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106万円の壁/23年春闘、労働時間の調整に正しい税制知識で対策

2022年12月12日 14:30 / 経営

UAゼンセンは、12月12日発表した「2023年労働条件闘争方針」案で、社会保険の適用拡大に取り組むことを明らかにした。

<正しい知識の普及が重要と永井副書記長>
永井副書記長

社会保険の適用拡大のメリットとしては、公正な処遇の実現、生涯にわたる生活安定があげられる。一方、企業の保険料負担と、パートタイムで働く(主に)女性の労働時間の調整による人手不足が課題だ。特に、小売業において、12月は繁忙期であると同時に、税の就業調整の時期でもあり、年末の人手不足と業務負担増につながっている。

同日行われた記者会見で、永井幸子副書記長は「パートタイムで働く人は、年末になると、年収の壁(106万円の壁)を理由とする就業調整を行うことが、各企業で問題になっている。社保適用に際しては、月額8万8000円以上であるかないかのみに基づき、要件を満たすか否かを判定するので、年収106万円以上というのはあくまで参考値。知識不足による誤解が年末調整の要因になっており、正しい知識の普及が課題だ。また、現場の対策には限度があり、制度改革との両輪での対策が必要になってくる」と説明している。

そのほか、加入対象者の以前の職場での加入状況などを労使で確認し、厚生年金について助言することなども検討している。

組合員本人の収入減少を防止し、企業の社会保険料負担を軽減するよう、キャリアアップ助成金を活用、就業調整を行わないパートタイム組合員に対する昇給・昇格、一時金・退職金などを含む処遇全般でその貢献を評価し、収入の目減りを補う人事処遇制度を設計することといった対応を進めていく。

一方で、所得税の配偶者控除に伴う年収の調整状況、職場で改善・実現してほしいことを「短時間・派遣/女性既婚者・夫正社員」の5581人に聞いたところ、休みなどを取って年収調整しているのは36.7%だった(1~4月に実施した「2022年度UAゼンセン組合員意識調査」より)。

さらに、この年収調整している女性の短時間・契約組合員(夫・正社員)のうち55.4%が「時間給など賃金を上げてほしい」、32.7%が「ボーナスを支給してほしい」、26.6%が「退職金を支給してほしい」としている(複数回答)。

永井副書記長は、「扶養の範囲内で働きたい組合員でも、年収アップを希望している人もいる。制度の壁が労働者を分断するのはよくない。公正な処遇の実現とともに、個々の状況に応じた対策を推進する」と述べた。

■UAゼンセン
https://uazensen.jp/

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