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武蔵大学/土屋教授「コンビニの人手不足と経営」レポート発表

経営/2019年11月15日

経済産業省の「新たなコンビニのあり方検討会」の委員を務める武蔵大学の土屋直樹教授は11月5日、経済産業省で開催した第3回新たなコンビニのあり方検討会に、調査レポート「コンビニエンスストアの人手不足と経営」を提出した。

<検討会に出席した土屋教授(左)>
検討会に出席した土屋教授(左)

2018年度に経済産業省が加盟者(オーナー)に対して行った調査によると、「従業員が不足している」と回答した割合は61%にも上り、「十分に足りており何かあっても対応できる」としたのはわずか6%でしかなかった。不足と回答した割合は、前回の2014年度調査では22%であったから、この4年間のうちに3倍程度も高まっている。

土屋教授は、コンビニチェーンが社会・生活インフラとしての役割を拡充し、消費者の利便性をいっそう向上させてきているなか、コンビニのスタッフに「必要な能力・スキル」は高まってきている。

インフラ機能の向上、「サービス」の拡充が、店舗オペレーションを複雑化しスタッフに求められる技能も高まっているが、それにいわば見合う「待遇を提示できない」ということが、人手不足の最重要の理由だと考えられると指摘する。

その上で、求人サイトのコンビニスタッフの募集時給に基づき、コンビニのパート・アルバイトの賃金水準を算出し、少なくないところが地域別最低賃金の水準で募集を行っており、大半が最低賃金額プラスその数パーセント以内となっていると分析。コンビニスタッフの募集時給は、最低賃金額に大きく影響されて決まっている現状を明らかにした。

また、これまでの本部と加盟店との紛争事例で、明らかになった加盟店の営業利益、純利益を提示。最低賃金が上昇することによる人件費の増加が、加盟店利益を圧迫し、加盟者やその親族が自ら店頭に立つ時間を増やしている構造を指摘した。

加盟店収益への影響では、24時間営業とサービスの拡大、廃棄費用の負担についても論じている。

土屋教授は、新たなコンビニのあり方検討会の委員として、コンビニのオーナーヒアリングに参加している。レポートでは、オーナーヒアリングと別に、土屋教授が独自に行ったオーナーヒアリング調査結果も掲載している。

独自のヒアリングについては、「人手不足」「加盟店の利益」「24時間営業」「サービスの拡大」「廃棄ロス」の各項目で、オーナーの声を紹介している。

例えば、人手不足では、「7、8 年前までは求人広告出すと、7、8 人くらい応募が来た。それ以降、だんだんと人集めが厳しくなってきた。とくに深夜の人手不足は、ここ 4 年はまったく改善していない。人がいない日は自分が入るしかなく、利益を確保する必要もあるが、自分と妻で、週120時間は働く」などといった声を紹介。

加盟店の利益では、「SVが週2回来るが、新商品の紹介、特売・イベントのお知らせをするだけで、『経営指導』のようなことは何もない。メッセンジャーにすぎない」などの声を掲載している。

24時間営業では、「深夜の人手不足の状況は、ここ4年間は改善がない。人がいない日には自分が入るしかない。23時から6時までは売上げも低く、間違いなく赤字営業となっている。時短営業について、本部からは売上げが下がるから、オーナーさんのためにならないと言われ、また深夜の納品となる、フローズン、書籍、新聞、パン、牛乳などの荷受けのために、人がいないといけないということで、そういう条件では、時短する意味がないため、踏み切っていない」などの声を紹介。

サービスの拡大では、「かつては、物品の販売の業務がほとんどだったが、いまでは、公共料金などの収納代行や住民票の発行、宅配便の取り次ぎ、さまざまな荷物の受け渡し、また、おでん、焼き鳥、チキンなどカウンター商材も増えてきて、多種多様な業務をこなさなければならなくなっている。これらの業務は、手間や時間がかかり、覚えることも多く、とてもではないが最低賃金でする仕事ではない。それを知って働きたがらない人が増えていると思う」などの声を掲載している。

廃棄ロスでは、「人件費は削れない。廃棄しか削るところはない。しかし本部は、日販(60 数万円)くらいの廃棄を出すように言う」などの声を紹介している。

コンビニエンスストアの「人手不足」と経営

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