イトーヨーカドー/AIで空調を最適管理、70店舗導入でCO2排出量年2.2万トン削減
2024年09月06日 18:21 / IT・システム
イトーヨーカ堂は神戸大学と共同で2025年度までに、AIを活用した空調エネルギー削減システム「AIスマート空調システム」をイトーヨーカドー70店舗に導入する(ヨーク店舗は除く)。
現在、温度・人流などを計測するセンサーを各店舗に設置しており、12月のイトーヨーカドーグランツリー武蔵小杉店での「AIスマート空調システム」の本格稼働を皮切りに、2025年度までに順次70店舗で採用。年間の空調でのエネルギー消費量の約50%、CO2排出量2万2000トンの削減を見込む。
この数値は、セブン&アイグループの2030年度までに、グループ全体の店舗運営に伴うCO2排出量を2013年度比で50%削減する「GREEN CHALLENGE 2050」の目標に対し、2024年度以降に必要な削減量の約4.2%相当となる。
「AIスマート空調システム」は、店舗内に設置されたカメラや温度計などのセンサーによって収集された人流、温度、CO2濃度などのデータをAIが解析・学習することで、最適な空調管理を行うもの。
店舗で計測された各データをもとに、神戸大でAIが最適な空調を分析、神戸大などの開発した制御手法を運用することで空調消費エネルギーを最小化する仕組みとなっている。
これにより、来店客数や室温の変化に応じた効率的な空調運用が可能となり、顧客が集中するフロアへ効率的に冷暖房を効かせ、人が少ない時間帯には空調の稼働を抑制することで、エネルギー使用量を減らす。
イトーヨーカ堂の山本哲也社長は「当社ではGREEN CHALLENGE 2050において、特に省エネ施策を重視している。AIスマート空調システムは本年1~7月に八王子店で行った実験では前年同時期のCO2排出量の40%減、136トンを削減できた。AIに学習させるために、各フロアの混雑度・人流、温度、湿度などは最初店舗でスタッフが把握し、データを収集することが必要だったため、店舗担当者は神戸大の研究結果を学んで、店舗の無駄を見つけてくれた。このデータをもとに、AIが指令を出し、各店舗の空調を最適化する仕組みだ。実験を行った店舗では、スタッフの環境意識がより高まるという成果もあった」と述べた。
イトーヨーカドーグランツリー武蔵小杉店では、温度計70、温湿度計30、CO2濃度計20、AI人流測定器10を設置し、温度、人流などのデータを収集している。
なお、神戸大の「AIスマート空調システム」は阪急うめだ本店、伊勢丹新宿店、関西国際空港などでも採用されている。
取材・執筆 鹿野島智子
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