流通ニュースは、流通全般の最新ニュースを発信しています。





セブン&アイ/ヨドバシと連携の投資ファンドに「そごう・西武」売却

2022年11月11日 16:30 / 経営

セブン&アイ・ホールディングスは11月11日、 Fortress Investment Group LLC(以下、その関連事業体と総称してフォートレス)の関連事業体たる特別目的会社である杉合同会社(以下、譲受会社)間で、セブン&アイが保有するそごう・西武の発行済株式の全部を譲受会社へ譲渡すると発表した。

譲渡価額は、企業価値2500億円に、そごう・西武と同社子会社の純有利子負債や運転資本に係る調整、セブンCSカードサービス(以下、SCS)の支払配当に係る調整を行い、実際の譲渡価額を確定する。

セブン&アイは、2006年6月にミレニアムリテイリング(現そごう・西武)の完全子会社化を完了し、同社が展開する百貨店事業の発展と該当事業とセブン&アイグループ各社の事業とのグループシナジーの発揮を通じた企業価値の向上に向け様々な取り組みを進めてきた。一方で、我が国の小売業界を取り巻く環境は大きく変化しており、新型コロナウイルス感染症の拡大も背景に、お客の消費行動や生活に対する価値観が大きく変容し、巣ごもり消費や店舗離れによるオンライン購買が広がるなどの影響も大きく、百貨店の事業環境は年々厳しさを増してきた。

そうした状況下において、セブン&アイは、2021年7月公表の「中期経営計画 2021-25」と、2022年4月公表の経営メッセージ「世界トップクラスのグローバル流通グループへの進化を目指して」にて示したとおり、事業ポートフォリオの見直しと最適な運営に向けたアクションの加速に努めていた。そごう・西武が展開する百貨店事業について、グループの経営資源による事業構造改革ではお客への提供価値と事業価値の最大化を図ることは困難であると判断し、そごう・西武の成長性や効率性の向上を促すベストオーナーの探索を検討していた。

フォートレスとは、これまで、セブン&アイが進めるそごう・西武のストラテジック・レビューを通じたあらゆる選択肢の検討の一環として協議を重ねてきた。その結果、世界最大級の不動産投資ファンド運用会社であるフォートレスが有する不動産事業ノウハウ、企業再生ノウハウ及び資金力を活用することが、そごう・西武の百貨店事業の収益性の改善とともにそごう・西武が有する不動産の価値最大化を通じたそごう・西武の成長性及び効率性の向上に資するものと判断した。また、セブン&アイは、そごう・西武のベストオーナーの検討にあたり、従業員の雇用が維持されるかという観点も非常に重視しており、フォートレスはその観点にかなうと判断した。

また、フォートレスは、事業譲渡に際して、ヨドバシホールディングスをビジネスパートナーとして、そごう・西武の企業価値の最大化に努めるという。具体的には、フォートレスは、百貨店事業の収益性の向上のため、現在そごう・西武が推し進めるテナント構成や商品構成の最適化、事業運営の効率化やコスト削減などの事業戦略に賛同しており、今後、株式譲渡後の具体的な百貨店事業の事業運営方針についてそごう・西武と協議を行い、収益構造の最適化や不動産の有効活用を通じて、そごう・西武の潜在的価値を最大限に引き出し、事業基盤を更に飛躍させる意向を有している。

セブン&アイは、そごう・西武の譲渡実施により、グループ経営資源の更なる成長分野への再投資と株主還元の充実化を図るとともに、セブン-イレブンを核としたグローバル成長戦略を一層推し進めるという。

<株式譲渡の概要図>
株式譲渡の概要図

セブン&アイは、所定の条件を満たした上でそごう・西武の株式を譲受会社に譲渡する。また、譲渡に先立ち、そごう・西武の関連会社について、関連取引を予定している。株式譲渡により、そごう・西武の子会社である池袋ショッピングパーク(以下、ISP)、ごっつお便、八ヶ岳高原ロッジ、地域冷暖房千葉、十合(以下、ISP、ごっつお便、八ヶ岳高原ロッジ、地域冷暖房千葉、十合を総称して、そごう・西武子会社)とセブンCSカードサービス(以下、SCS)は、セブン&アイの子会社から異動する。

セブン&アイの連結子会社であるSCS(セブン&アイの完全子会社であるセブン・フィナンシャルサービス(以下、7FI)が発行済株式の51.0%を保有)の全保有株式について、フォートレス、クレディセゾン(SCS発行済株式の49.0%を保有。以下、CS)、セブン&アイの3社間にて協議の上、所定の条件を満たした場合には、株式譲渡前又は譲渡後4カ月以内にそごう・西武への移管が行われる予定だ。一方で、そごう・西武が発行済株式の75.2%を所有する、ロフトの全保有株式について、株式譲渡前にセブン&アイへ移管が行われる計画だ。

<株式譲渡後の概要>
株式譲渡後の概要

2022年2月期のそごう・西武の営業収益は4568億4200万円、営業損失35億2700万円、経常損失55億3000万円、当期損失88億2600万円だった。

また、そごう・西武の役員を兼任しているセブン&アイの役員と従業員計3名は、株式譲渡の実行予定日である2023年2月1日までに、そごう・西武の役員を退任する予定だ。さらに、セブン&アイグループの役員を兼任しているそごう・西武の役員と従業員計3名のうち2名は、株式譲渡の実行予定日である2023年2月1日までにセブン&アイグループの役員を退任する予定だ。

■セブン&アイの関連記事
セブン&アイ/3~8月は海外コンビニ事業が大幅に伸長し増収増益

関連記事

経営 最新記事

一覧

最新ニュース

一覧