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セブンイレブン/併売率90%「手巻おにぎり」全面一新、発売42年目

2020年02月20日 18:00 / 商品

セブン-イレブン・ジャパンは2月20日、オリジナルフレッシュフードの主力商品である「手巻おにぎり」を全面リニューアル発売すると発表した。

製法を見直した商品を投入するもので、商品の本体価格は据え置きとなる。

<おにぎりの一例>
おにぎりの一例

2月25日から全国のセブン-イレブン2万964店(1月末現在)で発売する。セブン-イレブンは1977年、オリジナル商品として、おでんの販売を開始。おにぎりは1978年に、オリジナル商品の第2弾として発売された。

<セブンイレブンのおにぎり年表>
セブンイレブンのおにぎり年表

発売42年目を迎える商品だが、発売以来「お母さんが作るおにぎり」を目標とする開発方針は変わっていない。今回のリニューアルでは、2006年から導入した専用精米機をさらに進化させ、14年ぶりに精米方法を刷新した。

段階的な精米は維持し、精米時にかける圧力を分散し温度上昇を抑制する「低温精米」を採用。よりお米への負担を軽減することで、米本来の旨味を向上させた。

<精米方法を一新>
精米方法を一新

お母さんが作るおにぎりの工程を、おにぎり製造における「あるべき工程」として位置付け、手作りの各工程を再現している。

「米を傷つけず優しく精米」するために、2006年に低圧精米、2019年に粒圧選別を導入。「味をつけるために手を塩を塗る」工程を2012年に振り塩製法で再現した。「ご飯の中に具を包み込む」工程は、2003年に包餡成型を導入、「ふっくら、ふんわり優しくにぎる」工程は、2007年にシート成型、2011年にHOT1成型を導入して再現した。

「パリパリの海苔を巻いて食べる」仕上げでは、2007年に海苔の冷凍保管を導入。2015年には包装フィルム3重化、2019年には海苔の焼き方を変更した。海苔業界では、贈答を想定した厚みのある海苔を「等級」として品質基準としているが、セブン-イレブンでは、「歯切れ」「口どけ」「旨味」といった、おにぎりの適正を数値で見える化した独自の品質基準を採用する。

温度と時間を掛け合わせ、海苔の旨味を最大化する独自の海苔の焼成方法を2019年に開発し、特許も取得している。今回、2015年以来、5年ぶりに包装フィルムを刷新。従来よりも密閉度を高めた仕様にすることで、「パリッ」とした海苔の食感と風味をより長く保つことが可能になった。

<包装フィルムを5年ぶりに刷新>
包装フィルムを5年ぶりに刷新

新しい包装フィルムは、開封のしやすさを保ちながら、頭頂部のフィルムの構造を見直すことで、外気の影響を受けにくい使用とした。昨年採用した、新しい焼成方法で仕上げた海苔の食感と旨味を保ち、パリッとした海苔の食感から始まる「ひと口目からもっと、おいしいおにぎり」を目指した。

具材についても、毎年、見直しを図り、「旨味熟成 紅しゃけ」本体140円は、昔ながらの山漬け製法で紅しゃけをじっくり熟成した。「濃厚マヨのツナマヨネーズ」115円は、 「ななたま」を贅沢に使ったコク深いマヨネーズを使用した。「辛子明太子」140円は、しっかりした粒の食感と旨味成分の多い明太子を厳選。丁寧な手返しの工程を入れることで、粒の食感を感じられる辛子明太子に仕上げた。

「たたき梅肉 紀州南高梅」115円は、たたき梅に濃縮した梅酢を加えることで、梅の旨味と風味を向上させた。「北海道昆布」110円は、やわらかい根昆布を加えることで、味がしっかりしみた佃煮に仕上げた。

■「おにぎり」販売数22億7000万個、併売率90%以上

おにぎりの2018年度の販売数は22億7000万個となった。2020年1月のnanacoの分析では、おにぎりは、複数購入されるほか、菓子パン、フライヤー商品、サンドイッチ、ホット飲料、お茶・紅茶も購入する人が多く、併売率は90%以上となっている。

同分析では、1カ月に1回、該当商品を買うかを測るトライアル率はデイリー商品で第一位、1カ月間に同じ商品を再度購入するかを測るリピート率では、カフェに次いで第二位となっている。おにぎりは、商品販売のキーカテゴリーであり、セブン-イレブンの生命線ともいえる。

総務省の家計調査2人以上の世帯によると、2000年の米の消費支出は4万256円、パンは2万7512円だったが、2014年には、米とパンの消費支出が逆転した。2017年の米の消費支出は2万3681円に減少、パンは2万9957円に増加している。一方で、セブン-イレブンの2020年1月実績では、米飯の売上はパン類の1.5倍以上となっており、セブン-イレブンの米飯商品に対する期待が高いことがうかがえる。

セブン-イレブンでは、全国の約80工場でおにぎりを製造している。全国2万1000店での品質を合わせるため、毎月、全国から商品を集めて、重量、ごはんの硬さ・粘り(数段階)など、目標品質と一致してるか、全員で確認する「すり合わせ」を実施している。

毎週、全国各エリアでも「すり合わせ」を開催し、2018年は合計550回実施した。

<園田シニアマーチャンダイザー(右)>

今後の商品開発の方向性について、商品本部デイリー部の園田康清米飯・麺類シニアマーチャンダイザーは、「基本的に売れ筋定番商品を中心に開発する方針に変化はない。一方で、玄米や麦を使用した商品など、お客様の健康志向に合わせた商品もある。これまでも、炒飯やオムライスなどを表現した、おにぎりがあり、セブン-イレブンらしい、変化をつけた商品も開発したい」と述べた。

また、海苔の原材料価格が高騰していることについては、「セブン-イレブンの平均的なおにぎりの取り扱いアイテム数は約30アイテムで、うち海苔を使用する手巻きおにぎりは約半分の15アイテム前後となっている。海苔の高騰を受けて、海苔を使用しないアイテムを増やしているのではなく、消費者の嗜好の変化に合わせて、商品開発している。海苔は、独自の品質基準を持つことで、原料価格の高騰を乗り越えていきたい」という。

販促を含めたおにぎりの価格設定については、「常に品質と価値に見合った価格を心掛けている。この価格なら、リーズナブルではないかという品質を大事にしている。企業として、次の投資につながることも必要であり、価格を下げることは考えていない」と述べた。

最後に40年以上続けてきた、おにぎりの改良での課題について、「やはり、家庭でできたてのおにぎりと比べた時に、まだ、おいしさで劣っていると思う。目指すは、できたてのおいしさだ。一方で、品質の安定といった課題もあるため、安易に店内調理をすることは考えていない。現時点では、工場でしっかりとした品質を保ちながら、できたてのおいしさを目指していきたい」と語った。

■写真で見るセブン-イレブンの「おにぎり」の歴史
<1980年代~1998年頃>
1980年代~1998年頃

<1990年頃~2001年頃>
1990年頃~2001年頃

<2001年頃~2010年頃>
2001年頃~2010年頃

<2014年頃~2017年頃>
2014年頃~2017年頃

<2020年の新商品>
2020年の新商品

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