大塚家具は2月6日、全国16店で、商品・売場構成、店舗内外サイン、フロアデザインなどの変更を行う大リニューアルプロジェクトを実施する。
4日、大リニューアルプロジェクトのモデル店舗である「新宿ショールーム」で、関係者向け内覧会を開いた。新宿ショールームは地下1階~地上8階に売場面積約1万3000m2を展開し、6万8000点以上の商品をそろえた。
大塚久美子社長は「入りずらい、人がわずらわしい、高いものばかり置いているといったイメージを払拭するためのリニューアル。10年先を見据えた取り組みで、人生の大事な節目での住空間のしつらえの相談ができるお店を目指す」とあいさつした。
「幸せをレイアウトしよう。」という新ブランドビジョンのもと、引越などをきっかけとした目的買いのお客に適した、スタッフによる説明が前提の店から、スタッフの説明なしでも楽しめる店へ移行することを目指した。
大塚家具の商品価格帯別売上構成比では50万円以下の商品が80%を占める。そのうち、10万円~20万円までの商品がボリュームゾーンになっている。これまでは、新規ブランドの取り扱いを増やすごとに、既存の売れ筋価格帯の商品の売場を縮小する傾向があったため、高価格帯の売場面積が過剰になっていたという。
大塚社長は「中価格帯の商品として10万円台の商品を打ち出した。より手軽なものを求めるお客さまへ向け、6万円台のソファなどもそろえた。これまでも中価格帯の商品が売れていたのに、実際の売場はそれが表現できていなかった。リニューアルで等身大の大塚家具を知ってもらいたい」と語る。
10万円~50万円の中価格帯家具を打ち出し、1階では、各カテゴリーで人気ナンバーワンの商品を展示。カバーリングソファ「デュオ」(16万7400円~)、ダイニングセット「シネマ」5点(12万9340円)、マットレス「レガリア オネスティ」シングルサイズ(6万9800円)などを展開する。
オリジナルの布張りソファ(6万9660円)、革張りソファ(11万9880円)、ドイツ製総革張りソファ(27万8640円)、ドイツ製布張りソファ(36万8280円~)など160種類以上の新作家具を導入。
デザインオフィスnedoとのコラボレーションによる北欧スタイルを軸としたセレクトショップ「EDITION BLUE」のコーナーも配置した。
2015年11月~12月にかけて、売場リニューアルのために実施した「全館全品売りつくしセール」では、ショールーム(店舗)在庫の16%、倉庫在庫の7%、合計で12%の在庫を販売した。
34万点の商品を対象としたセールであったが、継続して販売する商品もあり、計画に近い消化率となった。リニューアル後には、取扱いをしない商品は、ほぼ売り切ることができたという。
新宿ショールームでは、これまで2フロアあったラグジュアリーブランドのフロアを1フロア強まで縮小した。本社のある有明ショールームでは、ラグジュアリーブランドの売場面積は17%(約1200m2)縮小した。
一方で、中価格帯商品、ベッド、デスクといった機能性家具の売場をそれぞれ7%増やした。
昨年も店舗リニューアルを実施し、店舗入口の受付を廃止するなど、来店しやすい店づくりを進めていた。昨年のリニューアル後は、全店ともおおむね約60%程度の新規顧客の来店があった。今回のリニューアルでも、新規顧客の増加と来店頻度の拡大を目指す。
リピーターの獲得と来店頻度の拡大を目指す施策として、1階に約1300点の持ち帰り可能な日常的に使えるインテリアアクセサリー類を新規導入した。
クッション、既製カーテン、ブランケット、寝装品、タッセルなどファブリック小物、傘立て、ミラー、コートスタンド、スリッパラック、ミニイミテーショングリーンを展開。時計、フォトフレーム、フラワーベース、キャンドルスタンド、ダストボックス、マガジンラック、トレー、小物入れ、スリッパ、テーブルスタンドなどをそろえた。
セレクトショップや雑貨専門店が扱わない、家具専門店が扱うインテリアアクセサリーを意識した品そろえを目指した。現在、食器などのキッチン雑貨の取り扱いはないが、新規導入のインテリアアクセサリーの販売手法の確立を踏まえ、取扱い商品の拡大を検討するという。
人気ナンバーワン家具をクローズアップし紹介する商品展示や、その時々のシーズン商品や機能性の高い商品などのおすすめ商品を展示するポップアップスペースを設置することで、何度来店しても、新しい出会いのある売場を目指した。
新宿ショールームでは、新宿通り側と甲州街道側の2か所に入口を配置。入口には大型のデジタルサイネージとフロアガイドを設置。店内サイン・POPも全面的に見直し、スタッフが案内しなくとも、館内のどこに何が売っているか分かる工夫をした。
1階の寝具売場では、iPadと大型ディスプレイを活用した寝具の相談コーナーを設置。スタッフに尋ねなくても、お客自身が端末を活用することで、自分に合う寝具を見つけられる提案もした。
甲州街道側の1階エントランスの吹き抜けでは、中央の大理石の柱をグリーンで覆い隠すことによって、お客を優しく迎える癒しの空間を表現した。
1階には、これまでの受付とは異なり、レジやギフトラッピングなどのサービス、各種相談などに対応する「サービスカウンター」を3か所に配置。お客が必要な時に、気軽にスタッフに声をかけることができる環境を整えた。
サービスカウンターは全フロアに配置し、クロークや車いすの貸出も実施。既存の大塚家具のお客にも、これまでと同様のサービスを提供する。
新宿ショールームでは、全フロアを改装したが、1階、2階フロアを中心とした改装で、今後も改装を継続する。フロアマップの掲示は2階フロアのみで、4~5月の第2期リニューアルで、店内サインの変更・増設を予定している。
大塚社長は「新宿ショールームの大リニューアルは、まだ生まれたばかりの新生児と同じだ。3階以上フロアのリニューアルをゴールデンウィークを目途にやっていきたい。商品構成比のリニューアルは完成したが、まだ、見せ方、演出力がない。この部分を今年中には完成させたい」と述べた。
4月には、本社のある有明ショールームが開業20周年を迎えることもあり、有明でもさらにリニューアルを進める計画だ。
訪日外国人によるインバンド消費が拡大する中で、大塚家具でも日本に不動産を買った外国人の来店が増えている。今回のリニューアルでは持ち帰り商品を増やしたこともあり、インバンド需要の取り込みも図る。
主力に据えた中価格帯の家具のほか、ギフトにも使えるラグジュアリーブランドのインテリアアクセサリーや小物を充実させたことで、家具とインテリアアクセサリーでさまざまな奥行きのある組み合わせができるのが、大塚家具の強みだという。
大塚社長は「これまで、大塚家具に足を運ばず、大塚家具とは関係がないと思っていたお客さまに是非、足を運んでもらいたい。行ってみたら楽しかったね。また、行ってみたいね。と言われるお店にしたい」と抱負を述べた。
店舗概要
所在地:東京都新宿区新宿3-33-1
交通:JR新宿駅南口から徒歩約2分
地下鉄新宿三丁目駅E9出口でてすぐ
TEL:03-5379-4321
営業時間:10時30分~20時
店舗面積:約1万3000m2
アイテム数:6万8000点以上
■新宿ショールーム
http://www.idc-otsuka.jp/showroom/shinjuku/
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