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スシロー/水留社長が語る「強さの秘密」(前編・ぶれない寿司へのこだわり)

2018年02月09日 16:20 / 流通最前線トップインタビュー

あきんどスシローを展開するスシローグローバルホールディングスは、2017年3月期に売上高1564億円、営業利益92億円と33期連続で増収記録を達成した。スシローは2011年3月に回転寿司売上日本一を達成して以来、回転寿司業界No.1の地位を維持しているが、これまでの道のりは平坦ではなかった。

2006年に創業者の清水義雄氏が引退後、2007年にゼンショーが筆頭株主となり、かっぱ寿司との経営統合を提案されたことを受け、投資ファンドのユニゾン・キャピタル傘下なって以来、2017年まで投資ファンドの傘下で経営を続けていた。回転寿司のように、回る資本と経営陣の中で、一貫して成長を続けるスシローの強さの秘密と、投資ファンドの役割、経営のポイントについて、水留浩一社長が語った。

<水留浩一社長>
水留浩一社長

■「うまいすしを、腹一杯。」ぶれなかった寿司へのこだわり

――スシローの経営体制は、創業者の引退後、投資ファンドのユニゾン・キャピタル、ペルミラが参加し、数年単位で変わり続けていますが、一貫して成長できた要因は何ですか。

水留 やっぱり、旨さへのこだわり、寿司のクオリティへのこだわりというのは、マネジメントや株主が変遷しても変わらなかった。結局、お客様からすると、社長が誰だろうと、株主が誰だろうと関係ないわけですよ。

お店に行って美味しいお寿司が安く食べられたら、また来てくれるわけです。お客様に対する接点というか、提供しているものをぶらさずにきたのが、変に業績の波だとかが起きなかった理由だと思います。

――なぜ、ぶれない企業風土が作れたのですか。

水留 それは、創業者が偉大だった。回転寿司を始める前の創業時から、できるだけお客様に安くていいものを出そう、寿司の半分はお客様にお返ししようということで、原価率を50%くらい、しっかりと使って提供するというのが、不文律的に、会社の中でDNA的にしっかり根付いていた。

それを最初のファンドであるユニゾンも、二番目のファンドのペルミラも、そこは大事だということで、しっかりと認識をした。だから、原価を落として利益をもっと出しましょうみたいなことは求めてこなかった。

――投資ファンドが企業風土を尊重したということですか。

水留 尊重したというよりも、そこがスシローの強さだから、それを崩したらスシローの強さをなくすことになって、企業価値を落としてしまうと考えて、正しく判断したと思う。

――原価率約50%というのが強さの源泉ですか。

水留 そこは象徴的にあるんですけど、その背景は何かというと、「とにかく、おいしくて旨いものを出そうよ」ということです。原価率約50%というのは、どちらかというと象徴的なところで、それぐらいしっかりいいものを出すんだというのが、思想的にしっかりとつながっている。

<スシローの売上高と店舗数の推移>
スシローの売上高と店舗数の推移
注:2015年9月期以降は国際会計基準に基づく

――スシローの強さを守りつつ、マネジメントで気をつけていることは何ですか。

水留 発想としては、強いところを伸ばしてあげた方が、会社として良くなるので、寿司に対するこだわりだとか、旨さに対するこだわりという部分を伸ばすようなマネジメントを志向しています。

どうしてもファンドの時代が長かった中で、原価率約50%という話は守っていたけども、会社全体としては、チェーンストア化というか、標準化というか、よりコピーできるモデルにしようという流れが強く働いてきたと思うんです。

僕はどちらかというと自由演技を求める方で、店長であれば、店長がそれぞれの発想で、お店を良くする。そこにあまり枠をはめないほうなんですね。

ただ、それをやっていくと、やっぱり統制というのは効きにくくなる。統制が全く効かなくなるのは良くないんですけど、統制よりも自由演技で、もっとお客様に喜んでもらうほうに、指示を出している。

一方で、自由演技は認めるけども、守るところは守る。例えば、数字はしっかりと意識をして管理をしなければいけない。

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