サミット 服部社長インタビュー（後編）／「地域で頼りにされる店」を目指して
2025年12月25日 11:00 ／ 経営
ネットスーパーやセルフレジの状況、昨今注目されるサイバー攻撃への対策、さらにはSSTバッジの狙いとは──。前編に続き、サミットの戦略について、合同記者会見で服部哲也社長が語った内容を紹介する。
＜SSTバッジを掲げる服部社長＞
服部社長インタビュー前編はこちら
──ネットスーパー事業の進捗は
服部 今、月商で2億円弱。日々の売上が100万円を超えるような店も出てきている。
11月末に開始した「踊場駅前店」で20店舗となった。20店舗で出店エリアの商圏の100店舗分ぐらいはカバーできている。
あとはその100店舗のエリアをカバーした中でどれだけ会員を獲得できるか。そこを一生懸命やっている。
──この1、2年導入を進めているフルセルフレジの効果を教えてください
服部 残り数店舗でフルセルフ化が終わる。フルセルフ化で、チェックスタンド（レジ）部門の人時生産性は1万4000円～1万7000円高くなる。店全体では500円程度の人時売上高が上がる。
フルセルフ化をして、チェックスタンドの人員は他の部門の応援など多能化していく。特に今年度は店舗の入口にあるカットフルーツやインストアサラダの売上を1.5倍にする目標を掲げている。徐々にその数字に近づいている。
アウトパックのカット野菜を除き、カットフルーツやインストアのサラダ、焼き芋、アサイーボウルのような一部のスイーツなどを合わせると、週に8000万円程度売り上げている。そのレベルまで高められているのは、フルセルフ化の恩恵もあるのではないか。
──サイバー攻撃への対策は
服部 親会社からのアドバイスを含めて対策は以前から行っている。ただ、対策をしても完全に防ぐことは難しいだろう。起きた時にどう回復させるかがポイントになる。起きた時の事態をある程度想定しながら、どういうふうに修復できるか検討を始めている。
JSA（日本スーパーマーケット協会）でも話が出ており、同業者の事例を踏まえてどういう備えをしたほうがいいか、復旧するにあたってどういうやり方がいいのか。ここは競争領域ではなく、互いに共有してみんなで生かしていこうと話している。
──「サミットの仕事は楽しい（SST）」バッジについて教えてください
服部 店に配っているが、着けるのは強制しておらず「着けたい人だけ着けて」と伝えている。店を回るとみんな着けてくれているのですごく嬉しい。ただ、これをあまり書かれると、社長が喜んでいるから着けろといったことになりがちなので、大々的には言いたくない。とはいえ、楽しいと思っている人が着けてくれていると理解している。
働く時の気持ちが前向きであったり、より積極的であったりすると、自分の満足度も上がる。そうなるとお客様や取引先、生産者などからも「サミットはちょっと違うよね」と言われるようになる。
結果的にそれはこの先スーパーマーケットが地域にとって求められる大きな役割になるのではないか。つまり、ずっとその地に根を張り、太い幹から枝を伸ばして葉を茂らせる大樹のように、その地域で頼りにされる店であり続けるのではないか。
そういう意味では、スーパーマーケットの役割は社会インフラやエッセンシャルワーカーというだけではなく、本当の意味で地域にとって欠かせない存在になることだと考えている。
──2025年度ここまでで手応えを感じている施策は
服部 DXでは自動発注を導入しているが、それ以外にもAIによる値引きや、製造計画でAIを活用するといった仕組みづくりを進めている。
結果的には現場の煩わしさが軽減されてきて、より商品を売ったり売り場を作ったりすることに集中できるようになってきた。それによって「サミットの仕事は楽しい（SST）」につなげられつつあるというのが手応えとしてある。
──推進している「生きる糧を分かち合う店」づくりへの感触はどうですか
服部 お客様だけでなく、取引先や生産者も「サミットはお店の人が楽しそうに働いてるよね」と言っていただくことが結構ある。
お客様同士が仲良くなるということもある。案内係を介して知らないお客様同士が仲良くなっている。待ち合わせしてお買い物をしてから「サミCafe」でお茶を飲んで帰るといった事例も実際に増えている。
「生きる糧を分かち合う店」という情緒的な価値は効果測定がなかなか難しいが、こうしたフィードバックが多く返ってくるというのが、ある意味では効果測定になっている。
取材・執筆 比木暁
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