くら寿司/台湾で上場しアジア事業強化、2030年海外売上高1500億円目標

2020年09月17日 16:30 / 海外

くら寿司は9月17日、子会社「アジアくら寿司」が台湾証券市場「タイペイエクスチェンジ」に上場したと発表した。

<「タイペイエクスチェンジ」に上場>
「タイペイエクスチェンジ」に上場

日系飲食企業子会社初の台湾株式市場上場となるもの。「タイペイエクスチェンジ」は、米・Nasdaqと同様に、新興形企業の「登竜門」であり、台湾の外食企業も登録しているという。

<田中邦彦社長>
田中邦彦社長

同日行われたオンライン記者発表会で、田中邦彦社長は、「上場は現地で事業拡大するための資金調達、現地での信頼の獲得による、優秀な人材、優良な物件のオファー、従業員の老後も見据え、従業員に株を持ってもらい、働き甲斐を感じてもらうことが目的。外食のレベルの高い台湾で当社の特異性が認められており、台湾での成功がアジア進出の試金石になると考えている。コロナ禍で中断しているが中国出店など含め、将来的にアジア200店舗体制を目指す」と意気込みを語った。

昨年上場したアメリカ、今回の台湾での上場で弾みをつけ、2019年10月期136億円の海外売上高を2030年1500億円を目標とすることも明らかにした。

<台北の店舗外観>
台北の店舗

同社は、2014年に台湾に進出し、現在29店舗展開、2019年の売上高は約70億円だった。

アジアくら寿司の西川健太郎・董事長兼総経理は、「上場により約18億円を調達、アジア出店、それに伴う優秀な人材の確保に充てたい」と説明した。

<西川健太郎・董事長兼総経理>
西川健太郎・董事長兼総経理

今後、台湾で年間5~10店舗出店、3年以内に中国・東南アジアを含めたアジア地域への出店を実現させ、将来的にはアジア200店舗体制を目標としている。

また、台湾戦略に関し、「外食の王道のドミナント出店ではなく、くら寿司ブランドを確立できる広さ、家賃などの条件を重視し、ロードサイドでも商業施設でもなく、ビルインの路面店で個別に出店する戦略をとった。また、日本に来たような気分を味わえるよう、日本のくら寿司と同じ設備を入れ、ビッくらポンなどエンタメ性も重視したことが、台湾で受け入れた要因だ」と分析している。

<日本の店と全く同じ体験ができることが好評>
日本のくら

仕入れに関しては、当初6割を日本から輸入していたが、現在は海外産地の開発・直接輸入で、日本3割、海外3割、台湾4割にコストダウンと品質維持を両立。為替リスクの低減も図った。

さらに、外食業の地位が比較的高く、人材の流動性の高い台湾の事情に合わせ、従業員への待遇も工夫。店長以上の社員は年に1回日本に研修旅行、日本語を使用するメニューがあるため簡単な日本語学習の提供、勤怠管理の徹底、祝日のアルバイト給与は2倍、年に2回の懇親会なども行い、現地への適応を進めている。

同社は2020年は「第二の創業期」と位置付け、日本・海外事業を両輪に、2030年中に全世界1000店、売上高3000億円を目指す。

くら寿司 決算/11~7月売上高12.1%増、日本事業が過去最高の業績

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