日本生協連/4~11月宅配事業の利用人数1.3%減、組合員獲得に向けSNS活用
2025年01月21日 15:34 / 経営
日本生活協同組合連合会(日本生協連)は1月21日、2024年度4~11月の宅配事業概況について、受注高が前年比1.2%増、利用単価2.5%増、利用人数1.3%減、点数1.6%減だったと発表した。
受注高は増収だが、点単価の上昇に支えられている状態となる。特に8月は、コープこうべ、パルシステムなどが一斉夏季休暇を導入した影響で利用人数が大幅に減少した。利用者の総数自体も純減し、利用人数の低迷につながっている。
加えて、採用難・人材不足で、業務委託先事業者の欠員率も改善していない。
藤井喜継 代表理事事業担当専務は「宅配が伸び悩んでいる。コストが上がっていく中でどう対応するか、まずは愚直に宅配のリノベーションとDXの活用を進めていく。事業経営の危機としては、人手不足が非常に多くなっている。宅配センターの標準化を含めて、さまざまな形で生産性を高めていきたい」と語った。
現在、損益改善につなげる取組を推進している。23年度に引き続き、宅配センター業務の効率化を図る「標準化スクール」を年4回(24年7月コープさっぽろ、9月エフコープ、11月コープこうべ、25年2月コープみらい予定)で開催し、経費構造の変化を目指す。
AIを活用した「配達コース最適化」にも着手。宅配の配達コース編成の起案にAIを使うことで、走行距離を短縮。コース作成業務自体も合理化する。コープこうべでは24年5月に導入し、効果を検証中。5~9月までには、4つのセンターで9台(8.7%)の車両を削減でき、その9台が訪問していた1798件の配達先は周辺の車両で吸収できた。
配達コースの最適化については、コープ九州でもAI導入に向けて協議中だという。
また、若年層の組合員獲得にも力を入れる。現在生協では、デジタルコミュニケーションを活用して、生協への理解・共感を広げる取り組みを進めている。
藤井専務は「『お母さんの生協』というイメージがどうしても強い。そこで女性向け、特にDINKS・シングルの若い女性、共働き世帯をターゲットに、生協のある暮らしをどうやって理解してもらえるか、接点づくりに取り組んできた。インフルエンサーを起用しながらSNSを活用している」と話す。
各生協で約400アカウントを保有しており、フォロワーは計80万人ほど獲得しているという。
そこで今回、新たに人気のコンテンツ制作会社を起用した。現在、「コープの宅配」をテーマにしたアニメーション動画を作成している。25年2月に公開予定。全国生協SNSで動画を紹介し、宅配紹介サイトへの誘導を目指していく。
取材・執筆 古川勝平
流通ニュースでは小売・流通業界に特化した
B2B専門のニュースを平日毎朝メール配信しています。