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三越日本橋本店/23年度売上高1403億円目指す、30~50代シェア増加

2023年06月30日 17:17 / 店舗レポート

三越伊勢丹ホールディングスは6月30日、三越日本橋本店(東京都中央区)の事業説明会を開き、同店の2023年売上高は1403億円(2019年比73億円増)を目指すと発表した。

<三越日本橋本店>
三越日本橋本店

同店はグループ全体で顧客の若返りを図るとともに、富裕層の取り込みが成功し、売り上げが2022年度1384億円と回復をとげている。コロナ前の2019年度1330億円の売り上げを上回った。

2022~2024年度の中期経営計画において同店は、「伝統、文化 ・芸術、暮らし」領域における比類なき集積で「憧れと共感」の象徴になることを目指す姿に設定した。

2023年度は、好調の「特選・宝飾時計」、期待の「食品」「リビング」、老舗の強みを生かした「美術」「呉服」の売り上げをトータルで伸ばしたい考え。

<顧客の若返りが進んでいると丸井日本橋本店長>
丸井日本橋本店長

丸井良太三越日本橋本店長は、「当店の売上は中計を前倒しして、回復している。居住人口、昼間人口が増えている中央区という恵まれた立地に加え、個客とつながるCRM戦略が功を奏し、30~50代の売り上げが伸長。シェアも2019年から約12ポイント増えている。年間100万円以上購買顧客の売上高シェアが、約53%と10ポイント増加している。顧客との関係性強化、若返りが進んでいる」と説明している。

また、「新宿本店、銀座店より落ち着いて買い物ができるのが日本橋本店の強み。ベビーカーで小さな子どもを連れた30~40代パワーカップルの利用が増えている」と述べた。

識別顧客売上高シェアが、約65%(2019年比10ポイント増)まで拡大している。若い富裕層の利用増、外商の強化が効果をあげている。2023年同店では、外商顧客に対し、チームズによる来店情報一元化で「全館連動のタイムリーなおもてなし」を提供する。顧客の予約状況をバレーパーキング、顧客が立ち寄りたいカテゴリーの担当者などが共有し、忙しい中でも満足度の高い買物を実現する。

<識別顧客売上高シェアが拡大>
識別顧客売上高シェアが拡大

また、首都圏の基幹3店(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店)がそれぞれの強みを生かし、買い回りによる相乗効果も出ている。

<基幹3店の買い回り効果>
基幹3店の買い回り効果
※出典:三越日本橋本店の事業説明会資料

新宿本店、銀座店利用者は特選・宝飾時計、食品、リビングを両店で買い、美術・呉服を日本橋本店で購入する傾向にある。

会社帰りは銀座店で化粧品を買い、限定品のアパレルは新宿本店、休日は日本橋本店は食品・リビング・家族の買い物と曜日で使い分ける顧客もいるという。

さらに、日本橋本店では、老舗の強みを生かし、本館の重要文化財の唯一無二の歴史的意匠を生かした特別な「体験価値」、文化の発信、富裕層のニーズに対応したきめ細かなサービスを強化している。

<1960年創立50周年記念の天女像>
1960年創立50周年記念の天女像
※佐藤玄々氏の作品。三越の接客の基本理念「まごころ」を表現

文化的な催事も強化。丸井氏は「池坊展では、着物をお召しになった来店客も多く、同展開催中は、地下の食品売り場で1万円を超えるふかひれスープといった高額品の売り上げが伸びた。日本橋本店ならではの文化的な催しが、売上に貢献している」としている。

<コンテンポラリーギャラリー>
コンテンポラリーギャラリー

得意の絵画・古美術品に加え、2020年にスタートした本店6階のコンテンポラリーギャラリーも好調だ。

<東京芸大出身のICHASUさん>
東京芸大出身のICHASUさん

頭をリフレッシュさせたい若手経営者に向けた若手の作品から、草間弥生、名和晃平など資産性のある現代美術作品までそろう。

6月28日~7月3日は、東京芸術大学出身のICHASUさんの個展を実施している。

<三越創業350周年記念の番傘>
三越創業350周年記念の番傘

今年は、三越創業350周年であることから、三井記念美術館で江戸時代の番傘の復刻バージョンを貸し出すフォトスポット、ジョルジオ アルマーニ、Yohji Yamamotoのファッションショーなどさまざまなイベントも開催している。

<歯科・健脳クリニック日本橋>
歯科・健脳クリニック日本橋

健康・美に対する富裕層のニーズに応え、神奈川歯科大学付属の「歯科・健脳クリニック日本橋」が新館5階にオープン。医科・歯科連携、ハリなど東洋医学を加えた健康な脳を促進するクリニックで、インプラント治療(55万円から)、アルツハイマー病早期発見コース(165万円から)、認知症性疾患リスクスクリーニング(143万円から)などを提供する。保険治療でないことから、一人一人のニーズに合ったオーダーメードの治療を行う。

6月30日には、新館5階に健康食も提案するファミリーレストラン「ランドマーク」が出店。親子3世代で楽しめるお好み食堂の魅力を継承したカフェ&レストランとなっている。そのほか、今後、シニアに向けたパーソナルトレーニングジムも導入予定。

<インバウンド顧客も回復>
インバウンド顧客も回復

国内顧客に加え、インバウンド顧客も売り上げ、客数が回復しており、団体客より、個人客が増加している。海外セレブリティーのお忍びの買い物などにも利用されているという。

■三越日本橋本店
所在地:東京都中央区日本橋室町1-4-1

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