モスフード 決算/3月期売上高9.4%増、価格改定で客単価増
2024年05月16日 17:00 / 決算
モスフードサービスが5月15日に発表した2024年3月期決算によると、売上高930億5800万円(前年同期比9.4%増)、営業利益41億8500万円(前期は4100万円の利益)、経常利益43億9200万円(前期は3億5600万円の利益)、親会社に帰属する当期利益25億7300万円(前期は3億1700万円の損失)となった。
国内モスバーガー事業の売上高は733億8000万円(10.0%増)、セグメント利益(営業利益)は58億6200万円(184.2%増)。
前年度に実施した価格改定により客単価が上昇したことに加えて、さまざまな施策により客数をほぼ前年度並みに維持できた。顧客のニーズに合わせた商品・マーケティング展開に加え、接点強化に向け、未開拓エリアへの出店や地域に密着した店舗運営を推進。結果、売上高・セグメント利益(営業利益)ともに前年度を上回ったほか、既存店売上高も5.6%増と順調に推移している。
出退店については、出店37店、退店16店で、店舗数1313店。これまで未開拓だった、都市部の住宅地近接のコンパクトな物件等、多様な立地に適応した店舗づくりを推進した。キッチン設備や機器を充実させ、省力化を図ったほか、コロナ禍で短縮していた営業時間の適正化に引き続き取り組んだ。
人手不足の対応として、フルセルフレジやソフトコール、番号表示パネル等、IT技術を活用した店舗づくりを引き続き推進。顧客の利便性向上に向けた対応としては、レジに並ばずにスマホを利用してテーブルで注文できるシステムや、パーキングオーダーを試験的に導入している。
物価上昇による社員の生活への不安軽減および会社への信頼やエンゲージメントの向上を目的に、全社員約650名を対象に賃金引き上げを決定。定期昇給とベースアップで社員給与を平均8%引き上げた。
モスブランドを活用した新たな事業を展開するマーチャンダイジング事業では「モス公式オンラインショップ~Life with MOS~」内に、「モスライスバーガー専門店」を2023年8月よりオープンしている。
海外モスバーガー店舗で実績のある商品をアレンジした「モスライスバーガー ガパオ」などに加え、「モスライスバーガー専門店」オリジナルの新商品として、「モスライスバーガー 韓国風ピリ辛ポーク」の販売を開始した。
今後も海外店舗の限定商品や、国内店舗で過去に人気だった商品の復刻、オリジナル商品の開発など、モスライスバーガー専門店ならではの商品を取りそろえ、ブランドの価値向上とともに、新たな収益源へと育てていく。
海外事業では、海外事業の売上高は168億1300万円(7.5%増)、セグメント利益は2300万円(前年度はセグメント損失2億5100万円)。
主要な連結子会社での価格改定や円安による増収効果もあり、売上高が増加したほか、商圏の変化および人流の変化に合わせた不採算店舗の閉店や本社経費の抑制に取り組み、セグメント利益も改善している。
店舗数は、積極的にスクラップ&ビルドを実施した結果、一部地域では店舗数を減少したが、全体では1店舗増の456店舗となった。
マーケティングは、日本の食文化を大切にした定番商品の販売に加え、現地の嗜好を取り入れたローカライズ商品を販売するなど、地域に根差した店舗および商品展開を進めている。
シンガポールでは、不採算店舗の見極めと整理、物流コストと本社経費の削減に着手。原材料費の高騰を背景に、7月から一部商品を価格改定し、価格の適正化に取り組んだ。
香港では、本社経費の削減や調達の工夫による原価率低減を図っている。不採算店舗については、サービス向上と収益性の改善に向けて店舗ごとに対策を講じた。2023年7月に一部商品を価格改定し、来店客数の維持と客単価上昇による収益性改善に取り組んでいる。
来店施策として、海外でも人気のアニメ「ONE PIECE」とコラボレーションした物販施策をシンガポールと香港で実施し好評を得た。
海外店舗の主要な食品の製造を担う台湾の魔術食品工業では、収益性の改善や新たな販路開拓、新商品開発に注力している。
2025年3月期は、売上高940億円(1.0%増)、営業利益42億5000万円(1.5%増)、経常利益44億5000万円(1.3%増)、親会社に帰属する当期利益26億5000万円(3.0%増)を見込んでいる。
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