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1~5月の飲食業倒産/前年同期比15.6%減の270件、新型コロナ関連123件

2021年06月08日 13:30 / 経営

東京商工リサーチは6月7日、「飲食業の倒産動向」調査(2021年1~5月)を発表した。

2021年(1~5月)の飲食業倒産(負債1000万円以上)は270件(前年同期比15.6%減)だった。

年間最多を記録した2020年(842件)と比べ、給付金や協力金などの支援効果もあり、飲食業の倒産は抑制されている。ただ、飲食業倒産のうち、新型コロナ関連倒産が123件(構成比45.5%)と、ほぼ半数を占め、時間の経過とともにコロナ禍の影響が事業継続に深刻な影を落としている。

飲食業倒産に占める新型コロナ関連倒産の構成比は、1月43.3%、2月35.1%、3月43.6%、4月53.7%、5月49.0%と、高い水準で推移している。

業種別、居酒屋で新型コロナ関連倒産が6割

業種別では、日本料理店や中華料理店、ラーメン店、焼肉店などの「専門料理店」が71件(前年同期比19.3%減)で最多。次いで、「酒場、ビヤホール(居酒屋)」69件(2.9%増)、「食堂、レストラン」45件(34.7%減)となっている。

緊急事態宣言下では、休業・時短営業や酒類提供の停止などが要請されている。「酒場・ビヤホール(居酒屋)」の倒産69件のうち、新型コロナ関連倒産は43件と6割以上(構成比62.3%)を占めた。

酒類提供が制限され、来店客の減少や客単価の低下などで売上が落ち込み、厳しい状況に置かれている。

コロナ禍でインバウンド需要の消失や外出自粛、在宅勤務の広がりに加え、酒類販売の停止など、経営環境の激変が1年以上続き、飲食業界の見通しは厳しい状況が続いている。

都道府県別、増加20、減少19、同数8

都道府県別では、増加が20府県、減少が19都道府県、同数が8県だった。

緊急事態宣言が発令されている10都道府県では、増加が京都9件(前年同期比50.0%増)、福岡14件(7.6%増)、沖縄3件(200.0%増)の3府県。

一方、減少は、北海道8件(38.4%減)、東京36件(32.0%減)、愛知16件(52.9%減)、大阪46件(22.0%減)、兵庫17件(10.5%減)、岡山ゼロ(前年同期3件)、広島5件(前年同期比16.6%減)の7都道府県となっている。

まん延防止等重点措置の対象区域では、埼玉10件(42.8%増)、千葉7件(40.0%増)、神奈川10件(33.3%減)、岐阜4件(同42.8%減)、三重ゼロ(前年同期3件)(以上実施期間6月20日まで)、群馬4件(前年同期比33.3%増)、石川6件(100.0%増)、熊本2件(66.6%減)(同6月13日まで)だった。

東京商工リサーチは「飲食業は規模により、初期投資や人員採用が比較的少なく済み、小・零細規模の企業も多い。また、自治体や金融機関からの創業支援もあり、過小資本での創業も少なくない。それだけに経営体力がぜい弱な企業も多いが、持続化給付金などで一時的に救済された事業者も少なくない。だが、長引くコロナ禍で体力の疲弊が進み、今後は息切れの懸念が強まっている」とコメントしている。

同調査は、日本産業分類の「飲食業」(「食堂、レストラン」「専門料理店」「そば・うどん店」「すし店」「酒場、ビヤホール」「バー、キャバレー、ナイトクラブ」「喫茶店」「その他の飲食店」「持ち帰り飲食サービス業」「宅配飲食サービス業」)の2021年1~5月の倒産を集計、分析したもの。

■問い合わせ先
東京商工リサーチ 情報部
TEL:03-6910-3155

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