流通ニュースは、流通全般の最新ニュースを発信しています。





明治のスペシャリティチョコレート「明治 THE Chocolate」を探る(後編)

2017年03月22日 14:00 / 販促

佐藤 直接消費者に伝えるセミナー、百貨店での催事、チョコレートの最大級の祭典であるサロン・ド・ショコラでの販売といった新たなチャネルを切り開いてきました。

サロン・ド・ショコラでの展示、販売のコンセプトは、「farm to bean」(農園での栽培からカカオ豆ができるまで)、「bean to bar」(カカオ豆からチョコレート製造まで)、 「bar to you」(消費者の手元にチョコレートが届くまで)の3つに分けて、説明しました。

当日、会場でカカオに関するセミナーで宇都宮さんが講師として、チョコレートの魅力を語りました。希少なメキシコ産ホワイトカカオを使った商品は初日で完売。

その他の商品の売れ行きも好調で、SNS上での当社ブースの評判もよく、大変手ごたえを感じました。

<ドミニカダークミルク、メキシコホワイトカカオは完売>

■ 明治のイメージが変わった

佐藤 今までは、メーカーとして商品を棚に並べて、消費者に提供し、「こういう商品です」と主張するだけでした。それでは、どうしても伝わる情報は薄い。

社員が直接現場に立って説明する「体験」を中心としたコト価値マーケティングを実施しました。直接説明することで、お客様の反応を現場で吸収することもできます。

大阪の阪急うめだ本店でも、カカオ農園からチョコレートになるまでの工程をお客様が体験して、写真が撮れるコーナーに先方と協同で取り組みをしたところ、大変好評を得ました。

一般社員から役員まで明治のスタッフが総出で行ったセミナーも大変好評で、セミナーを受けた人は「明治のイメージが変わった」とまでおっしゃってくださいました。

大手企業の大量製品というより、職人のようなこだわりを持ってモノづくりに携わっていることが伝わったと思います。

■ チョコレートを楽しむ文化作っていきたい

佐藤 ワインのように、チョコレートを楽しむ文化を作っていければと思っています。

チョコレート専門店は、1枚1000~2000円程度で産地や素材、製法にこだわった商品を販売しています。「The Chocolate」は高品質なチョコレートを手に入れやすい価格帯で提供することで、高級品と市販品の間を埋める、新たな価格帯の市場作りを目指しています。

品質や味や素材へのこだわり、国際コンクールで授賞したことで、世界に通じる品質であると自負しています。

高品質でありながら、スーパーやコンビニで購入でき、高すぎない。この品質をこの価格で提供できる。日常使いできる、そういう商品を明治が創る使命があると思っています。

ハレの日に高級品でない、毎日楽しんで頂けるチョコレートを提供する。それが我々の取り組む意味だと思っています。チョコレートをワインのように幅広い人に楽しんで頂く文化として広げるには、身近で手軽に入手できる環境を創ることが必要です。

<日常使いできる高品質な商品を提供したいと宇都宮さんと佐藤課長>

■ 海外への展開も

――今後は

佐藤 欧米では、チョコレートは子どものおやつだけでなく、大人の楽しむものとして定着しています。ワインのように男性が女性にその良さを語れるような日が訪れるといいですね。

また、「The Chocolate」を食べ終わった後、箱のカカオポッド(カカオの実)の絵の部分をアクセサリーにしたり、ケースごとノートのカバーにしたり、お札が入るサイズなのでへそくり入れにしたりと、消費者からこちらが思わなかったような2次的な使い方まで考えてくれ、商品のファンになってくれているのもうれしいですね。

今後も消費者との直接コミュニケ―ションの場をたくさん増やしていきます。カカオやチョコレートについての魅力を消費者に共感してもらうには、体感して頂くことが一番なので、そういった機会は積極的に作っていきたい。

現在は、ベネズエラ、ブラジル産カカオを使用していますが、これら以外にも産地を広げていくことで味わい、香りの違いなどワインのように選び、食べ比べる楽しさを提供したいです。

素材からこだわり、そのおいしさを引き出すというコンセプトは海外でも評価されると思っています。販路や、輸出上のハードルがありますが、海外での販売も視野に入れたいですね。

<前へ 1 2

関連記事

販促 最新記事

一覧

最新ニュース

一覧