日本ショッピングセンター協会/菰田会長「商業施設は量的拡大から質的向上へ」
2025年12月16日 16:02 / 経営
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日本ショッピングセンター協会は12月16日、冬季定例記者会見を開催した。
菰田正信会長は、2026年のショッピングセンター(以下:SC)業界について「量的拡大から質的向上へと転換する重要な局面にある。SCと協会は働きやすい環境整備、地域社会への貢献、リアルな場の強みを生かした来館価値向上を推進していく」との見解を示した。
働きやすい環境整備について、AI活用が進んでいる。協会が実施したアンケートでは、4人に3人がAIの利用経験があり、商圏分析・顧客ターゲット設定・議事録作成などに活用されている。
会員企業のアトレでは、全社でAI活用を進めるためのサポート体制を強化。AIを社員の挑戦を支援するメンターと位置づけている。
同社は2026年以降、「OIMACHI TRACKS SHOPS&RESTAURANTS」、「アトレ中野」と出店が続くが、増員ではなく、社内の生産性向上で業務の負担減に挑んでいる。
具体的には、4月に全社で「Gemini」を導入。社内の生成AI利用率は10月末時点で月1回以上の利用は89.7%、週数回以上の利用は72.2%となった。
週1回アーカイブ付きの勉強会を開催し、「Gemini」のアップデートや社内でのAI活用の好事例を横展開している。
さらに、「アトレGemini活用大賞」を開催。現場での再現性のある取り組みを表彰した。「社長特別賞」には、現場の新入社員と3年目社員が自ら企画した勉強会が選ばれた。
また、協会では、SC業界における業務効率化・デジタル化のための施策として、「売り上げ報告業務標準化」と項目の削減(4項目)を推進している。
「T-FACE」(愛知県豊田市)を運営する会員企業の豊田まちづくりは、いち早く売り上げ報告業務の簡素化にチャレンジした。
2024年から売り上げ報告4項目実現のための準備を行い、2025年4月から本格運用を開始した。
それ以来、細かいミスは散見されるものの、問題なく運用できているという。
デベロッパーでは売上総額・客数のみを管理し、売り上げの内訳を管理しない。店舗と店舗本社との業務分担の明確化した。
同社は「店舗では4項目のみで作業が簡略化されたため、新人や外国人スタッフでも覚えやすくなった。電話でのデベロッパーからの金額確認が減り、店舗業務に集中できるようになった。デベロッパー側でも、1日当たり1~1.5時間の業務時間短縮につながっている」と説明した。
取材・執筆 鹿野島智子
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