ヤオコー/新旗艦店で北エリアのミドルシニア層に対応、ベーシック商品を磨き込み
2024年09月06日 19:00 / 店舗レポート
ヤオコーの川野澄人社長は9月6日、埼玉県久喜市にオープンした新旗艦店「ヤオコー久喜吉羽店」で記者会見を開き、新たな旗艦店の狙いと取り組みの概要を説明した。
――新しい旗艦店の狙いは。
川野 当社の政策として、店舗の出店エリアごとに南北で政策を分けている。社内では販売第1部、第2部と分かれていて、ミドルシニアが多い北エリア、ヤングファミリー層の比率がやや高い南エリアと政策を分けて取り組んでいる。今回は、北エリアで、ベーシックな商品を磨き込み、ミドルシニア層に支持される商品を強くしようと取り組んでいる。
※ヤオコーでは、さいたま市よりも北部の埼玉県、群馬県、茨城県、栃木県を北エリア、さいたま市よりも南を南エリアとしている。
――ヤングファミリー特化型の旗艦店「和光丸山台店」との違いを教えてください。
川野 和光丸山台店は、ヤングファミリー層に支持されるMDを充実させた。ヤング向けの冷凍食品、冷凍を含めた精肉売場の支持が高かった。ベーカリーでも、ピザのほか、スイーツなどが支持を集めた。一方で、反省としては、スペース上の制限があり、作業場のスペースが十分に取れなくて、オペレーションの負荷が高まった。その反省を踏まえて、久喜吉羽店は、売場面積だけでなく、作業スペースも広くとっている。
また、和光丸山台店とは逆に、久喜吉羽店は鮮魚売場を広くとっている。北エリアと南エリアの比較で明確に出ているが、南は肉に強く、北は魚が強いということで魚でしっかり支持される売場を作った。惣菜も、スイーツとか新しいものよりも、ディープフライコーナーにあるアジフライのようなベーシックな揚げ物を改めて、全面に持ってきた。ベーカリーでは、コッペパン、焼きそばパンといったベーシックな商品を強化した。
――ミドルシニアに特化した店舗を開発した背景はなんですか。
川野 背景としては、ここ数年、北エリアと南エリアで大きくお客様のニーズが変わってきている。そういう中で、新しいMDを開発する時には、どうしても新しいカテゴリーで、スイーツとかをやってきた。しかし、若いお客様や新しいものに感度が高いお客様には支持されるが、伝統的なライフスタイルを持つ保守的なお客様、年齢層の高いお客様に支持を頂けなかった。そこで、ミドルシニア層に支持されるベーシックな商品を強くするのが、久喜吉羽店のコンセプトとなった。ベーシックな商品を磨いていくのは、かなり難易度が高いが今回、そこにチャレンジしている。
――北エリアと南エリアの商圏の違いをどうとらえていますか。
川野 まず、売上については、(人口が少ない)北エリアだから必ずしも取れない訳ではない。北エリアは車で広域からアクセスできる。そのため、久喜吉羽店のように、ある程度、広域から集客できるお店は高い売上を狙っていけると考えている。ただ、一般的なサイズの店舗だと、商圏人口が薄いので、1店舗あたりの売上は、どうしても南エリアの方が高くなるのは間違いない。
荒利は競合の環境なども含めて違ってくる。南エリアの方は、地代が高いこともあり、相対的に競合するお店が少ない。すると粗利率は取れるが、その分、人件費や家賃が高い。一方で、北エリアは、アクセスしやすく、地代も安いのでお店の数が多く、競合環境はどちらかというと厳しい。そして、NBの主力商品を含めて、ベーシックな商品を購入されるので、荒利は取りにくくなる。ただ、南エリアに対して、北エリアの方が、惣菜の売上構成比は高いので、そこでの荒利は取りやすい。
久喜吉羽店は、ベーシックな商品を強くするということで、そこは当然、価格の強化も含めているので、どこで利益を取って、その原資を主力商品に注入するのか。値入ミックスについてもカテゴリーごとに考えて政策を打ち出している。
――ベーシックな商品の代表例を教えてください。
川野 魚を強化し、対面販売では近海魚と切り身を打ち出している。南エリアでは、すぐ食べられるお造りが強いが、北エリアでは、おかずになるような切り身や干物、漬け魚といった商品が強くなるので、改めて、まずは鮮魚部門の顔である近海魚、切り身を強化した。精肉では、豚肉だ。従来からベーシックな国産豚をしっかりこだわって開発していたが、お客様にきっちり訴求しきれていなかったので、改めて久喜吉羽店から、「三元豚」という銘柄を打ち出した。
新しい取り組みとしては、魚を広げたため、最終的においしい状態で売り切ることを含めてMDを構築した。焼魚、煮魚、寿司を強化した。惣菜では、ベーシックなとんかつ、ベーシックな食パンであるロイヤルブレッドなど、そういった商品がある。
――約3000m2という大きな売場面積に挑戦した意義はなんですか。
川野 あえて約3000m2の売場にしたのは、新しいものを差し込むには、売場面積が広い方がやりやすいからだ。久喜吉羽店は設計段階から、旗艦店にするということで、ひとつの意識表示だとご理解いただきたい。また、北エリア、南エリアの違いでは、北エリアはグロサリーの売場構成比が高いので、しっかりとグロサリーの売場面積を確保するということも売場面積が拡大した理由の一つだ。
和光丸山台店での反省の一つに、グロサリーについて、十分な売場面積が取れなかったため、グロサリーのMDで新しいことに取り組めなかったということがある。今回、間延びせずに、しっかりと新しいものに取り組んだグロサリー売場を作った。また、バイオーダー形式のカフェも含めた面積になっている。現段階では、久喜吉羽店よりも大きな店舗を作る考えはない。
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