国分×ヤマト/食のサプライチェーンで連携、物流拠点内にプロセスセンター構築など
2026年01月15日 15:55 / 経営
国分グループ本社とヤマトホールディングスは1月15日、「持続可能な地域社会の創造」を目指したパートナーシップ協定を締結した。
国分グループの食品流通ネットワークや食への知見と、ヤマトグループが持つ物流ネットワークや顧客基盤といった両社の強みを生かす。生産者から生活者までをつなぐ流通プラットフォームを構築し、食のサプライチェーンで新たな仕組みづくりを進める。具体的には「共創領域」として次の5つの取り組みを挙げる。
- 買い物困難地域における移動販売・定置販売拠点の構築
- 地域営業拠点や施設を活用した生産地型集約拠点の構築
- 航空機や宅急便ネットワークを活用した遠隔地間での食品流通の拡大
- 都市部におけるプロセスセンターや在庫型センターなどの消費地型拠点の構築
- 生産者と小売や外食事業者、消費者をつなぐダイレクトマーケットの創出
1つ目の「移動販売・定置販売拠点の構築」では、山間部や離島などへ食品などの生活必需品を届ける仕組みを作る。国分グループの物流センターからヤマト運輸の営業所をつなぎ、移動販売や販売拠点の構築を行う。
2つ目の「生産地型集約拠点の構築」は、ヤマト運輸の全国約2800カ所の拠点を活用。配達車両が出払った後の閑散時間帯に、生産品の仕分けや加工業務のほか、規格外商品の集約による商品化などで生産者の収入を拡大する。
3つ目の「遠隔地間での食品流通の拡大」では、小ロット生産や消費期限の短さなどから商圏が限られている商材を取りまとめ、ヤマト運輸の航空便などを活用してリードタイムの短い国内外向けの流通網を構築する。
4つ目の「消費地型拠点の構築」では、東京都大田区にある青果市場「大田市場」の近郊にある物流施設「東京レールゲートEAST」内のヤマト運輸の物流センターを活用。施設内の一部スペースを国分グループが賃借し、青果用のプロセスセンターを構築する。
プロセスセンターは冷蔵・冷凍の温度帯に対応し、一時保管や加工、店舗への配送などの拠点とする。これによりコールドチェーンの強化を図り、各地域で生産された農産品などを首都圏の小売企業や消費者へ供給する計画。
5つ目の「ダイレクトマーケットの創出」は、ヤマト運輸が手掛ける飲食店向けのECプラットフォーム「ヤマトフードマーケット」を基盤に、全国の生産者とスーパーマーケットや外食事業者とをつなぐインフラを構築していく。
これら5つの取り組みについて、具体的なスケジュールは未定だが、プロセスセンターの構築は早ければ今春にも着手する予定。
今回のパートナーシップ協定は「どちらからともなく、阿吽(あうん)の呼吸」によって話がまとまったと、国分グループ本社の国分晃社長は明かす。もっとも、事業モデルが異なる以上、協定によって得たい「果実」も当然ながら異なってくる。両社の狙いはどこにあるのか。
国分グループ本社は、2026年から始まった第12次の長期経営計画のビジョンに「食の価値循環プラットフォーマー」を掲げ、地域社会との共創や、国内外での社会課題解決の推進を旗印とする。そんな中、今回の協定では地域の生産者との連携強化への思いがにじむ。
「生産者の皆さんはいい商品を作っていながら、なかなか価値が消費者に評価されず、経済的にマイナスのような状況に置かれてしまっているケースが非常に多い。そうした生産者の役に立つというのが、この協定の目的の一つ」(国分社長)
そうした中で、ヤマトが持つ全国各地の物流拠点を有効に活用し、新たなサービスモデルの構築を目指す。
一方、2800のラストマイル拠点を持つのヤマト側としては、過疎化や人口減少が進む中で、各拠点の活用戦略の練り直しが求められる。これについてヤマトHDの長尾裕社長は次のように述べる。
「今後もサービスを安定的に提供していく上で、すべての営業拠点が宅急便だけのサービス提供で経済的に成り立つかというと、もうそういう状況ではない。地域のお客様や事業者が欲していることのうち、我々がやれることを提供していくことが、今後の宅急便の一つのビジネスモデルになる」
ヤマト運輸では地域の生産者といった顧客基盤を抱えていながら「できあがった荷物を運ぶことしかしていない」(長尾社長)というジレンマを抱える。国分グループと連携することで、宅急便の枠を超えた取り組みにつなげたい考えだ。
「現段階では、このくらい儲かりそうと計算しながらやっているというよりも、我々が長年ジレンマとして抱えてきたことを解決できる糸口が大いに見えそうだなということに大きく期待をしている」
取材・執筆 比木暁
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