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大手百貨店/8月売上高外出自粛、猛暑響き5社そろって減

2020年09月01日 16:10 / 月次

三越伊勢丹ホールディングス、J.フロントリテイリング、エイチ・ツー・オーリテイリング、高島屋、そごう・西武は9月1日、8月の売上速報を発表した。

三越伊勢丹29.1%減、J.フロントリテイリング(大丸松坂屋百貨店)28.1%減、エイチ・ツー・オー(阪急阪神百貨店)15.0%減、高島屋19.2%減、そごう・西武8.8%減だった。

各社そろって、免税売上の大幅な減少に加え、引き続き外出を控える傾向、猛暑などの影響により前年実績を下回っている。

■三越伊勢丹HD(2020年3月期売上高:1兆1191億円)
伊勢丹新宿本店店頭前年同月比27.8%減、三越日本橋本店店頭28.1%減、三越銀座店47.8%減などで、三越伊勢丹既存店計29.1%減だった。

札幌丸井三越25.5%減、函館丸井今井13.4%減、仙台三越17.7%減、高松三越11.9%減など、国内グループ百貨店既存店計は15.5%減となり、国内百貨店既存店計は23.4%減となった。

7月に引き続き外出自粛影響から客数が伸びず、国内百貨店(既存店計)の売上は7月売上前年比を僅かに下回るものの、大都市圏の店舗を中心に日本人顧客によるラグジュアリーブランドのハンドバッグ需要は好調だった。

また、家の中を快適に過ごしたい買い替えニーズを背景に、リビング・ダイニング家具が堅調な動きを見せた。

伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店では、気温の上昇とともにビール等の酒類や果物、涼菓が伸長。おうちの中で夏休みを過ごす時間が増えたことにより、牛肉・鰻などの少し贅沢な食事を楽しむ傾向が高まった。

オンライン(EC)売上は、新規商品の拡充や店頭でも人気の高い物産展や外国展特集の反響が大きく、前年比約1.3倍と好調に推移した。

免税売上は、先月から横ばいの状況が続き、前年売上を下回っている。

■J.フロントリテイリング(2020年2月期売上高:1兆1336億円)
大丸松坂屋百貨店の売上高は前年同月比28.1%減、博多大丸、高知大丸を含めた百貨店事業の売上高は29.4%減となった。 

新型コロナウイルスの感染再拡大や愛知県独自の緊急事態宣言により、外出の自粛傾向が強まったことから入店客数の回復が遅れ、ボリュームファッションや食料品を中心に苦戦した。

一方で、ラグジュアリーブランドは改装効果や期間限定ショップの展開などにより堅調に推移し、前年並となった。

大丸松坂屋百貨店合計の免税売上高(速報値)は対前年約96.9%減(客数99.4%減、客単価約5.1倍)となっている。

■H2O(2020年3月期売上高:8972億円)
百貨店事業の全社計の売上高は前年同月比15.0%減となった。内訳は阪急本店29.5%減、阪神梅田本店36.9%減、支店計16.8%増(神戸阪急、高槻阪急は今年実績のみ)。

7月下旬からの新型コロナウイルス感染者の急激な増加に伴う外出自粛ムード、酷暑の影響により、夏休みに入っても都心店を中心に入店客数の大幅減が継続した。

特に両本店では前年比5割を下回る水準で推移。年配層、ファミリー層を中心に都心を避ける傾向が再び強まっている。

また、お盆期間中の広域からの帰省客も例年に比べ少ない傾向。結果、都心店の売上高前年比は31%減、郊外店は11%減(既存店対比)と格差がやや拡大。郊外店は生鮮食料品・惣菜などが堅調で、食品売場が5%減と売上を下支えした。

EC売上は93%増と高水準の伸び。限定商品、ポイント強化 、送料無料といった化粧品の取り組み、手土産の配送ニーズを想定した和菓子などの品揃えの強化、各種オンライン催事の取り組みなどが奏功した。

インバウンド売上は87%減だった。

阪急本店は、7月下旬から両本店において出入口の制限と顧客の検温を再開。入店客数は依然低水準ながら、インバウンドを除く国内売上高は前年の約8割を確保した。

ただし、夏休みやお盆の3世代ファミリー層の来店による賑わいは見られなかったという。

カテゴリー別では、ラグジュアリーが売上高8%減と健闘。特に、3月に改装し品揃えを強化した時計売場では、人気の定番商品や新作の動きが良く、売上高41%増と好調を継続している。

一方、帰省や旅行の自粛により、例年需要が高まる婦人服飾品の夏のコーディネートアイテム、食品の手土産・ご馳走アイテム(菓子・惣菜)が苦戦した。

OMOの取り組みにおいては、WEB決済サービスが、対象売場の拡大とともに売上を順調に伸した。

外商でのZoomを活用した販売も、こども服や家具など対象カテゴリーを拡大した結果、広域顧客のニーズも取り込み、リピーターも多く好調に推移している。

いずれも、店頭への来店を控えたい顧客の要望に応える取り組みとして好評だった。

■高島屋(2020年2月期売上高:9190億円)
高島屋単体12店の売上高は前年同月比19.2%減、岡山高島屋、岐阜高島屋、高崎高島屋を含めた15店の売上高は18.8%減となった。

8月度の店頭売上は、免税売上の大幅な減少に加え、引き続き外出を控える傾向、猛暑などにより、前年実績を下回った。

自宅での時間をより快適に過ごすためのアイテムや、ラグジュアリーブランドなどに動きが見られた。

免税売上は88.4%減、免税を除いた売上は13.2%減となっている。

店舗別売上は、高崎高島屋、閉店セールを開催した港南台店(8月16日閉店)が前年を超えた。

商品別売上(同社分類による16店舗ベース)は、特選衣料雑貨、美術が前年を上回った。

■そごう・西武(2020年2月期売上高:6001億円)
そごう・西武15店の売上高は前年同月比8.8%減、西武池袋本店は19.6%減となった。

新型コロナウィルス感染拡大が入店・購買客数ともに影響したものの、8月31日営業終了の4店舗は、閉店セールで売上を伸ばし、全体を下支えした。

商品別には、インテリアが前年売上を1割ほど上回ったほか、紳士服、プレステージブランドも前年売上を確保した。一方、婦人服、婦人雑貨、食品は前年売上の9割弱に留まった。

免税利用売上高は70%減、客数は90%減となっている。

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