する予定だ。同社によると、事業承継ファンドの設立は小売業では初の取り組みという。ファンド名称、出資総額、出資比率、組成日等については、正式に決定した際に改めて開示する。

<共同でファンド設立>

事業承継ファンドは、地域の産業・雇用の維持など地域経済への貢献、日本の地域に根ざしたコンテンツを発掘、出資、支援することで未来にコンテンツを受け継ぐことを目的とする。

投資対象は、食文化を中心として、日本の地域に根差した事業を行う国内企業で、地域は限定しない。特に、J.フロントグループが地域や生産者とのつながりを生かせる地域は注力する。将来的にはグループへの売却(子会社化)を想定し、過半数の出資を前提とする。

投資後の経営支援として、両社の強みを活用。J.フロント リテイリングとして、販売チャネルの提供、優良な顧客資産の活用、取引先ネットワークを活用した他企業とのコラボレーション、経営人財の支援などをする。

イグニション・ポイントグループとして、経営企画立案や事業開発、業務効率化など投資先のバリューアップにつながるコンサルティングノウハウの活用、ブランドプロデュースや商品企画などのクリエイティブ支援などを想定している。

イグニション・ポイント ベンチャーパートナーズは、イグニション・ポイントグループのベンチャーキャピタル事業体として2021年に設立。「挑戦者たちと共に、地球の未来を拓く。」というビジョンを掲げ、次世代のためにより良い社会を作ることを目指すスタートアップや起業家の支援を行なうとともに、スタートアップと既存産業との共創による新たな社会価値の創出を目指している。

J.フロントグループは、“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”をグループビジョンに掲げ、事業活動を通じて社会的価値と経済的価値を両立させるサステナビリティ経営を推進している。グループビジョンのゴールである「Well-Bing Life」を実現するために7つのマテリアリティを設定しており、そのひとつである「地域社会との共生」は、欠くことのできない取り組みと認識している。

グループの大丸、松坂屋、パルコは、各地域の人々に長年支えられてビジネスを展開している。地域には優れた商品・サービス(=コンテンツ)を提供する企業が数多く存在する。一方で、後継者、資金、経営ノウハウなどの不足による廃業が地域経済に大きな影響を与えている。そこで、地域社会・企業を支援するための仕組みとして、事業承継ファンドを検討していた。

また、グループは、特色あるリテーラーグループとして持続的に成長するため、魅力あるコンテンツの創造・発掘を強化している。現中期経営計画の期間においては、eスポーツチームを擁するXENOZ社を子会社化したほか、IGP-VP社と共同でコーポレートベンチャーキャピタル「JFR MIRAI CREATORS FUND(以下、JMCF)」を立ち上げいくつものベンチャー企業に出資して百貨店、パルコなどグループ事業との連携を強めるなど、取り組みを進めてきた。3月から始まる次期中期経営計画においては、コンテンツ探索の領域をさらに拡大する必要があると考えている。

IGP-VP社は、事業支援・投資ファンドの運営に優れた知見を有しており、共同で設立したJMCFの運営を通じてグループの価値観・戦略にも理解と共感を得ている。

共同ファンドをIGP-VP社と立ち上げ、「食文化を中心として、日本の地域に根差した事業を行う国内企業」に対して出資し事業承継を支えることで、未来にコンテンツを受け継ぎ、地域社会への貢献とグループの成長を実現する。共同ファンドについては、今後、他の出資者についても検討する予定だ。

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